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打席数のカイブツ(映画『笑いのカイブツ』感想)

こんにちは、ゆきふるです。

今日は、絶賛公開中の映画『笑いのカイブツ』についてのお話をできればと思います。

公開からまだ1ヶ月も経っていませんが、既に2回も映画館に足を運んで観てしまいました。
最近はあまり映画館で映画を観られていなかったので、この行動を生み出してくれた本作には感謝です。

※本記事は現在公開中の映画『笑いのカイブツ』のネタバレを含みます。
ネタバレが望むところではないという方はこの先をお読みにならないようお願いします。

◇◇◇

映画『笑いのカイブツ』とは

基礎情報

  • 監督: 滝本憲吾

  • 脚本: 足立紳、山口智之

  • 音楽: 村山☆潤

  • 主演: 岡山天音(ツチヤタカユキ役)

あらすじ
映画『笑いのカイブツ』は、不器用で人間関係が苦手なツチヤタカユキの半生を描いた人間ドラマです。
彼の生きがいはテレビの大喜利番組にネタを投稿すること。狂ったように毎日ネタを考え続け、ついにお笑い劇場の作家見習いになります。
しかし、笑いだけを追求し、常識から逸脱した行動を取るため、周囲から理解されずに劇場を去ることに。
その後、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起を図り、尊敬する芸人・西寺から声がかかります。ツチヤは構成作家を目指し上京しますが、情熱や努力だけでは上手くいかない現実と不器用にしか生きられないもどかしさを抱え、自分の信じる道を猛進するのです。

◇◇◇

「カイブツ」の異名はダテじゃない

ここから、本作を鑑賞しての私の感想をお話できればと思います。

作品のタイトルにもなっている「笑いのカイブツ」とは、岡山天音くん演じる主人公・ツチヤタカユキのことを指しています。
ツチヤは作中で「5秒に一回ボケている」と言っているほど、ずっと大喜利のボケやネタを考え続けて生きる、お笑いのカイブツそのものです。

まず初めに注目したいのは、映画の序盤でツチヤがいくつもの飲食店を転々として働くものの、どこでも人間関係の不器用さなどが影響してうまくいかない様子が描かれるパートです。

どこで働いている時であっても常にお笑いのことで頭がいっぱいのツチヤ。接客はおろか、商品の陳列や皿洗いさえもままなりません。

私はこのパートが本作で特に印象に残っています。
もちろん、これ以降のツチヤが実際にお笑いの世界で作家として奮闘するパートがメインのお話である、ということは理解しています。
ただ、本作のタイトルにもなっている"カイブツ"さをリアルに描写するという観点で、私のような普段お笑いの世界とは縁遠いところで生活を送る人間にとって、より身近な舞台でツチヤの姿が描かれるこのパートは貴重でした。

私自身、学生時代にカフェ、レストラン、ハンバーガーショップ、居酒屋など多くの飲食店でアルバイトを経験しましたが、本作のツチヤほど適合しない人はなかなか珍しいと思います。

さらに、人間関係が不得意で明らかに接客業に向いていないにも関わらず、結局どこを辞めてもまた飲食店で働いてしまうところにもまた、彼の不器用さが出ている気がしました。

導入部分にこうして身近な環境下でのツチヤのただならぬ人間性、カイブツ気質を描かれていることで、グッと作品の中に引き込まれるようでした。
ツチヤとの距離感も近づき、こうして、一度では飽き足らずもう一度ツチヤに会いにいきたいと、二度も映画館に足を運ぶに至った私がいます。

◇◇◇

「笑いのカイブツ」は「打席数のカイブツ」だった

次にお話したいのは、私にとって本作の主人公であり「笑いのカイブツ」であるツチヤタカユキは「打席数のカイブツ」だったということです。

どういうことか。

先ほどもお伝えしたように、作中でツチヤは5秒に一回ボケていると言うほど、ずっとボケや
ネタを考え続けています。
作中に登場する他の作家も、ツチヤのアイデアの量には感心しているようでした。

本作を通して、狂ったように笑いを実践し続ける彼の行動量に圧倒されました。

私は私の人生の中で、こんなにも狂ったように何か一つのことに時間を投下したことなどあっただろうか、と。
ツチヤのような天才と凡人である自分を比較しても仕方がありませんが、それでも、彼の行動量は胸にグサっと刺さるものがありました。

努力の量に関してはみんなに平等なはず。
それすらやらずに「あの人はいいなあ」とか「自分はこれこれには向いてないや」とか言っていられないな、と改めて気付かされました。

もちろん量が全てではないですし、どちらかと言うと効率重視なタイプの私ですが、そんな私もツチヤくらい狂ったように何か一つのことに熱狂して、行動量のカットでは誰にも負けないくらいはやったなと思えるような活動がしたいと思いました。

同時に、私は彼のような狂人さは流石に持ち合わせていないことにも目が向きます。
この世にはイケてない努力というものがあると思います。
ツチヤは計算してやっているわけではなく、結果的にその天才的な嗅覚で必要な努力を重ねていたのかもしれませんが、凡人の私は、量を増やすにしてもちゃんと考えて、目的に沿った行動量を重ねようと思い至りました。

私自身、これからどんどんクリエイティブの活動をやっていきたいと思っています。

道の途中で心が折れそうになったら、彼のひたむきさを思い出してとにかく動いていたい。そう思わせてくれる作品です。

読んでいただきありがとうございます。
それにしても岡山天音くんの演技、本当にすごかったです。
また彼の演じる作品を観たいと思います。

では、また。

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