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【20分で学ぶ】ファシリテーションを通した組織開発の全体像

こんにちは、富山県で人材育成にかかわる仕事をしている平井と申します。

私の所属している会社では、企業研修と学校でのキャリア教育を事業にしております。これらの事業は、キャリアコンサルタントの考えがベースにしており、これまで様々な企業の研修設計や学校での講義をおこなっています。

また、キャリアコンサルタントとして、組織開発をおこないます。


(・・?)「組織開発って、何するの?」


組織開発という言葉自体、概念的なので、言語化するのが難しいです。今回のnoteでは、様々な書籍を参考にしながら、キャリアカウンセリングを応用した「ファシリテーション 」の力をもとに、どう組織を発展させていくのかを、私なりに言語化してみました。



・組織とは

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はじめに、組織とは一体なんでしょうか?

通勤電車に乗っている人たちや商店街で歩いている人のことを組織とは呼ばないと思います。組織とは、たまたま同じ空間にいることではなく、3つの条件を満たした状態をさします。

・共通目的
・貢献意欲
・コミュニケーション

-共通目的-

組織は、何かしらの目的をもっています。それは1人では実現できないもしくは難しいため、共通の目的を果たすために人が集まります。


-貢献意欲-

次に、目的を果たすために、メンバー同士で協力しあう必要があります。これが貢献(協働)意欲です。いくら共通の目的を持っていても、お互いに協力しあう気がなければ、組織として成立しません。


-コミュニケーション-

貢献や協力し合うために、不可欠なのがコミュニケーションです。コミュニケーションによって、お互いの意思や行動を調整しながら、目的に向かって進むことができます。


要するに、共通の目的をもち、組織を構成するメンバー全員が協力しあうように、コミュニケーションがとられている集団を「組織」と呼びます。


・組織開発とは

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それでは、組織を開発するとは、一体どういうことでしょうか。

開発は、英語で「develop」と表記します。developには、開発・発展・成長などの意味が込められています。この言葉の語源はde(外す)+ velare(包み)なので、「包みを外す」という意味があります。

つまり、隠れているものを引き出すのが「開発」と言えるでしょう。


ここで、組織開発を研究している日本のODNJ(Organization Development Network Japan)のホームページに記載されている定義や目的をご紹介します。

「組織開発とは、組織の健全さ(health)、効果性(effectiveness)、自己革新力(self-Renewing capabilities)を高めるために、組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的な課程である」
「組織開発の目的は、組織の健全さ、効果性を高めること。組織の効果性は、組織の目標に到達する力、組織の構成員やチームの潜在力を発揮できること、環境の変化に適応し対処できることを指しています。また、組織の健全さは、仕事生活の質、お互いの関係性の質、権力の最適なバランス、ワークモチベーションの高さなどの、極端に表現すると組織内の人々の「幸せ度」と関連しています。」そして、組織開発の目的は、組織の自己革新力を養うことです。(参考サイト

人々が幸せでありながら、高いパフォーマンスを発揮して目標達成することができ、かつ環境や方針に合わせて主体的に変化し続けられるようになる一連の流れを、組織開発と言えそうですね。

パッと聞く限り、理想的な組織の在り方ではないでしょうか。

ただ、ここで留意しなければいけないことがあります。それは、厳密にいえば組織開発に定義は存在しないという点です。

その理由は、組織は現場の人や実務が軸になるため、無理に組織開発を定義づけしても、実践者にとって窮屈で机上の空論になってしまうためです。

定義が不明確だと学問として確立しにくいため、抽象度の高い定義にしたり、特定の条件をもうけて限定的措置をする場合が多いです。

そんな組織開発ですが、複数定義づけされている中で、一定の共通項が炙りだされました。それが、計画的な変革で、行動科学の知識を適用し、組織を革新する力を高めるものです。

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計画的な変革で、行動科学の知識を適用し組織を革新する力を高めるもの。

もう少し細かく分解して、理解を深めていきたいと思います。



・組織変革プロセス


心理学と組織論に精通していたクルト・レヴィンは、組織の変革には大きく分けて3つのステップがあると提唱しました。

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旧来のものを破壊し、新たなものを創造しなければいけません。個人ですら難しいものを、組織でこのような取り組みをおこなうのは極めて難しいと思います。

なぜなら、各階層・部門・年齢層に応じて、組織に対する捉え方や進みたい方向性が異なるためです。今までは、異なりながらも旧来のもので共通認識がとれていました。それを意図的に破壊して創造していくわけですから、どうしても軋轢が生じます。

これらを意図的に破壊しながら、組織が分裂しないように変革させていくためには、行動科学の活用が必要不可欠です。


・行動科学

行動科学とは、組織における人間の行動を明らかにするために、経営学・心理学・社会学・組織論など幅広い領域にまたがる学術アプローチを指します。行動科学の研究者たちは、人間の動機付けや能動的参加、個人と組織の統合の重要性を主張しています。

人の行動を、様々な側面から科学したものが行動科学です。


では、これらを実現させるには、一体どのような力が求められるのでしょうか。私の主張では、組織開発に特化したファシリテーションだと考えています。


・キャリアカウンセリングを応用したファシリテーション

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組織開発に特化したファシリテーションを、更に噛み砕いて説明すれば、行動科学の知見をもつ人が、キャリアカウンセリングを応用したファシリテーションをおこなうことだと考えています。


キャリアカウンセリングの応用とは、キャリアカウンセリングの目的や進ませ方をファシリテーションに応用するという意味です。

キャリアコンサルタントを勉強された方はご存知だと思いますが、カウンセリングの目的は、自己概念の開発です。これをファシリテーションでは組織に当てはめて、組織開発をおこないます。

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※自己概念:自分と自分を取り巻く世界をどう捉えているか

企業における一般的なファシリテーションの役割は、会議の進行役です。ここでいうファシリテーションとは、その枠を超えて組織の視座を上げて、変革を促します。


組織の視座を高めるために、有効な手段の一つとして「弁証法」があげられます。

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この考え方を個人と組織に当てはめると、以下のような状態になるのではないでしょうか。


-【個人】自己概念の開発-

個人と組織の開発.001


-【組織】組織開発-

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既存の組織の風土や価値観をアップデートしていくのは、並大抵のことではありません。内側からの変革も大切ですが、外側からのサポートも重要なものになります。

コンサルティングやツールの導入でも、サポートはできるのですが、キャリアカウンセリングを応用した組織開発では「みなさんが描く会社の在りたい姿を描き、理想の現状とのギャップを炙り出しながら、問題を解決していくための議論をファシリテート」していきます。



・ファシリテーションとは

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それでは、ファシリテーションとは何なのか?を紐解いていきたいと思います。

・ファシリテーション(facilitation):人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。(引用元

一般的な会社でのファシリテーターは、会議が円滑に進むように働きかけをする役割の方が多いです。では、組織開発を支援するファシリテーターには、どのようなことが求められるのでしょうか。


それは「心理的安全性の確保」「弁証法のサポート」です。

・心理的安全性:他者からの反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことができる状態。組織行動学を研究するハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱し、Google社が「心理的安全性は、成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表したことで注目を集めた。

たまに、単に仲良がいいことだと誤解されますが、それは違います。

通常であれば、人間関係が悪化するのではないかと忖度して言えないことを、誰もが気づいたことを発言できる雰囲気のことです。

これは、キャリアカウンセリングのラポール形成と似ている部分があると思います。ラポール形成は、カウンセラーと相談者の関係における信頼ですが、心理的安全性はその場に対する信頼と言えるでしょう。



・ファシリテートによって、得られる効果

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組織とそこに所属する人、それぞれに次のような効果を発揮します。

□組織
・進む方向が組織内で共通認識がとれ、並みが揃う
□人
・視座が上がる
・視野が広がる
・視点が変わる
・解像度が上がる

組織で円滑に話し合うが進むと、進む方向が明確に決まってきます。また、お互いが意見を出し合って精査しながら話し合いを進めるので、全員の共通認識がとれ、かつ最終的な決定に納得感を得た状態を実現できます。


効果を話していく上で、まずは視座・視野・視点・解像度という言葉を今一度みていきましょう。


-視座と視野-

ファシリテーションと組織開発.001

個人的に、視座が上がる最もシンプルな方法は、役職を与えることだと思います。リーダーになる・責任者になることで、今までと同じ視座でいられる方が珍しいのではないでしょうか。

なら、視座を上げたい人全員に役職を与えればいいのでしょうか。そんなこと現実的ではありませんし、名ばかりになってしまいます。


そこでもう1つの方法は「自己概念の開発」です。

先ほどご紹介したキャリアカウンセリングの目的に通じます。自己概念とは、自分と自分のまわりをどう捉えているかです。目の前の出来事を自分毎として捉え、自分と自分のまわりのために何ができるかを意識することで、視座が自然と上がってくるのではないでしょうか。

また、一般職がリーダー層や管理職、社長の視座を想像しながら物事を考えれることで、そこから逆算して、自分の立場でやるべきことを描くことができます。

更に、視座が上がってくると、自分以外のもっと広い景色を見ることができます。これが視野です。自分や目の前だけではなく、自分の関係者や自分の役割のその先まで見通しながら仕事を進めることで、組織に全体最適された行動をとることができるようになります。



-視点-

視点とは、視線の注がれる場所を指します。もう少し平たく表現すると「どこをみているか?」です。

会社の数字に関していえば、一会社員は個人の成績やお給料かもしれませんし、管理職であれば、チーム全体の成績かもしれません。一方で、社長は会社全体の粗利や資金繰り表かもしれません。

視点は、視座の高さや立場によって変化しやすいです。

自分に最も関係するところに視点がいくのは自然なことですが、メンバー全員で特定のテーマについて考えて議論することで、視点を「目的」に集中させることができます。


-解像度-

解像度とは、目に見える画像の密度を指します。解像度が高いというのは、より細かい部分まで表現された状態です。

ファシリテーションと組織開発.002

視座が上がって視野が広がり、様々な視点に立てたとしても、解像度が低い状態は非常にもったいないです。物事をざっくりとしか捉えられず、理解が浅くなってしまうためです。

ここは、個人の意識や日頃の勉強、経験値によって上げることができます。一方で、それだけではなく、様々な立場の人の意見に触れることでも、解像度を上げることができます。ファシリテーションを通して、多様な立場の生の声を聞き、ネットの記事や書籍を読んだだけでは知り得ないリアルな声から情報を取得できます。



・ファシリテーターに求められるもの

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ここまで話をしていくと、ファシリテーションがいかに重要かがわかります。では、ファシリテートには一体どんな要素が必要なのでしょうか。

必要なもの.001


-行動科学の知見-

経営学といっても範囲が非常に広いですが、生産と販売、どの方向へ進んでいくかを決める戦略までが、基本ではないでしょうか。また、これらの活動は人が支えています。人をまとめる際に「組織論」の前提知識は、欠かせないですね。ちなみに、組織論には心理学や集団における心を動きをとらえた社会学も紐づいています。

これらの勉強は、一朝一夕で積み上げられる量ではありません。

最低限の知識を網羅した上で、日頃の勉強が必要不可欠になります。



-ファシリテーションスキルと経験-

ファシリテーションスキルには、4つの構成要素があります。

ファシリテーションと組織開発.005


-場のデザイン-

なにを目的として、誰を集めて、どういったセッションを行うのか。単に、人を集めて話し合いをするのではなく、目的の共有から、メンバーが一丸となって成果を上げるために協力体勢を醸成します。

問題解決やアイデアの発散・収束、体験学習プロセスなど様々なプロセスの中で、目的に沿った流れができているかをファシリテーターは常に意識していきながらサポートしていきます。

この部分は、ファシリテーターの能力や経験値が大きく作用します。


- 対人関係-

話し合いが始まると、メンバーは思いおもいに自分の意見を述べます。チームの心理的安全性を醸成しながら、各メンバーの出した意見の背景や真意を引き出していきます。キャリアカウンセリングでいう傾聴と質問が最も発揮される部分ではないでしょうか。


-構造化-

アイデアを発散した後、収束させます。議論を論理的に整理してまとめていく必要があります。論理的で分かりやすくまとめることで、メンバー全員が同じレベル感で、絞り込みにのぞめます。

また、個人的に経営学などの前提知識をある程度もっている状態で、会社の問題を構造的に把握した方がいいと考えています。

様々な視点から情報を集め、最も取り組むべき問題を見極めます。構造的に理解しておかないと、話の筋道が不透明になってしまい、上手くファシリテートするのが難しくなってしまうためです。


-合意形成-

構造化の時点で論点が整理しながらある程度絞り込めた後、メンバー全員のコンセンサスをとり、意思決定まで持っていきます。発散の状態は、メンバーが思いおもいに意見を主張できますが、ここでは絞り込み決定までおこなうので、対立や葛藤が生じる可能性が高いです。


これら4つのスキルを経験を通して磨いていくことが求められます。ここからは、組織開発におけるファシリテーションが、どのようなステップで実践されていくのかをみていきましょう!


・【実践編①】組織開発ファシリテーションのステップ


組織開発を目的としたファシリテーションは、3つのプロセスを踏みます。問題提起をおこない、部署や階層を横断した議論を通してグループダイナミクスを起こし、各意見を統合していきます。

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問題とは、理想と現状のギャップを指します。「みなさんの組織の問題は、○○です!!」とファシリテーターがぶつけるというより、投げかけるイメージです。

「組織が、どんな状態で在ってほしいか?」

「それに比べて、現状はどうか?」

「このギャップとは、一体何なのか?」

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そこから、部署や階層を超えて、様々な課題と解決策を話し合います。ここで参考になるのは、デザイン思考のフレームワークで使用される「ダブル・ダイヤモンド」です。

・ダブル・ダイヤモンド:適切な課題を見つけ、適切な解決策を見つけることを目的とし、2つの大きなダイヤモンドから構成されるフレームワーク。各々のダイヤモンドは発散と収束という2つの反復ステージから構成されていることが特徴。

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幅広いアイデアや意見を発散していただき、最終的にメンバーが納得するようなものに収束させていきます。


ちなみに、問題と課題は異なります。

問題は、必ずしも解決が不可欠なわけではありません。あくまで理想と現状のギャップを指しているだけです。一方で、課題は解決や対応が必要なものです。つまり、理想と現状のギャップを把握した上で、取り組むべきものを精査しなければなりません。



・【実践編②】部署や階層を横断したグループ・ダイナミクス


組織開発をしていくので、一部の部署や階層では、変革は起こすことができません。当然、一般職よりも幹部、グループよりも組織全体を巻き込むほうがハードルが上がります。

ファシリテーションの難易度.002

ただ、それ以上に部署や階層を横断した意見交換には、意味があります。その代表格がグループ・ダイナミクスです。

・グループ・ダイナミクス:集団において、人の行動や思考は、集団から影響を受け、また、集団に対しても影響を与え合う集団力学。場を活性化させたり、所属するメンバーのモチベーション向上や帰属意識の醸成、学習効果を高める。

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部署や階層が異なる同士で刺激を受けながら、場が活性化されたり気づきを得ることができます。特に、普段他部署と交流がない組織では大きな効果があります。このような機会の後、それぞれの部署の事情が分かっていたり、交流が増えているので、お互いに尊重しあう結果、円滑に仕事が進むからです。

これ自体にも大きな意味がありますが、最終的には収束させていく必要があります。そこで、ほぼ必ず生じるのが「コンフリクト(対立)」です。



・【実践編③】コンフリクト(対立)の発生

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収束させる時に、最も留意しなければならないのは、コンフリクト(対立)です。組織を変化させるわけですから、変化させたくない者や変化の方向性、それぞれの利害関係などが当然分かれます。

まずは、コンフリクトの発生原因からみていきましょう。


-3つの違いから生まれるコンフリクト-

・目的の違い
・時間/空間軸の違い
・立場の違い


-目的の違い-

同じ行為であっても、目的が違えば意味合いが変わってきます。1つの行為に対してお互いの意見が噛み合わず、コンフリクトを生じます。目的の違いによってコンフリクトが発生した場合、お互いの目的を理解した上で、両者が一致できる共通目的を見出さなければいけません。

それが、両者が当初にもっていた目的を内包した上位目的です。手段は、目的さえ果たされれば、特定のものに固執する必要はありません。このような共通目的を見出すためには、「なぜ(Why?)」を繰り返すことが効果的です。


-時間/空間軸の違い-

短期視点なのか長期視点なのか、狭い視野なのか広い視野で物事を考えているのかの違いです。

地球温暖化問題におけるCO2排出量を減らすために、個人でできる活動としてはマイカーを辞めることです。しかし、個人の生活レベルで考えれば、車をいきなり手放すことは、現実的ではありません。最終的に自分の利益になると頭で分かっていても、なかなか実行が難しいのです。

組織でも、短期の利益を追うことと長期の利益を追うことでは、とるべき施策が異なる場合があります。部分最適や全体最適によっても、とるべき施策が変わります。全体最適を考えればシステム導入したほうが生産性が上がるが、一時的に特定の部署に大きな負荷がかかる場合、コンフリクトが生じやすいです。

時間軸と空間軸は、尺度の違いですから、メンバーで尺度を揃えることが重要です。短期よりも長期、狭いよりも広い視点で問題を捉えましょう。また、必ずしも白黒はっきりした施策が決まるのは少ないです。短期利益を確保しながら、長期視点に立った施策をとるなど、融合することが多いです。このバランスをどうするかを、部署や階層毎に調整する必要があります。



-立場の違い-

立場によって、物事を捉え方も変わり、人の意見は異なるものです。お客様の立場、店頭で販売している立場、店長の立場、本社で商品開発している立場、それぞれで商品の捉え方が違うでしょう。

立場の違いからそれぞれの意見が出るのは悪いことではありません。むしろ、複数の立場から問題を眺めるからこそ幅広い選択肢が生まれます。問題は、立場の違いから大事にしたいポイントや施策で意見が分かれてコンフリクト(対立)が生じることです。


このようなコンフリクトを解消するためには、いくつかアプローチがあります。


・【実践編④】コンフリクト解消のアプローチ

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・協働:協力しあって、両立する方策を考えだす。
・交渉:お互いの利害を反しないように、取り替える。
・分配:双方の主張を分かち合って、決着させる。
・説得:相手を納得させて、自分の主張を通す。
・妥協:双方が譲り合って、折り合える点を見つける。
・譲歩:自分の主張を諦めて、相手に譲る。
・回避:対立を避けて、解消を先送りにする。

最も望ましいのが関係者の目的が同時で達成する解決策を互いに協力しあって作りあげる協働です。これが、弁証法に近いお互いの利害関係を超えた統合を意味します。

理想的であり優れた解決策ですが、難点としてはそう簡単に策が見出せないことです。

まずは、お互いに真の目的は何かを突き詰めて考えていかなければいけません。目先の手段にとらわれず目的を議論することがアイデアの出発点となります。さらに、お互いに協力してコンフリクトを解消していくわけですから、強い信頼関係がなければいけません。

ファシリテーターは、問題の核心に迫る洞察力とコンフリクトを恐れない勇気、心理的安全性を保つために他者を否定しない姿勢が求められます。



・最後に -ファシリテート能力を高めるために-


これまで話してきた内容の中には、理想論に近いものもありました。更に、組織開発に必要なファシリテート能力を高めるためには、日頃の勉強と場数しかありません。

勉強とは、ファシリテーションの前提知識はもちろんのこと、組織論をはじめとした行動科学を指します。それらの知識を場数によって血肉化させます。それだけでなく、振り返り(できたこと/できなかったこと)と改善(次、どうすればいいか?)することで、能力を向上させます。

大きな話をすると、つい尻込みしてしまうので、まずは日頃の会話や小さい単位での会議の場で、ファシリテートを意識してみてはいかがでしょうか。

ファシリテーションスキルは、ファシリテーターだけが必要なスキルではありません。集団で円滑にディスカッションを進めながら、協同しあえる関係性を構築し、組織をよりよい方向へ導くのは所属する全員に求められています。


会議の場でファシリテーション役をになっている方など、今回のnoteが少しでもお役立てれば幸いです。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。



-参考書籍-



※発信内容は、個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではございません。

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