見出し画像

飲食ビジネスの始まり

はじめに

江戸時代の参勤交代により江戸に地方から人が集まることにより、庶民の間で飲食ビジネスが発展したことはご存知でしょうか。

ちなみに参勤交代とは徳川幕府が行った大名統制の一環で、諸大名が一定の時期を限って交互に江戸へ伺候し、もしくは領国に帰った義務制度です。
免除されるケースもあったそうですが、原則江戸もしくはそれぞれの領地で1年を交互に過ごします。

もちろんも食事を振る舞うということは高貴な人の間では平安時代から行われていましたし、茶の湯では懐石料理が振る舞われてきました。
ただ飲食ビジネスとして発展を遂げたのは、江戸時代と言えるでしょう。

江戸の飲食店

1811年(文化8年)には江戸で100万人あたり7,604軒の飲食店が存在していたと言われています。2006年(平成18年)の東京都では1,266万人あたり97,717軒の飲食店があったので、1811年では132人に1軒、2006年では130人に1軒となるので、飲食店数は今と同じくらい多く存在していたことがわかります。
(「食類商売人」、総務省統計局「平成18年事業所・企業統計調査報告(都道府県別)」)

飲食店のうち23.8%が煮売居酒屋と呼ばれる店先などで手軽に酒を飲ませる店、今で言う酒場、ビアホールが最多なのは2006年でも変わらないようです。 そば・うどん屋、すし屋、蒲焼屋、天ぷら屋のような専門店が多く存在していたようです。

飲食ビジネスのはじまり

飲食ビジネスのはじまるきっかけは、

人が外に出なくていけない理由があったから

と言えるかと思います。それまでは家で家族の誰かが作った料理、あるいは城などの大きなコミュニティでも誰かが作った料理を食べていましたが、参勤交代により人が外に出なくてはならなくなり、外で食べるために外食ができわけです。

現代の飲食ビジネス

現在はどうでしょうか。2019年から始まった新型コロナウイルス感染症の蔓延により、緊急事態宣言や蔓延防止措置といった宣言の発出もあり、人々は外に極力出ないようにする事態が起きました。飲食ビジネスのはじまりは「人が外に出なくてはいけない理由があったから」ですが、その理由がなくなればこのビジネスは終わってしまうのでしょうか?

太平洋戦争では日本が戦場となりもちろん飲食ビジネスは下火になりました。戦後復興と共に飲食ビジネスが復活し、今では世界でもかなり高い水準で安い金額で各国の料理を安全で美味しく食べれる国になりました。

飲食ビジネスは必要不可欠なビジネスとして生活の一部となりつつあります。かつては結婚して女性が家庭に入り家事をするという生活が主流であった時代もありますが、現代では共働きや単身世帯も増えており、料理をしない人も増えています。

料理は大きく分けて3つの工程です。

1) 食材の調達
2) 食材の調理
3) 後片付け

ただ実際に家で週に何回か作る場合には、食材の管理、栄養バランスの管理、飽きないような献立を考える必要もあります。もちろん料理に興味がある人にとってみると苦ではないですが、あまり興味がない人にとっては大変なことだと思います。
料理好きな私ですら、夏バテなどで自分の食欲がなくなった時には献立を考えるのが大変です。

飲食店はこの料理という一連の作業を請け負ってくれるサービスとして、現代の生活には欠かすことができないものとなっています。

さらに日々の生活だけではなく、人と人のコミュニケーションにも食は必要です。人と人の良好な関係性を築くための懇親会、接待や、共に誰かを祝う結婚パーティー、誕生日パーティー、還暦祝いなどがあります。さらには四季折々の祝い事としてお正月、ひな祭り、端午の節句など食を含めた行事もあります。

飲食店のあり方は変化し、現代は生活の一部として、あるいはコミュニケーションの一部となっており、人々の生活に根付いているのだと言えるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?