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水の音楽・水面に映るもの【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】

こんにちは!yukiです。

先日お伝えした企画、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」。

今回はその第1弾です!

クラシックをあまり聴かない方でも
気軽に読みながら素敵な曲に出会えて、
音楽で日常を彩っていただけるような
記事にしていきたいです。

今回のテーマは、「水の音楽」

ピアノって、水の表現にぴったりな楽器なんです。
音のアートを楽しんでいただけますように!

それでは、見ていきましょう。


【企画への想いはこちらに書いています】


「水の反映」


それではさっそく、
演奏動画をひとつ紹介します。

ドビュッシー作曲、
組曲『映像』第1集より、
「水の反映」です。


ちょっと不思議な感じもしますが、
とても繊細で、美しいですね!

きらきらした水面に木々が映る様や、
ごうごうと逆巻く流れ、
雫が波紋を広げていく光景が
目に浮かんでくるよう。

演奏しているダニール・トリフォノフさんは、
若手ピアニストの中でも、
人気・実力ともに世界トップクラスの方です。

今回は、
この曲を題材にお話ししていきます。

「印象派」の音楽


ドビュッシーは、
フランスの作曲家です。

フランス芸術って、
「フランスっぽい!」
と思わせる何かがありますが、

先ほどの「水の反映」も、
まさにそんな感じがしませんか?

淡い色彩、微妙な陰影、光と影…

「水の反映」は、
一般に「印象派」の音楽といわれています。

印象派というと絵画の印象が強いですが、
音楽でもそう呼ばれることがあるのです。

印象派の芸術は、
表現対象をハッキリ描くのではなく、
空気感で捉えようとします。

この作品の場合、
ピアノでよく聴くような
「伴奏+メロディー」の形式ではないので、
驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。

この作品は、
メロディーラインを強調するのではなく、
音の響きを組み合わせて塊をつくることで
水を表現しているのです。

「このフレーズは、
 こんな水の動きを表していて…」

みたいな答えはありません。
聴くたびに、イメージは違ってOK!

ドビュッシー自身、
何かを明確に描写する意図はなく、
「広い意味での“イメージ”を、
 音によって描こうとした」
と言っていたそうです。

自由な解釈の余地があるのが、
面白いところともいえますね!

ルールを破る男


ドビュッシーは、
クラシック音楽に
新たな地平を開いた作曲家でした。

彼が起こした革新のひとつは、
「音で立体空間を創造した」
ということでしょう。

録音だとちょっと感じにくいのですが、
生演奏を聴くと、
遠くから聴こえるような音がしたり
空間の高いところから聴こえる感じがしたりと、
不思議な音楽体験ができるのです。

まるで音によって異空間が作られ、
それに包まれているかのよう。
(もちろん再現するピアニストの技量も必要です)

そんな革新は、
並の天才にはできません。

ドビュッシーは、
天才であることに加え、
ルールを破る男だったのです。

作曲には、いろいろなルールがあります。
適当に楽器を鳴らしても、
なかなか曲にはなりませんよね。

ドビュッシー以前の作曲家たちは、
そのルールを体系化して、
やっちゃダメな「禁則」を設けていました。

しかしドビュッシーは、
10代の学生時代から、
そんなルールをどんどん破っていったのです。

「耳に心地良いんだから、いいじゃん」

それが彼の言い分です笑

そんなルール破りによって、
新たな音楽語法を
どんどん開拓していきました。

また、
ドビュッシーがルールを破ったのは、
音楽だけではありませんでした。

過激な不倫や浮気を
くり返していたそうです。

2人もの女性に、
ピストル自殺未遂をさせるほど汗

娘さんが生まれてから、
ようやく落ち着いたそうですが…。

「月の光」
「亜麻色の髪の乙女」
「アラベスク1番」

といった、
極めて美しくて人気な作品も、
とどまることのない美への憧れから
生まれたのかもしれませんね…。

緩急とピーク


先ほどの「水の反映」の動画について、
感じたところを少し書きたいと思います。

静寂のうちに始まった曲は、
静と動を繰り返しながら、
ピークの1点に向かっていきます。

静のおかげで動が生き、
弱音があるから
強音のインパクトも増す。

逆もまた然りです。
ピークの激しさがあるからこそ、
終盤の静寂がいっそう深くなります。

聴いている側として、
構造が伝わってきやすいし、
ひきつけられる演奏ですよね。

そして、この緩急とピークは、
音楽に限ったことではありません。

優れた映画やアニメ、
小説などからも感じられます。

こういったエネルギーの変化を
日常的に感じ取れるようにしていって、
自分の創作に活かせるといいですよね!
スピーチやプレゼンにも活かせそうです。

美しい音の秘密


知っておいて損はない豆知識なのですが、

実はピアノって、
普通に鍵盤を押しても
あまり良い音がでません。

良い音を出す秘密は、
「倍音」というものにあります。

倍音とは、簡単にいうと、
音を鳴らしたときに共鳴して発生する音です。

そして、その倍音が豊かなほど、
伸びやかで心地よい音
に聴こえるのです。

ちょっと話がずれますが、

「あの人、良い声だな」

と感じる人の声には、
倍音が多く含まれています。

声を鼻腔などで共鳴させ、
倍音を鳴らしているのです。

そういう声は、
たとえ声量が大きくなくても、
遠くまでよく響きます。

逆に倍音が少ない声だと、
「え?」と聞き返されてしまったり、
近くでは大きく聴こえても
遠くまで届かない声になります。
(耳あたりも微妙です)

人の声に良い発声法があるように、
ピアノにも倍音が豊かになる奏法があります。

先ほどのトリフォノフさんは、
そんな奏法で演奏されているのです。

音のまろやかさや繊細さ、
指をまっすぐ伸ばしたままの打鍵に
驚かれた方もいらっしゃると思います。

指の動きを中心にするのではなく、
前腕や肩、背中の大きな筋肉を使って、
身体の重みを鍵盤にのせていく。

これは、ロシアのピアノ流派の奏法です。

実は僕も、
同じロシア流派の教育を受けました。
演奏は趣味レベルですが汗

ピアノに限らず役立つ概念もあるので、
これから色々お伝えできたらと思っています。



ピアノ曲を題材に話を広げてきましたが、
いかがでしたでしょうか。
ちょっと長くなってしまいました。

試行錯誤しながら価値ある記事を
作っていけたらと思っていますので、
改善案やご要望などありましたら、
コメントいただけると嬉しいです!


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日も良い1日を!


(今回のカバー写真は、
 ご近所のマンションの噴水でした!)



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