お客様は誰?
お店はあるタイミングでお客様をお客様として見なくなります。
お店の売り上げはお客様からいただく以外に発生しないので(たまに補助金や助成金が単純に利益分として入ったりするけれど)お客様がたくさんくることはいいことのはずなのです。
お店にとっては忙しいということは「仕事があり、売り上げが最大化される最高の環境下」であるはずなのに、ある時から
「仕事が進まない」とか「忙しいと大変だ」とか「閉店ギリギリにお客様がきちゃったよ」のように自分の都合を優先させるようになります。
これは誰がいけないというわけではなくてそういうものなのです。仕事でもプライベートでも誰もが「自分が可愛い」ので自分のリズムやスケジュールが崩れると不満をもらすようになります。そういう設計なのですね人間の脳は。
あるカフェのマスターが「コーヒーの焙煎を始めるようになって、焙煎中にお客様が来ると嫌な気持ちになることが増えた。それは良くないことなのでカフェの営業はやめて焙煎のみで営業するようにした」という記事を書いていました。
僕も気持ちはわかりますし、そういう時期がありました。
飲食店は(店と顧客ではなく)人と人の関係でなければならないということを数年前から偉そうに書いていますが、それ以前はお客様を人としてどころかお客様とすら見れない。自分の仕事を増やすものであり、まるでお店の方が偉いかのように思うようになった。
お店にとっては忙しいということは「仕事があり、売り上げが最大化される最高の環境下」であるはずなのに
です。しかも、自分の店なのに。
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そういう時期に、先輩に
「お客様は誰?」と聞かれました。
「そろそろお客様を馬鹿にしたくなる時期だと思う。そして実際にその通りだと思うよ。お客様は馬鹿なんだけど。でも、そういう人たちが君たちのお客様なんだよ。」
その時、目から東京ドームが落ちたんだけど、本当に身体中が粟立ちました。
ちょっと誤解がある字面だと思うので、よろしければこちらも合わせてご覧ください。
これは聖人君子でなければ誰もが一度くらいは通る道だと思います。
お客様がきても喜べない、という状態。でも考え方を変えるだけでいい。(あと自分に余裕があればもっといい)お客様を相手に商売をする目的というのは「自分の仕事を進める」ということでも「暇をもてあそび暇を恨む」でもない。
お客様に「うちの店(商品)を使ってくれてありがとうございます。お気の済むまでゆっくりと楽しんで帰ってくださいね」ともてなすことなのです。
お客様が当たり前にくるようになると感謝を忘れます。有り難みを失くします。
だから僕はいつでも「かつて、売り上げが悪く、心臓にストレスを抱え病院で精密検査を受けたとき」のことを思い出すようにしている。お客様がいないというのは地獄なのです。
だからたくさんきて欲しいと思っています。閉店時間(ラストオーダー)ギリギリでもいい、準備がままならない時でもいい。
そのおかげで細々とでも楽しく食べていくことができているのですから。
その感覚がない人はとてもじゃないけど商売には向いているとは思えない派です。
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