書き方ギャップ

五年以上前ですが作家の辻村深月さんと道尾秀介さんがゲストに呼ばれた番組を見ました。

番組名など覚えていませんが、そのときの話で記憶に残った二人の直木賞作家の違いは印象的でした。

連載作家の二人

道尾先生も辻村先生も連載をもった経験がおありの作家なんですが、連載に対するやり方が違っていました。

・辻村先生

毎月の連載にあたり、毎月執筆を行なっている。そして読者の反応によって先々の話を変えることがある。

・道尾先生

毎月の連載のために執筆するのは困難。自分は全てを書き終えてから、それを分割して連載している。


番組出演者の方々は道尾先生の執筆方法に驚かれていました。

「やっぱり連載っていったら書きながらなんじゃ」
「読者の反応が怖くないですか?」

などなど言われているのを覚えていました。

たいして道尾先生は、

「逆に書き上げないで連載するほうが怖いと思う」

と仰っていました。

そして、私は素直にびっくりしました。

「え、道尾先生が普通じゃないの???」

そうですよね?
だって普通プロットを作っているはずなんですよ。辻村先生の作品はけっこう緻密だったりどんでん返しがなされたりするような作品なんです。
※すみません、お二人の作品自体は一冊しか読んだことないのでそれだけの予想です

一般の人たちの作家像に、プロットというものが出てこないと思います。

そもそもプロットってなに? って話ですよね。

web小説を書かれている方はご経験があると思いますが、ある程度書き溜めないと連載が怖いって方がいると思います。

私はプロットを作る派です。

noteとは別ペンネームでwebに小説を連載した経験、現在進行で連載しているものがあります。

プロットを作っているのでもう完結までの道筋があります。

もちろん完全に再現されることはないでしょう。それを見越した上で執筆しています。プロット通りにいってもいかなくても気にしません、

なぜなら矛盾が起きても書き直せばいいだけだからです!!

って、それが本当に連載形式なら無理じゃん!!

みなさん怖くないの?

……って以前は思っていたのですが、web連載を前にすると見切り発車してしまいます。


だって早くみんなの感想が欲しいじゃないですか!!!


予定の半分近くまで書いたところで随時掲載していたのですが、

「これ馬鹿にしてるんか?」
「なにこの設定いらんいらんのいらんわ」
「乙おつオツ!」


ってなりました。
※多少の誇張表現が含まれておりますが、書き手にはこのように感じられるので作家さんにはみなさん優しくしてあげてください

実は批判殺到だった設定にはそれなりの理由があったのですが、自分でもないほうがスッキリするんじゃないかと思っていました。

ただ、後半を書いてみてこの設定が活きると信じて書いていたのでひとまず置いていたんです。

つまり、道尾先生形式にすれば推敲したときにいいか悪いか気づけたから初っ端からあんな感想もらうことはなかったはずなんです!!!(泣)

結果的に自分でも不要かもしれないと考えていて、読者から不要と言われた設定は排除しました。書き直したものを上げて連載を続けました。

ここで微妙にいいことが起こります。

最初からあの設定ないままに後半部分を書いたから書きやすい。

試験的な執筆でない分、執筆がスムーズ。

もちろん自分のプロットが甘かったのが原因だったり、後半もそれなりに詰まったりしたこともありました。

それでもはっきり不要という読者の声がなければ成立しないものでした。

きっとあの後半に活かそうとした設定があったら、

「よし、後半のどこでこのいるかよくわからない設定を活かそうか」

と考えていたに違いありません。

無事に完結した私の作品ですが、次回作は完結させてから連載しようと考えました。
※完全な終わりというよりはシリーズの第一作みたいなものです

完結させて掲載を始めるといろいろ言われました。いい感想も多々ある中、指摘の感想もありました。残念ながら指摘の感想だけはなんとか修正しましたが、それに代わる作品の向上は難しかったのです。だってもう完結してる作品ですから、書き直しとなるとかなり大幅なものになりますし、すでに先々のプロットを作って執筆中。しかも見切り発車になってしまった前作より評価が低いという。

心が折れますよね。

次回作を書いたほうがいいんじゃない?

ってなりますわ。

連載形式は読者と一緒に作品を作るくらいに思えました。

いってみれば常に編集者が意見をくれるようなものです。

web小説で見切り発車が向いている人

というわけでまとめると、

・プロットの変更を気にしない
・読者に寄せられる
・厳し目の意見に耐えられる

こういう人はweb作家に向いていると思います。
※というより、こういう気持ちじゃないといけないんじゃ?

別ペンネームのほうで上記を試そうとしているので、必ずしも正解ではないのですがいいところを突いていると思います。

雑誌連載とはある程度異なるとは思いますが、自分が連載をするとしたら辻村先生の案も採用したいと思います。

ただ、これらはやはりプロットありきだと思っています。

予定変更を前提にしても問題ない構築がやはり必要なんだと思っています。

プロットなしで書けてしまう人はある意味尊敬しますね。一人、知人にいるのですが、凄いですよほんと。

今回の話は意外だった連載の利点についてまとめましたが、必ずしも完結してからが駄目というものではありません。

そのほうがいいとも思っています。

どちらかといえば、前の私の考えと同じ人に見切り発車も悪くはないよと伝えたいものです。

そこだけ誤解なきようお願いします。

私が読んだことのある道尾先生と辻村先生の作品です。

ミステリの道尾先生、青春ものの辻村先生という印象になってしまうのですが、二人の考え方の観点から読むと作品に対する構造理解が別の視点で楽しめます。




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