見出し画像

#52 コロナ禍における経営の「軸」

~柳に雪折れなし,生き抜く軸はしなやかに~

「軸」とは経営理念やビジョンといった企業戦略に関する概念で,「枠」とはビジネスモデル自体であり事業戦略に関する概念です。つまり「軸」とは成長戦略であり成長の方向性,「枠」とは競争に勝って収益を上げるための必勝パターンと言えるでしょう。「枠」を作り複雑なパズルピースを組み上げるのも,「軸」を作り臨機応変に意思決定し道なき道を進むのも,経営者の大事な仕事です。

どちらかというと分かりやすいのは「枠」を作る仕事ではないでしょうか。競争優位性や模倣困難性を内包させ,市場のニーズを取り込み,競争相手に先んじて利益を得る「枠」を作るのです。「枠」の仕事には期限やコストなど定性定量の目標があり成果が目に見える形で表されます。またビジネスを動かし経営資源の生産性を上げる,組織という枠組みを作ることもこの範疇に入るでしょう。

しかしながら「枠」はパターンにはまると強いですが,環境変化には弱い部分があることも否めません。そのような時に,環境変化の中でしなやかにそして力強く生き残る「戦略の方向性」としての「軸」があることが大切になります。「軸」に関しては少し前に「ビジョナリーカンパニー」がベストセラーになり,ビジョン経営の有効性がビジネスシーンで再認識されることろとなりました。

なぜ今このようなことを書いているかというと,まさに現在のコロナ禍の元で,多くの経営者がこれまで築いてきた「枠」が通用しなくなる現実に直面しているからです。そして経営理念としての「軸」すらも,激烈な環境変化に耐えらるかどうか分からない,というのが本音なのかもしれません。

そんな中,ふと筆者は,エマソン「過去に縛られる必要はない,過去との一貫性や整合性には意味がなく,矛盾を恐れることはない,全ての経験はゴールに向かうための海路にある」と述べていたのを思い出しました。今の時代,先行き不透明だからこそ,目的地を意識するとしないに係わらず,全ては合目的的に進んでいると信じ自分の選択と結果を信頼することこそが,究極の「軸」なのではないでしょうか。

そう考えると,何があってもぶれない経営の「軸」というものは,経営者の人格や価値観とは切り離せないもののような気がします。経営の「軸」というものは経営者自身の人間としての「軸」でもあり,経営者が一生かかって探求するものなのかもしれません。

〔こありん先生チャンネル〕YouTube配信しています@(・●・)@

#ビジネス #エッセイ #コンサルタント #エマソン #自己信頼 #ビジョン #経営理念

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html