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第150回 「名探偵コナン」や、ティム・バートン監督の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の成功を見れば、「運用」がいかに重要かがわかる!

チケット販売“前”に、早くも1億円の売上! ファミリーミュージカル「えんとつ町のプペル」にはどんな秘密が

今日は【『運用の時代』について色々と考えてみる】です。

AIによって新作の価値が少し下がっている


今日は結構な人が見落としている「運用の力」について色々と考えてみたいと思います。

このことを、あらためて考えることになったキッカケは友人の尾原和啓さんで、尾原さんが発した「西野さん、今は『運用の時代』ですよ」という言葉にやられまして(「運用の時代」ってメチャクチャいい言葉だなと思いまして)、そこからです。

「運用がモノを言う時代」という言葉は、いろいろな意味で心当たりがありすぎて…たとえば今なんてAIで誰でも新作(オリジナル作品)が作れるようになってしまい、新作で溢れてしまったおかげで、新作の価値は少し下がっちゃった(珍しいものじゃなくなった)というのがある。

その時に強いのが(他の作品と差別化を図ってくれるのが)「思い出がのっかっている作品」で、なので、90年代Jポップとかって、今、メチャクチャ盛り上がっちゃう。

最近でいうと、1987年に出た『Get Wild』がここにきて再ブレイクしちゃっているのがまさに。あれは、Netflixの『シティーハンター』の影響ですが、『シティーハンター』もまた運用の賜物です。

これは日本だけで起きている現象ではなくて、ブロードウェイでも往年のヒットナンバーを詰め込んだジュークボックス的なミュージカルが少し前から増えていたりします。

それこそ、ここにきて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がミュージカルになったり。
(※今度、日本にも来るよ)

ちなみに、朝から生々しい数字の話をさせていただくと、2025年8月9日〜8月30日に上演するファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』(日本公演)は総制作費が4億1000万円なのですが、現時点で、そのうち1億円を回収しました。

チケットの一般発売はまだ先で、まだキャストも会場も発表されていない今の時点で。

僕のVoicyをレギュラーで聴いてくださっている方は、もう耳がバカになっちゃっているからスルーしてしまうかもしれませんが、「一般チケット発売前に1億円の売り上げを上げる」って、ミュージカル・演劇業界でいえば、歴史的に見て異例の事態で、「何が起こっとんねん案件」なんです。

運営側から1つ言えることは、「初演だったら、この結果は出せなかった」ということ。 詳しくは(このやり方に関しては)オンラインサロンでメチャクチャ事細かに語っているので御確認ください。

そもそも運用できるコンテンツじゃないと運用できない


自分達の話ばかりしてもしょうがないので、皆さんがよくよく知っている他の作品の数字についてもお話しさせていただきます。

「運用」と聞いて、僕の中でも一番最初に頭に浮かんだのが御存知『名探偵コナン』なんですけども、あのメガネ探偵ときたら毎年映画を公開しているじゃないですか?

その歴代の興行収入をちょっと調べてみました。

コチラです。

━━━━━━
1997年 11億
1998年 18億
1999年 26億
2010年 32億
2015年 44億
2016年 63億
2018年 91億
2023年 138億
━━━━━━

初年度は11億円で、そこから微妙に上がったり下がったりしながら、ひたすら右肩上がりで、去年は138億円です。

パッケージ自体は変えずに、中身のストーリーを入れ換えて運用をし続け、今はもう国民行事になっちゃっている感じです。

「推理モノという圧倒的な普遍性をまとった運用しやすいコンテンツだった」というのもありますが、「運用に意識を向けた」というのが何よりも大きかったんじゃないかなぁと思います。

コナンの場合はそれでもストーリーが入れ替わっているから「新作を作っている」という印象を持たれるかもしれませんが、それなら、たとえばティム・バートン監督の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』はどうでしょう?

今から30年以上前に発表された作品で、続編も出ていないのに、今も毎年グッズが新しく出ていて、それが人気なんです。

「運用してやるぞ」という執念すら感じます。
考えられないかもしれませんが、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』って公開当時、そこそこコケてるんです。

日本の興行収入はたしか1.8億円ぐらい。
ディズニー作品ですよ?

あれは、運用で巻き返した(再評価まで繋げた)名作なんです。

御存知のとおり、僕は今、クリエイティブのいろんな現場に行っていますが、どこの現場も「どうやって素晴らしい作品を作るか?」とか「どうやってお客さんを呼ぶか?」という話にはなるのですが、「この作品をどう運用していくか?」を話し合う時間は設けられていません。

とりあえずヒットさせることが先決で、誰もそこまで長期的に考えていないんですね。
でも、「そもそも運用できるコンテンツじゃないと運用できない」というのがあるので、「運用」という議題は、クリエイティブの一歩目から挟んでおくべきだと僕は思っています。

西野亮廣

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