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冬の煙草のうまさについて

仕事がうまくいっていない。
ECサイトを作っているが、会社がそもそも特殊な構造なので困難を極めている。大した頭ではないので脳のリソースを節約するために、朝はhuel、昼はBASE BREADで食事メニューを固定した。
これで夕飯も何であろうが罪悪感は無い。ほとんど寝巻きで出社し、1人で黙々と作業していると指先とパソコンの境界があやふやになっていく。私の中身は退勤でディスプレイを閉じたパソコンの中にそのまま置き去りになる。

中身のない私は家庭内で動けるわけもなく、丼ものやパスタを作ってやり過ごし、風呂からあがって倒れて動けず1時間後に化粧水を手にしたり、とにかく散々だ。映画は疲れるから観られない、とTikTokを眺めているが、絶対こっちの方が疲れるだろう。おそらく1日に100本以上スワイプしている。最近の邦楽は、君を幸せにするよ、だの、結婚しよう、だの大雑把でハイカロリーな歌詞ではなく、もっと解像度の高い暮らしの様子や今まで大っぴらに言えず批判されてきた感情にフォーカスしていて彩があるし、疲れた脳に効く。これがエモってことか、と思い何となく聞いている。なんとなくなので、例として何も挙げられないが。

今月末に東京でECサイトのデカいフェスがあるので参加することになった。勉強させてもらえるのは本当にありがたい。うまくいってない作業も、ノイローゼになりそうではあるが将来の私を必ず助けてくれると思う。


先月のノロウイルスから回復しても、娘の食事量が戻らず夜中何度も目覚め、情緒が安定しない様子で、私の何かとリンクしているのだと思う。偶然、行動経済学の文章を読んだばかりだったので、食事は大きい皿に小さく盛り、一品ずつ順番に出した。美味しいと1ヶ月ぶりに平らげていた。食べる楽しさとコツを少しずつ思い出してくれればいい。生活におけるトラブルに対し、具体的な対策案を出し、実験し、解決するのはいつも私で、夫は「心配だねえ」と言い、数ヶ月経つと「時間が経って何とかなってよかった」という記憶になる。自然に何とかなったという誤った記憶の蓄積で、心配無用人生は何とかなる、という架空の船が出来上がる。乗ってはならない。

ゆきほが病んでいるぞ、と情報が回っているのか、LINEが頻繁に届いて嬉しい。ありがとう。
ヨルゴスランティモス監督の新作の予告編のリンクが送られてきて、そんなん一緒に観に行くやん絶対!と予定を合わせ、それまでに何とか私の輪郭を取り戻したい。

今日はとても寒くて、やっと冬を思い出した。
真っ黒い雲がやってきて、雪とか降るんだった。
ビュンと自転車を漕ぐと顔が痛くて、それでも気持ちよくて止められない。煙草を吸うと冷たい空気が体の内側から背骨まで触るようで一層うまい。



楽しみ方が分かった頃に過ぎ去っていくんだろう。どうせ。何もかも。

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