Instagramのおかげで初の書籍スタイリングという夢が叶った話
私がはじめてスタイリストとして関わった書籍『HITOTEMAのひとてま』が、3月28日に全国書店にて発売されました。著者は料理家の谷尻直子さん、出版社は主婦の友社さんです。
きっかけはInstagramでした。
以前から直子さんの世界観が好きでインスタ の投稿を楽しみに眺めていたのですが、ある日突然DMが届いたのです。
「はじめまして!谷尻直子です。」
え?なんで私に???
最初間違って他の人に打ったDMなのかな〜なんて思ったくらいびっくりしたのですがご本人でした(笑)以前からよく直子さんのインスタにいいね👍を押していたので私のことが印象に残っていたそうで、「本の企画についてスタイリングの件で相談したい」とったメッセージでした。もちろん即答でyes!早速打ち合わせをして、直子さんのレシピ本撮影の第一歩がスタートしたのでした。
ほんと、SNSって夢がある。
直子さんいわく 私がコツコツ投稿していた #ゆきスタ というスタイリングのコツ紹介シリーズが目に止まったそうで、本当何が仕事につながるかわからないものだなと、、。
Instagramの神様ありがとう。
*
直子さんのお店「HITOTEMA」はちょっと風変わりなお店です。
・店内はモルタル打ちっ放しの店内にソリッドなBGM
・金継ぎ食器や、作家もの、骨董の食器棚など渋い和雑貨
・お料理は現代版おふくろの味
このクロスオーバー感。圧倒的おしゃれさ。これを本でも再現しなければならない。はたしてこの絶妙なセンスを私がレシピ本の撮影現場で再現できるのか!?正直プレッシャーでした。
本来直子さんオンリーでスタイリングされたほうがいいんじゃないか...?というくらい、独特の世界観なのです。私はあくまでサポートです。でもただ言われたことをそのままやるのなら、わざわざスタイリストとしてご依頼いただく意味がない。お皿や小道具のことや撮影に関する専門知識ではしっかりと貢献したい。
私の役割は料理に合わせたうつわや小物類を選ぶこと。お料理が映えるよう、かつ直子さんの世界観に合うよう、小物を選んだり構図や撮り方を提案すること。
「あ、お皿を選ぶだけね、ふーん」と思ったそこのあなた。結構これが大変なんですよ。
例えば揚げ物1つとっても、上から撮るのか横から撮るのか、天板は板にするのかモルタルにするのか、揚げ物に適したお皿はどれか、中の具材を見せるのか見せないのか、縦に切るのか横に切るのか、何個載せるのが適当か、地味にならないようにお箸やグラスは必要か、グラスの中には何をいれるのかいれないのか、適したデザインは?その色や形は?HIOTOTEMAらしさはあるか?なおかつ美味しそうに見えるか?地味すぎないか?派手すぎないか?、、、と考えることたくさんあるんです。こういうのを全部考えて実際に予算に合わせて調達するのを約50個数やるわけです。
撮影に携わってずっと考えていたことはこの2つの両立でした。
✔︎「HITOTEMA」独特の世界観をあますことなく汲み取り、再現したい
✔︎なおかつスタイリスト・撮影のプロとしては確かな貢献をしたい
結果は、、、本を実際に開いてみなさんに判断してもらえたらと嬉しいです。「HIOTOTEMA」のお客様が本を開いた時に「ああ、これはHITOTEMAの本だな」と違和感なく見ていただけていたら良いのですが。
でも、直子さんご本人からはこんな言葉をいただけました。
"彼女のすごいところは、可愛くて優しいだけでなく、一見関係ない私の投稿の食写真を見て下さっていて大変汲み取ってくださる所です。元々の感性で重なるところがあると言うのも大事だけど、
調べてるんだなぁと思いを感じて、嬉しくなりますし、勿論、仕事はスムーズです。"
クライアントの「こうしたい」を絵にするのがスタイリストだと思っている私にとって、これ以上ないお褒めの言葉をいただけました!とっても嬉しかったです。
*
実際直子さんのInstagramやnote、これまでのインタビューなどはしらみつぶしにチェック。はては「HITOTEMA」のお客様の投稿もあらゆる検索で調べて料理写真を探し、近そうなレシピ本や雑誌など参考図書も大量に目を通す勢い。日数が短い準備期間で大量の写真とにらめっこして部屋が印刷した写真と本で足の踏み場もないくらいになるほど。とにかく調べてわかることは全部目を通して、良い提案の糧にするぞ!という感じでした(笑)
私はけしてセンスがいいという方ではありません。というと「そんなわけないでしょー」なんて言われるかもしれないけど、実際過去の職歴もクリエティブ系ではないし。このお仕事をしていると、それこそ美大出の方やもともとアート系の方などビジュアルに強い方が多くて、それに比べれば私なんて単に可愛いものが好きなただの主婦です。
その分こだわりがなく、人一倍クライアントのやりたいことに寄り添い、汲み取ろうとする気持ちが大きいのかなと思います。シャッターを切った瞬間に聞こえる現場の皆さんの「おー!いいねえ!」の声が一番嬉しいんです。
こうやって大量の写真を張り出して、レイアウトを確認しながら撮影を進めたのも初めての経験。WEB、雑誌と経験させていただきましたが、数ページや数カットで成立するそれらとは異なり、全55品すべてに統一感とバランスが必要になる一冊まるまるのスタイリングは、また違った難しさと楽しさがありました。
直子さん、貴重な経験を積ませていただき本当にありがとうございました。そして携わった編集の皆様、デザインの皆様、フォトグラファーさん、アシスタントの皆さん、ありがとうございました。
こうして「現代版おふくろ料理×スタイリッシュな食のアートブック」な世にも珍しい一冊が出来上がりました。
撮影の企画をお聞きした当初から「飾っておきたくなるような一冊にしたい」と撮影した本です。ご興味のある方、よかったら手に取ってみてください。
▷谷尻直子著『HITOTEMAのひとてま』
▷菅野有希子 Instagram
サポートありがとうございます!いただいたサポートで新しい食器を買って、みなさんが「読んでよかった」と思ってもらえるようなnote書きたいです🌿