安斎勇樹
定期的に仕事の「信念」をコトバにする中期的リフレクションのすすめ
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定期的に仕事の「信念」をコトバにする中期的リフレクションのすすめ

安斎勇樹

仕事に上達するため、納得度の高いキャリアを築くために「リフレクション(内省)」が重要であることは、いまさらデューイやコルブを引用するまでもなく、様々なところで指摘されています。

しかし「リフレクション」と一口にいっても「なんで先月のプロジェクトはうまくいかなかったんだろー?」という技術改善のための短期的なPDCAサイクルもあれば、数年単位でじっくりと自分の仕事に意味づけを重ねて「私はいったい何者なのか」とアイデンティティを探るような長期的な省察まで、さまざまです。

このときに軽視されがちなのが、日々の仕事の技を支える「信念」の言語化をアップデートする中期的なリフレクションです。

エキスパートの技を支えるメタ認知的知識

先日、CULTIBASEの連載「組織学習の見取図」にて「エキスパートの技の構造」という記事を書きました。

どんな領域にも仕事の技に熟練した「エキスパート」が存在しますが、そのような「凄腕」のビジネスパーソンは、いったい何がすごいのか。

現場で役立つノウハウをたくさん持っているのか?仕事に関わる知識が豊富なのか?それとも、物怖じしない強い精神力があるのか?

そんな疑問に答えるべく、これまでの認知心理学の知見や、安斎が最近出版した学術論文の成果をもとに、技の構造をモデル化したのが上記の記事です。玄人向けに書いているためやや読みにくいかと思います。(CULTIBASE Labの皆さんには、音声ガイドがわかりやすいと好評なので、聴いてみてください)

この記事で解説している通り、エキスパートの「技」の正体とは、「こういうときは、こうすればよい」という手続的知識(いわゆるスキル)と、現象の理解を支える「こういうときは、こう解釈すればよい」という概念的知識(ざっくりいえば、フレームワークや理論)のセットで成立しています。

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エキスパートは外部環境を丁寧に観察しながら、概念的知識を使って状況を正しく把握し、その場にぴったりの手続的知識を引き出しのストックからセレクトして、実際にアクションとして実行しているのです。

そして何より大事なことは、その背後に「大切なことは何か」「何を大事にしながら仕事をしているか」を言語化した「メタ認知的知識」を保持しており、それがスキルと知識の束に厚みを持たせているのです。これが、仕事における「信念」の正体です。

何かに熟練するためには、無闇にノウハウを増やしたり、知識を覚えるだけでは不十分で、その背後にある「信念」の言語化を怠らないこと。そしてそれを定期的にアップデートすること。

それが自分自身の「技」に磨きをかけ続けるために、重要なことなのです。

自己紹介スライドを、常に最新のものにしておく

安斎自身、3ヶ月くらいの中期的なスパンで、定期的に自分の「信念」を点検し、言語化の仕方を見直すようにしています。

良い機会になるのは、外部で講演の依頼をいただいたときの、自己紹介スライドの設計です。自分の専門をなんと表現するか。限られた時間の自己紹介のなかで、自分のどんな実績を紹介するか。

自分が大切にしていることを伝えたほうが、その後の講演のメッセージも届きやすくなるため、なるべくどんな講演でも「自分が何を大切にしているか」を冒頭で話すようにしています。

そのときの自己紹介は、基本的にはいつも同じパターンで、過去のスライドの使い回しでよいと思いますが、この表現や整理の仕方を定期的に調整することで、実践の信念の言語化が、最新に保たれるように感じています。

年末年始に1年を振り返り、2021年の抱負を言語化した方も多いと思いますが、四半期に一度くらいの中期スパンでこうしたレベルのリフレクションを挟むと、短期的なPDCAと長期的なアイデンティティ探索の架け橋となるため、おすすめです。

ちなみに以下の動画は、安斎の現在の実践の信念を3つに整理して解説した、最新の自己紹介の動画です。

これが近い将来にまたアップデートされていることを祈りつつ。よければご覧ください!

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安斎勇樹
株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO/CULTIBASE編集長/東京大学大学院情報学環特任助教/人と組織の創造性を高める方法論について研究しています/『問いのデザイン』4万部突破/新刊『問いかけの作法』発売 http://yukianzai.com/