菩提樹荘の殺人と高原のフーダニットと妃は船を沈めるを読んだ話。
積ん読があるのに本屋にも図書館にも行って本を物色するので結局は次に読む本に迷う者ですこんにちは。
本があるところはパワースポットなので、引き寄せられるのは仕方ない仕方ない。
さて今回は、こちらのnoteでもお話した通り
これまでの火村&アリスシリーズを色々と読み返しているので、そちらの感想になります。
短編集、中編集である
有栖川有栖さんの
「菩提樹荘の殺人」
「高原のフーダニット」
「妃は船を沈める」
の3作品です。
菩提樹荘の殺人
再読。
短編集も入りやすくて好きだけれど、長編のどっしりとした物語の厚みにハマると、短編はやっぱりライト!ですねえ。好きだけど。(重要)
表題作の「菩提樹荘の殺人」が好きです。
内容的にも面白かったけれど、作中で火村が何気なく放った、個人的にハッとした台詞の
「命なんてものは道具なのに」
という言葉の意味をずっと考えています。
「道具」という表現は、よくわかるし至極納得だなあ…という気持ち。
「命」というといつも漠然と尊いもの美しいものと思いすぎのような気はしていて、でも死ぬまでずっと使うものだから常に新しいわけではないし古くもくたびれてもくるもんだよな… それが老いだし「命を使う=生きること」ということなのかね。などと思ったりすると、なるほどなんだか少し楽になるような気がするのです。
高原のフーダニット
おっと20周年を飾る一冊目の本だった!
以前も読んだのに内容をほとんど覚えていなくて、まるで初読かのような有様に「失礼しました…」と言いたくなる。失礼しました…
中編3本。
「ミステリ夢十夜」は、作品になり得なかった欠片たちのような印象を受けましたが、あとがきにて先生自身が「物語以前のアイデアの断片」といったことを記述されていたので「ああやっぱりそうか」という感じです。
余談ですが夏目漱石の「夢十夜」、原作は未読だけれど随分と昔に実写映画版を観たことがあり、その時から「夢十夜」に纏わるものは大変苦手なのであります。(お察し)
表題作「高原のフーダニット」は詩的なミステリでした。有栖川作品は詩的なのですよ…
短編・中編だと、動機がさらっと説明されていつもなんだかちょっと物足りないと思ってしまう。構成上仕方ないのでしょうけど。
それにしてもこの話、火村の奇行が目立つ気がする。(個人的所感です) 謎もだけどそっちにもハラハラしてしまう…准教授そういうとこある。
あと、昔の火村&アリスシリーズを読み返すと
「(現在の)アリスが… 成長している…!?」と感じることしばしばです。「頼りになるようになってきている」と言った方が近いのかな。
二人とも年を取らないサザエさん方式なんだけど、周年を重ねるごとにアリスがしっかりしてきているように見えます。笑
妃は船を沈める
再読。
中編のニ連作による長編
というちょっと変則的な長編。
じめっ…としている…… まさしく、毒。最後の最後まで歪みがつよい。すっきりさせないのが狙いか。
有栖川作品ではちょっと珍しく感じるくらい、湿ったストーリーです。(個人的所感)
有名な怪奇小説であるという、ウィリアム・ジェイコブズ著の「猿の手」がモチーフにもなっている話ですが、そちらの原作は未読なので読んでみたいところです。
それにしても… 2008年が初版。
時間の流れを感じます。後編の「残酷な揺り籠」の話が、火村シリーズの「助教授→准教授」への切り替えのタイミングだったようで、「どのあたりの話で変わったんだったっけ?」とはぼんやり思っていたので、図らずも確認してしまった。コマチさんも初登場。
いつも思うことですが、私は推理をしながらは読まない(読めない)ので、トリックが!とかアリバイ工作が!とか、そちら方面のロジカルエッジの効いた感想を伝えられないのが誠に遺憾であります。
大体「面白かった…!」「興奮した!」「ちょっと苦手かも…?」「これは好きだー!」みたいな本の感想が多い自分ですが、またお付き合いいただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
それでは。
菩提樹荘の殺人と高原のフーダニットと妃は船を沈めるを読んだ話。
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