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エッセイ #13|「懐かしくて胸アツな街、京都。」

最近、京都にハマっている。

私は生まれも育ちも関西で、現在も大阪在住だからなのか、世界一の観光都市と言われている京都がすぐお隣に君臨しているにも関わらず、「いつでも行けるから」という理由もあり、積極的に出向こうとはしなかった。

積極的に出向こうとしなかったもう一つの理由が、まだ私が会社員だった頃、京都で4年間働いた記憶が多いに占めていると思う。

自分に全く自信がないのに、どう考えても私には不向きな営業をさせられて(当時に思いを馳せ、あえてこの表現にします)、苦手な車の運転をしながら京都の街を北から南へ、西から東へと横断する日々。

万が一、車の運転でトラブル(事故や違反や運転マナーについてお客様からお叱りの言葉をいただくこと)を起こした場合は、一定期間営業車への乗車が禁止となるので、そうなると重たい荷物を担いで電車やバスや徒歩で移動することになる。

だから、いつもひどく緊張していて、毎日自分も周りもピリピリしている様子を痛いほど感じることがとても苦痛だった。

それだけでなく、毎月毎月容赦なくやってくる営業目標もとてもプレッシャーだった。

「京都で働いていたあの頃は、散々たるものだったなぁ・・・」

この感覚を思い出したくなくて、私は京都を無意識に遠ざけていたのだ。

あの頃から約7年。

ここ最近夫が熱心に「京都に行かない?」と誘ってくれるので、半ば渋々重たい腰を上げて久しぶりに行ってみると・・・。

「京都ってこんなに良かったっけ?」

これが率直な感想だった。

京都は街自体がもはや文化遺産なので、景観にとても厳しく、京都のイメージを守るために、高い建物や派手な色の建物の建築も禁止されています。

その影響なのか、空がとっても広い。

ずっと肩を丸めて下を向いて歩いていたあの頃の私には、到底見れない景色だったのだ。

夫と一緒に、初夏を通し越して既に常夏だった京都の街を散策していて、思い出す。

高い建物がないからこそ、ジリジリと容赦なく照りつける太陽達。

暑い暑いと大量の汗を拭きながら重たい営業バックを携えて歩いていると、

目につくのは、所狭しと並ぶ涼しげなお茶屋さんや喫茶店の看板達。

「ちょっと休憩しよう!お茶でも飲もう!」

こうして何度も何度も、先輩にかき氷やお団子やお茶、京都ならではの美味しいランチをご馳走になったことを思い出した。

取引先に訪問した時は、冷たいお茶を出していただけることも数えきれないほどあった。

不手際でお叱りを受けたことがあっても、その後熱心に頑張っていると、最終的に誰よりも協力してくれた人もいた。

そうだ。私はちゃんと、京都での会社員生活を味わっていたのだ。

京都の街を運転をしていると、「車の中から毎日のようにお寺や神社を見ることができてラッキー!」と思っていたことも思い出した。

私はあの頃も、不器用ながらちゃんと自分の人生を楽しんでいたのだ。

「あの頃は辛かった!」と4年もあった京都での会社員生活をいっしょくたにした自分の雑さを反省した。

京都は、昔も今も美しかった。そして暑かったし、熱かった。

またすぐに行こう!!




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