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現代アートは最先端の「問い」

作家である原田マハと水戸美術館のキュレーターを務める高橋瑞木の対談で記されている『すべてのドアは、入り口である。』は、現代アートに興味を惹かれつつある私にぴったりの一冊だった。

『楽園のカンヴァス』や『たゆたえども沈まず』など絵画や画家にまつわる作品を残している原田マハさん。社会人になってから早稲田の美術史科に在籍して、その後MoMAなどを経てフリーのキュレーターもしていたこともあるようで、どうりでアートに造詣深いわけだ。

私が現代アートに興味を持ち出したのは、国内をよく旅していたころから。だいたい行く先が本屋か美術館で、アートに触れあう機会が自然と多かった。特にここ数年は、2017横浜トリエンナーレ、2018越後妻有トリエンナーレ、2019瀬戸内国際芸術祭と毎年どこかに行ってはアート作品に触れてきた。

多くの現代アートに触れてはいるものの、よくわからないものも多い。それでも、時々出会うのが、「何かわからないけどすごいもの」だったり、見終わっても衝撃でその作品のテーマについてずっと考えさせられるものだったり、ストンと納得できるものもある。

前回参加した読書会で、「問い」を持ち続けることの重要性を感じて、殴り書きのようにnoteを書いたのだけど、現代アートは今社会が抱えている問題やとてもプライベートなことなど、たくさんの問いを提示してくれているように思う。

いまこの時代の、この世界を生きていて、何かもやもやするのだけど、言葉にできなかったその問いを明確にしてもらえた、ような。だから、現代アートって、世界にある最先端の「問い」が詰まった場なのではないか。

本の中で、現代アートは「時代を映す鏡」だと原田マハさんが言っていたけど、本当にその通りで、アーティストはこの時代の「問い」を誰よりも考えて作品として表現した人間なんだと思う。

現代アートはコンセプチュアルアートが主流で、どうしても最新の作品だけをパッと観ただけではわからない。

アーティストがこの時代に何に出会い、どう考え、どう生きて、この作品にいたったのか。その軌跡を注意深く追うことが作品をより深く理解することにつながるように思う。

『すべてのドアは、入り口である。』では、アートが歩んできた歴史や、アーティストの思考の跡、社会との関連性など、現代アートを紐解くヒントが散りばめられていて、文字通り現代アートの入り口として最適な本だった。

知っているアーティストの名前が増えると同時に、彼らから多くの「問い」を受け取った気がする。考えることが多すぎて困るけど、それもまた嬉しいことだと思う。


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