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【短歌連作】現在にまつわる数々の噂


あいまいみーまいん、ゆーゆあゆーゆあーず…… かつて駄菓子屋と川があった


弾丸も当たらないほどなめらかな鳥がふたりで懐かしむ川


「3年前の川の模様を覚えてる」きみが言うなら、まちがいないね


昔の話。川の近くを通るたび死にたくなって死にたくなくって


不自然な動きをしているらしい 川の凹凸のようになれと?


足元に(わたしの気持ちを大雨の川に喩えてみたけど)花が


鳥たちが伝えたいのはいつかその川の断面 きみといるとき


川岸に片足で立つ生活の灯がぜんぶ沈んだら戻ろうか


ラッパが鳴って、痛ましいほど透明な川は橋の下に流れる


水面と地球の接点にわたしは川を見ている ずっと流れている







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短歌は短い。短いから、私たちはそれを短歌と呼ぶ。
けれども、その短さは、TikTokやYouTube Shortsの短さ――いわゆる「タイパ」志向の短さ――とは正反対である。ショート動画が1分という時間的な枠のなかにこれでもかとぎちぎちに詰めこまれているのに対して、短歌は広大な空間のなかにちょこんとあって、しかしそのままの大きさで留まるつもりはない!という感じがする。



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