【エッセイ】スーパーカー

街中を走り抜けるスーパーカー
爆音と破裂音が鳴り響き、街ゆく人たちの注目を集める
富裕層の象徴
虚構を身に纏った人間は
自己顕示欲を剥き出しにし承認欲求を満たす

外苑前の銀杏並木のあたりには
ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなど
昔で言う「スーパーカー」が並んでいることが多い
同じ価値観を持つ人たちのコミュニティ
周辺には、その中に入れない、入りたい人々の
願望、賞賛、あこがれ、ねたみ、嫉妬、軽蔑……
さまざまな思いや感情が蠢く

アンコンシャスバイアス
職場などで多様性を考えるときに配慮すべき考え
歳を重ねて、自分自身の価値観、思い込み、偏見など
こうやって思考を重ねていることも全てが
バイアスがかかっている気がする

良心の呵責
30年くらい前の思春期だった頃
当時は単一のメディアだったテレビでは
なぜ、人間の野蛮な欲求を掻き立てるコンテンツが多かったんだろう
「ビーバップハイスクール」「西部警察」「積み木くずし」「失楽園」……不良、暴走族、いじめ、喧嘩、争い、傷つき傷つけ合う
多様性などという思想はなかったように思う
悪いことをするのがかっこいいのか？

快楽と欲望
悪いことだと心の底ではわかっていても
欲求に身を任せ、アドレナリンとドーパミンの洪水の中
破滅的な欲望が増幅する

資本主義的な思想を植え付けられたビジネスパーソンは
「足るを知る」ことを知らずに
際限のない利益と富を求める
所有したい欲望と果てしない消費
中毒性の高い瞬間的な快楽を貪る

食欲と中毒性
ファスティングをはじめて2年ほど経つ
24時間でオートファジーの状態になると
心身ともにリセットされた実感がある

好きな食べ物は際限なく食べたい
空腹は体に悪い
1日3食食べないといけない
日本人はお米を毎日食べないといけない
体に悪いものはおいしいものが多い

欲求と中毒性から解放されると
心身のバランスの取れた調和
不思議と心が落ち着く

「腹八分目で医者いらず、腹六分目で老いを忘れる、腹四分目で神にちかづく」

日本の昔からのいい伝えの中には、たくさんのヒントがある

執着心
モノを手に入れた後
そのモノが自分の一部になり
そのモノを守るための心労
執着心がいっぱいになると
それが自分の心を苦しめることになり
そのモノを手放したときに
その苦痛から解放される

＊＊＊
地球や環境のために何かを考えるとき
アンコンシャスバイアスをゼロにして
利己的で資本主義的な価値観をリセットする必要がある
"グレートリセット"が必要だ

街中を走り抜けるスーパーカー
爆音と破裂音が鳴り響き、街ゆく人たちの注目を集める

──時代が過ぎて、新しい世代からみたときに
マフラーから爆音と破裂音が鳴り響く
「スーパーカー」はどのように映るのだろう

マフラーから排気ガスを出す車は
私たちの世代のSL機関車のような感覚なのかも知れない
富裕層の定義もガラリと変わり
所有や消費ではなく
アイデンティティ、心の豊かさ
ウェルビーイングな生き方へシフトするんだろう

©️Mahalopine