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爆音の世界 【クラシックピアノ】

こんにちは、yukiです。

今日は、
「クラシックピアノの爆音の世界」
というテーマでお話ししていきます。


ご紹介するピアニストは、
あくまで楽曲の特質を引き出すために
爆音を選んでいる
のであり、
芸術の範疇なのでご安心ください!笑


さて、僕は基本、
静かで穏やかな曲が好きなのですが…

たまに激しい演奏を聴くと、
生命力を分けてもらえるかのごとく、
パワーが漲ってきたりするんですよね笑


フォルテ(強音)を出すのって、
力任せに打鍵してもダメなんです。

それだと、
自分には大きく聞こえるけれど、
遠くまで響かない汚い音が出てしまう。

身体の重さを注ぎ込み、
そのエネルギー量を調整するための
強靭な筋力が必要になります。

それでは、見ていきましょう!


芸術的爆音


さっそく、
3名のピアニストの
演奏動画を紹介します!

  • アンドレイ・ガブリーロフ

  • エミール・ギレリス

  • ウラディーミル・ホロヴィッツ


それぞれ、短い演奏を選びました。
1人ずつ見ていきましょう。

アンドレイ・ガブリーロフ


いきなり、
ドン引きしてしまうかもしれません。

2分間の地獄(むしろ天国?)、
お楽しみください。

プロコフィエフ「悪魔的暗示」



ここまでくると、
もはや笑えてきますね!

(お客さんもニヤけてますね笑)


僕はピアノの先生に、

「すごい動画見つけました、
 一緒に聴きませんか笑」

と、見せたことがあります。

先生の感想は、

「すごーい!!
 デブデブだしダラダラ(脱力)だから、
 会場だとめっちゃ良い響きのはず!
 現代にもこんな人がいるのね、
 嬉しくなっちゃった!!」

と楽しそうでした。笑



ガブリーロフは、一時期、
演奏活動を休止されていました。


演奏活動から離れていた6年間は、
宗教や哲学を学び、

「ゼロからやり直し、
 ブレークスルーして
 新しい音楽の哲学を作ろうとしていた」

とのこと。

一見ヤバい演奏も、
「作曲家と聴衆を繋ぐため」
だと語られています。

彼の動画を見ていると、
演奏後にガッツポーズをしたり、
聴衆に話しかけたり、
チャーミングな人柄がみられて
嬉しくなってきます。

エミール・ギレリス


20世紀を代表する巨匠のひとり、ギレリス。

強そうな名前と、
いかめしい見た目とは裏腹に、

とんでもなく繊細で歌心にあふれた
演奏をされるピアニストです。

あ、、今回は爆音でしたね。
もちろんフォルテも素晴らしいのです。

3分ちょっとの曲です。

ラフマニノフ「前奏曲Op.23-2」


スカッとする力強さ!

生命力が目に見えるようで、
その熱量に心揺さぶられます。

これだけ激しくても、
手首はゆるゆるに脱力されている。

野生的にならず、
ノーブルな雰囲気を保っていますよね。

ギレリスは「鋼鉄のタッチ」と言われますが、
それは彼の一部分で、
繊細さや叙情性も際立っています。

僕はギレリスが好きで、
サブスクで聴けるのに、
CDでも10枚ほど持ってます笑

ウラディーミル・ホロヴィッツ


彼もまた、
20世紀を代表する巨匠です。

短い曲ですが、
口があんぐりするほど凄まじいので、
ぜひ聴いてみてください。

特に後半が聴きどころです。


スクリャービン「エチュードOp.8-12」


終盤、怖いくらいですね。

手を振り下ろしているように見えますが、
鍵盤の底に指がとどまらないよう、
同時に上方向の力も働かせているのです。

それにより、フォルテでも倍音を殺さず、
爆発的な響きを作ることができます。

鍵盤にかかる重さを調整できる筋力がないと、
こういう弾き方をしたら音が割れてしまいます。

もちろんピアノの寿命も短くなる汗

ホロヴィッツの若いころを知るピアノ教師が、
次のような面白い言葉を残しています。

優れたピアノの巨匠たちはみな、若いころのある時期には、多少なりとも打ったり叩いたりを好んでいました。これはいわば、未来の名人が渡らざるを得ない「手に負えないロバの橋」なのです。

リヒテルもまた、自身の演奏活動を開始した頃には、少々、叩いていました。

ところがウラディーミル・ホロヴィッツとなると、17歳から18歳にかけて、救いがたいほど叩いていたので、部屋の中では彼の演奏はほとんど聞くに耐えませんでした。

ギレリスはなるほど決して叩かなかったのは事実です。しかしこの時の若い年齢で、非常に強く、非常に速く弾くのが大好きでした。

ゲンリッヒ・ネイガウス『ピアノ演奏芸術』より

(名前が出てきたリヒテルは、
 ギレリスやホロヴィッツに並ぶ巨匠です)

ホロヴィッツも、
時間をかけて、上の動画のような
演奏になっていったのですね!

爆音を出せるピアニストは、
弱音も素晴らしい


実は、
質の良い強音を出せるピアニストは、
たいてい極限の弱音も素晴らしいです。

ピアノの演奏って、
強音より弱音が難しいのです。

広い空間のすみずみまで響き渡るような
美しい弱音を出すためには、
鍛え上げた強靭な筋力と、
ミリ単位以下の精巧さが必要なためです。

(鍛えるのはインナーマッスルなので、
 見るからにムキムキにはなりませんよ!笑)


先ほど、
「悪魔的暗示」で轟音を出していた、
ガブリーロフの演奏動画を見てみましょう。

今にも壊れてしまいそうな、
ガラス細工のような演奏です。

ショパン「ノクターン1番」


「なに、この音…」

って感じですよね。
さっきとのコントラストが激しすぎる!

こういう音を出す場合、
鍵盤の中間にある「最も倍音が響くポイント」を
狙って打鍵しなければなりません。

つまり、感覚としては、
鍵盤の途中で指を寸止めする感じ。

・・・要は、
ものすごい難しい技術ってことです笑

続いて、ギレリスの演奏です。

グリーグ「抒情小曲集より“アリエッタ”」


美しすぎる!
オルゴールみたいに聴こえませんか?!

そして、
ホロヴィッツの繊細さもまた、
素晴らしすぎるのです。

シューベルト「即興曲Op.90−3」


さっきとの落差に、唖然としますね…


強音が凄いから、弱音も際立つ。
逆もまた然りです。

ピアノに限らず、
強弱のレンジを広くして、
お互いを引き立てられたら良いですよね!


ご紹介したいピアニストはまだまだいますが、
キリがないので、今日はこの辺で。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日も良い1日を!



(今日のカバー写真は、焚き火でした!
 燃えてるフォルテのイメージで笑)


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