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緑地帯 映画監督へ(中国新聞にて)最終話

僕は映画とCM、両方の監督をする上で、それぞれの良さや特徴を捉えていった。
 CMは、とにかく短い言葉や短い映像で視聴者の心をつかまなければならない。いわば瞬発力が必要だ。一方、映画は物語の構成を引き算、足し算し、盛り上げる部分をしっかりと描くことだと思っている。後半を盛り上げるなら前半は抑えめにといった具合に、約2時間を俯瞰(ふかん)して見て全体のバランスを整えていく必要がある。
 CMが短距離走なら、映画はまさしく長距離走のマラソンだ。マラソンと短距離走で走り方は違えど、もしかしたらゴールは一緒ではないのかと僕は考えている。
 僕は欲張りだ。CMやドラマなど多くの映像を制作しつつ、もっとたくさんのジャンルの映画を制作してみたい。今は、CMの仕事をしながら、同時並行で4本の映画のプロット作りに取り組んでいる。今後は広島を舞台にした映画や、ヒロシマをテーマにした小説などの映画化にも挑戦したい。思いは膨らむばかりだ。
 一昨年、尾道の古民家を改装して、クリエーターが集うゲストハウス「クジラ別館」という宿もつくったが、まだ十分活用できてない。それを若い人たちのためにどう生かすかも課題だ。
 手探りで映画監督への道を歩んできた者の一人として、広島の学生などにもたくさんの自分の知識や経験を伝えていきたい思いもある。僕はまだ、映画監督への助走区間を走っている。大きなジャンプをするために、踏み込み台まで走り込んでいる最中なのだ。 (映画監督=広島市出身)=おわり

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