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#42 マーケティングって何だ?

~本当に必要なものだけで生きる(ミニマリスト)時代のマーケティングとは~

もう30年も前のことです,私が某洋酒メーカーに入社した頃の役員は,マーケティングのことを「マーケッティング」と促音で発音していました。ちなみにその頃の,アメリカマーケティングによる「マーケティング」の定義(1985年)は以下の通りです。

マーケティングとは個人と組織の目的を満足する交換を創造するために,アイデア,商品,サービスに関する概念形式,価格,プロモーション,チャネルを計画し統制するプロセスである。

この定義を見ると範囲が広く,まだ「マーケティング」という言葉に馴染みのなかった日本人は,モノやサービスを売ることを十羽一からげにして,何でもかんでも「マーケティング」として捉えていたようです。その当時知り合いだった編集者いわく「マーケティングと名のついた本は意外と売れない」ということでした(日本人の著者によるものは特に)。なんだか漠としていて掴みどころがなかったというのが実情だったのかもしれません。

ところで,マーケティングコンセプトは,生産志向→製品志向→販売志向→顧客志向→社会志向と変遷しており,「モノを作りさえすれば売れた」モノがない時代から,「社会的に必要とされている,社会に有益な」モノでないと受け入れなれない,という時代になってきています。またコトラーの「マーケティング4.0」では,顧客の旅=カスタマージャーニーを重視して,顧客の自己実現に資するマーケティングが必要だとされています(あまりにも単純にまとめてしまいましたが…)。

マーケティングは「いかに売りつけるか」ということから「いかに買ってもらうか」という顧客志向,ニーズ発想に移り変わってきているのは自明のことです。さらには,顧客の得る情報量が一昔前に較べて爆発的に増加していることから,購買の意思決定カードはほとんど顧客に握られるようになってきている,とも言えるのかもしれません。

先日某所で,少し古めのテキストを使ってマーケティング概論の講義をしたのですが,最後に「近年のAIによるMA(マーケティング・オートメーション)の伸展は目覚ましいものがあります,もしかしたらあと数年で,ここに書いているマーケティング理論のほとんどが使えなくなることも考えられます」と締めくくりました。

先日,こんな本顧客は追いかけるなを読みました。究極的には「どうやって買ってもらうかということをあれこれ考えることすらあまり意味がない,顧客の望む完璧な商品やサービスがあればおのずから売れる」という時代がくるのかもしれません。

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