見出し画像

わたしたちは本当に理解のある親なのだろうか

魚に対するもの凄い知識と愛情、そしてその個性的なキャラクターで人気の有名人と言えば、ご存知「さかなクン」である。
私は昔からとかくマニアックな人が好きなので、さかなクンの愛の深さをテレビなどで見るたびに、ひたすら尊敬の念を抱いている。
そしてある時ふと読んだ記事に、彼のお母さんのことが書いてあることがあった。
今日は子の偏愛に向き合う親というテーマで書いてみようと思う。

2歳の「おやさいクン」

我が家の長男は、まもなく3歳を迎える。
2歳を超えてくると、個人としてのパーソナリティーがかなり見えてくるものだ。
とある子は電車や乗り物、とある子は恐竜、とある子は虫…など、それぞれ「好きなもの」というのが出てくる。
上に兄弟がいる子はウルトラマンやレンジャーなどのヒーロー物のファンだという子も多い。

中でも私の周りでは「電車・乗り物」が好きな男子が多いように思う。
親がおもちゃなどを買い与えるからか、それとも遺伝子に組み込まれているからなのか因果関係は不明だが、このジャンルはトミカやプラレールなどが相当な市場を持っていることからも分かる通り「鉄板の男子の心を掴むもの」である。

さて、我が子の場合である。

見出しから既にお察しであろうが、そう、彼はなぜか無類の「野菜・フルーツ」好きなのである。

別に我が家は農家でもなんでもないし、特別そういう教育をした覚えはない。
だが、気づいた時には2歳にして大人もビックリの知識を保有する「おやさいクン」に成長していた。

おやさいクンの恐るべし知識

画像1

おやさいクンの特徴をまず説明する。

動画が大好きな彼は、朝起きてリビングにやってきてすぐにテレビをつけたがるのだが、その第一声は大体「おやさい!」である。
これは野菜の動画を見せろという意味。「フルーツ!」というバージョンもある。
最近はだいぶ物語を理解できるようになってきたので、ディズニーアニメなども観るようになったが、1歳半〜2歳半くらいまでは、何が面白いのか全く理解できない野菜とフルーツの名前をひたすら見聞きする動画を繰り返し鑑賞していた。
私と夫の頭がおかしくなるレベルだったので「頼むから違うやつにして今日は!」なんてお願いしたこともある。

その学習が基盤となったのか、2歳児でこんなの知ってる子いる?という恐るべき野菜フルーツ知識を身につけだした。

例えば「カスタードアップル」と書いてある図鑑の絵を見て長男が「チェリモヤ!」と言ったことがある。
彼は文字はまだ読めないので、絵で判断している。
私は図鑑の表記通りに「違うよ〜!カスタードアップルだよ〜」と、自身もカスタードアップルが何かよくわからないのにドヤ顔で教えたのだが、どうも気になり調べてみると、チェリモヤはカスタードアップルの近縁種であり、平たく言うとほぼ同じものらしいことが判明した。

画像2

またとある日は、日本のカボチャの絵を見て「スクワッシュ!」と言われ、また戸惑った。あれ?カボチャってパンプキンじゃないんだっけ?
これまた調べてみると、パンプキンはハロウィン時期によく見るオレンジのものを指すそうで、皮が緑のものはスクワッシュというらしい。

他にも「ジュジュビー」「アーティチョーク」「キワノ」など、え?それ2歳児が知ってる??ピーマンとかトマトじゃないの普通?と突っ込んでしまうほどの知識を保有し、50種類以上は日本語・英語両方でその名前を答えることができる。

驚くのが、マンゴーとパパイヤなど見分けが難しいものも完全に見極めるし、花を見て何の野菜かもあてられ(ゴボウの花とか見たこともないわ)カカオの木を見て「これはチョコレート」などと説明することもできることだ。
夫が息子にプレゼントだよーと買ってきたフルーツを見て「マンゴスチン?」と聞いた私の発言を即座に「パッションフルーツ!」と訂正されたこともある。

野菜と果物、植物の図鑑が大のお気に入りで、絵本も基本的にそのジャンルのものを読みたがる。
(そもそも図鑑は保育園のものを持って帰る!と2日泣き続けたので購入した)
もうほぼ全てを読み尽くし、図書館から借りられる本がないのが私の悩みである。
とくにお気に入りのフルーツの本については、2回図書館から借りてきたが、まだ読みたいと言うので買ってやり、文章まで丸ごと暗唱している。

△我が家で愛用しているのは小学館neoシリーズ

散歩に行ってローズマリーを見つけては、匂いを嗅ぎ摘んで持ち帰り、我が家のスパイスラックにおいてくれるという優しさも見せる(笑)

どうやって実がなっているのか?育つのか?にも興味があるらしく、家庭菜園で野菜を育てたり、食事をした後に今日食べた野菜がどうやって生えるのかを図鑑で確認したりする日々だ。

いちご狩り、キウイ狩り、りんご狩りには連れて行ってあげたが、今は「ドリアン」と「ジャックフルーツ」が狩りたいらしく、どの国に行けばその体験ができるのか、わりと真剣に調べたりもしている。
「庭にココナッツを植えたい」という要望だけは「それは地理的・物理的に無理」と諦めてもらった(笑)

スーパーマーケットは彼にとってはアミューズメントパークだし、野菜を買ってきてあげるだけで大興奮なので、安上がりで親としてはとても助かってもいる。

前置きがかなり長くなったが、さかなクンも幼少期こんな感じだったのかな?と思う。
絵が上手なことで有名なさかなクンだが、我が子も人の顔などはあまり描かず、フルーツだけはとても上手に描く。

子供に本当に好きなことをさせられる?

画像3

我が子ながら、凄い知識だ…!と感心してしまうし、心から尊敬し、誇りに思っている。
だが、今はまだ幼児だからいいものの、これが小学生・中学生まで続いたらどうだろう。

さかなクンは、トラック→妖怪→魚の順でそれぞれにハマったらしい。
魚が好きになったのは小学校に入学してからタコという生物と出会ったため。

日々魚の絵を描き、学校の成績は壊滅的で、ついには「魚の絵ばっかり描いてないで勉強させてほしい」と親が先生に呼び出されたそうだ。
すごいのは母親の対応で「この子はこれでいいんです」とその忠告を突っぱね、好きなことをするようにさかなクンを応援し続けたらしい。

成長してからのさかなクンの活躍は言わずもがな、テレビチャンピオンで頭角を現し、東京海洋大学の名誉博士/客員准教授を務める名実ともにお魚博士である。

カッコいいサクセスストーリーなのだが、果たして何人の親が子供にこうやって向き合えるだろう。
好きなことをしてほしい!と綺麗事は言っても、将来的に役に立つがどうか怪しい知識だけ詳しくて、勉強ができなかったりする子を見ると、やっぱり普通は心配になるのではないだろうか。

私も日々子供の「好き」を伸ばしてあげたい、とは思い最大限に環境を整える努力はしているが、例えば小学校に入学して、漢字も読めない、計算もできない、テストはいつも10点なんて状況だったら(さかなクンがそんなレベルだったかは知りません)正直頭を抱えてしまう気がする。

はたまた、我が子は野菜・フルーツ好きというジャンルだからまだしも、例えば虫が嫌いなお母さんは子供が虫のことだけ終始考えるような日々を送っていたら協力できるだろうか?
アイドルオタクだったら?アニメオタクだったら?ゲームオタクだったら?
「好きなことをとことんやってほしい」の裏側には、結局大人の都合と、調子の良い欲求が透けている場合が多い。
漢字マニアや、数学マニア、天体マニアなど知的なものはオッケーだが、くだらないものに時間を費やして欲しくないなんて思う人も多いのではないだろうか。

覚悟を決めた発言がしたい

さかなクンのお母さんの話をきいて、色んなことを悶々と考えさせられたわけだが、私もこの際覚悟を決めようと決意した。

確かに勉強もしてほしい。
勉強をすることは、良い大学に入るためでも、いい企業に入るためでもなく、彼らが将来やりたいことを自分で選択できる能力の礎を作ることだからだ。
だから、親としてその気持ちは伝えるが、それでも彼らが「本当に興味があることだけをしたい」と言えば、覚悟を決めて応援しようと思う。

そして「子供には好きなことをしてほしい。応援する」と簡単に言う親に対して、本当に心からそう思ってる?綺麗事じゃない?と疑問を投げかけてみたいと思う。
まぁ、綺麗事を言っちゃいけないわけでもない。
だけれども、大人だもの。自分の発言に自覚と、責任を持ちたい。
なるべく偽善的な対応は取りたくないものだ。

さぁ、皆さんはどうだろうか。
子供が偏愛タイプに育ったら。
もう少し広い目で見ると、例えば将来はyoutuberになりたいと言い出したら。

果たして本当に親として、子供が「好きなことで生きていく」ことを応援できますか?

本代に使わせていただきます!!感謝!