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2020年5月の記事一覧

現実と向きあわない向きあいかた

小学4年生のときのこと。わたしはいじめに遭っていた。プロレスのわざをかけられたり、当時はやっていたカンフー映画のやられ役をさせられたり。もう何だったか忘れたが、風貌のことでからかわれたり。とにかくつらかった。いちど、学校帰りに級友が発した言葉に我慢がならなくなり、ちょうど家の近くまで帰ってきていたわたしは、家に飛び込むや鋏を持って外に飛び出そうとした。洗面所の鏡の前にいた高校生の姉が 「あんたどうするつもりや!」 姉の一喝がなければ、わたしは傷害事件を起こしていたかもしれ

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あまりにも「自然」な排除

 私は仏教の根本問題を「言語の問題」に還元してしまうことは、この教説の根源的な射程の矮小化だと考えているのだけど、その理由は上掲のツイートにあるとおりで、ゴータマ・ブッダが苦の原因として名指しした渇愛は、(少なくとも私たちと同じ形での)言語をもたない人間以外の動物にも、当然に作用しているものだからである。仏教用語の衆生(有情)というのが人間だけを示す言葉では全くなくて、かつそこに含まれる生きとし生けるものは、解脱しないかぎり根源的には苦なる存在であると理解されていることからし

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片付け

衣替えをし、本部屋に積んである本をいい加減片付けることにし、残す本を選別していたら今日は終わった。 引っ越しのたびにけっこう減らしているはずなのに、買うのも読むのも昔より減っているのに、何故かいつも本棚から本が溢れている謎。 しかも、あれがあったはずだなぁと、あとから思う本は軒並み無いのだ。過去の自分の取捨選択のセンスはどうしてこうイマイチなんだろう。 きっと今回の選別についても、どうせ未来にはがっかりする結果になっているんだろうなと、なんとなく思う。この際全部捨ててしまお

真の貧困とはなにか

「貧困とは単に"金が無い"だけではない」という話。 真の貧者とは金も無いが思慮も無い、人一倍こらえ性が無い、三年後にもらえる200ドルよりも今日もらえる100ドルを選ぶ人たちのことだ。少し金を貯めれば一括で買える商品を、分割払いや借金で今すぐ買ってしまう人たちのことだ。 よって、単に金を渡すだけでは解決しない。単純な再分配政策では効果が薄い。すぐに無節操な使い方をして金を失うからだ。 さらに貧者の多くは学習意欲も乏しい。「魚を与えるより獲り方を教えよ」という格言

「この人が書くなら意味がある」

 高校生や大学生であった時に三島由紀夫の文章などを読んでいると偶にあったことなのだけど、なんだか彼の使っている言葉に違和感というか、「これはどうも間違いなんじゃないか」と思われるものがあって、しかしいちおう確認のために辞書等で調べてみると、たいていこちらが間違っている。というか、より正確に言えば、「これは間違いじゃないか」という判断をする程度には知っていた言葉について、典拠や歴史的な用法を踏まえれば、別の使い方もできるのだということを、教えられることがあった。  文章を読み

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「搾取だ」という権力行使

「弱者との関わり合いは、結局のところ搾取的にならざるを得ないのではないか」といった話を見かけて、以下の過去エントリを思い出した。  私は「搾取」という言葉は「差別」や「暴力性」と同様に、事実そのものの記述ではなくてその価値付けの表現であると考えている。要するに、事実として存在する関係を特定の誰かが観察して、それに対する本人の評価(価値付け)を当該の関係を描写することで明らかにしたいと思った時に、選択され得る表現の一つが「搾取」だということだ。したがって、「搾取」という言挙げ

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オタクの孤独

 長い連休のあと、深夜にこれを書いている。lofi hip hopをあてどなく流しながら、音と文字の予感を重ねようとブラウザを開く。オタクの孤独について考える。名称と定義についての議論――おたくorオタク――は措く。  わりと楽しみにしている配信を見逃した。ぼくは別の動画を見ていた。こういうスレ違いはよく起きる。そして、こんな小さなスレ違いの果てに、趣味の「方向性の違い」が現れる。人気バンドの解散理由のようなものだ。  趣味仲間は、大きな可能性を秘めている。老若男女、何だ

相手の顔色を窺うのは、あなたが優しいから

外出自粛ということで、礼拝もできなくなり、今はこの礼拝堂に訪れる人もいない。とはいえ、電話やメール、ダイレクトメッセージやzoomなど、わたしに連絡をとってくる人はいる。他愛のない世間話をすることもあるし、深刻な苦悩を分かちあうこともある。また、両者の境界線は曖昧である。打ち解けて談笑していたら、じつはその雑談のなかに、あるいはその雑談そのものが、相手がわたしに強く訴えかけているメッセージだったということもあるのだから油断ができない。 相談ごとで多くの人に共通しているのは、

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