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#45 ピンチはチャンスなのか?

~然のみならず患難をも喜ぶ,そは患難は忍耐を生じ,忍耐は練達を生じ,練達は希望を生ずと知ればなり(新約聖書:ローマ人への書:第5章)~

今しがた政府より非常事態宣言が出されました。これにより,筆者のクライアントが多い飲食業界は長期の休業を強いられ,まさに経営クライシスに直面することとなります。今朝がたから筆者のところにも,クライアントから会議の中止やリスケジュールの連絡が相次ぎ,その対応に追われました。

個人的なことで恐縮ですが,筆者は2002年に起業して(会社設立は2000年)紆余曲折を経ながらも,なんとか細々と21期目を迎えました。創業当初は飲食店5店舗経営とコンサルティング業の二足のわらじで一時期年商3億円近くあったものの,リーマンショックの影響もあり飲食部門の売上が漸減。資金繰りが悪化し,固定費の重たい飲食業からコンサルティング業に重心を移す方針を決め,そこから半年間カツカツに勉強して2008年末に中小企業診断士試験合格。営業譲渡と不採算店閉店を粛々と進めて2011年4月,東日本大震災の負の影響の火の粉を払いながら実業から完全撤退したのです。

さらりと書けばそれだけのことですが,実情はかなり辛酸をなめることに。その時得た教訓は「殿軍は最強でないと務まらない」ということです。殿軍(しんがり)は,負け戦で最後尾にいて敵の攻撃をかわすのではなく斬り合いつつ,主君を逃すために生き残って時間を稼がなければなりません。ですから経営環境が厳しい中,敗走しながら生き残るのは並大抵のことではないことは,痛いほどわかります。

しかしながら,未曽有の災禍に見舞われたからといって経営者が何もできなくなるわけではありません。1日24時間のうち16時間起きているとして,そのすべての時間を資金繰りに窮する焦りと将来に対する不安でスポイルする必要はないのです。きれいごとと言われるかもしれせんが,この時期だからこそやるべきこと,できることがあるのではないでしょうか。

人間は,過去に起こったことへの不満と将来に起こるかもしれないことへの不安よって,心の平和=アタラクシアを失います。人類の歴史でいえば,きっと今回の艱難と同じようなことは何度も起こっており,これで人類が滅亡するというようなことはないでしょう。しかしながら今この現状は,今生きている人間にとっては自分の人生の中ではおそらく経験したことのない未曽有の辛苦であり,将来への不安が大きくなっているのだと思います。

恐れて生きても信じて生きても凡そ世の中の大きな流れは変わらない,けれどもその選択により個人にとっての現実は大きく異なるものになるのだろうと思います。今をどう生きていけばいいのかということは,どう生きるのを選ぶのかという自分自身の問題なのではないでしょうか。

〔こありん先生チャンネル〕YouTube配信しています@(・●・)@

#経営 #エッセイ #ビジネス #コンサルタント #非常事態宣言


正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html