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点と点をつなぎあわせたその先に / それぞれにとってのシナジー

Yukiです。

今日はシナジーについて考えてみたいと思います。

商社ではトレーディングと事業投資の二軸でビジネスモデルが語られることが多いと思います。

トレーディングとは、貿易などで需要と供給のマッチング、金融機能などを提供し、取引仲介を行うことです。
総合商社に於いてはその主業務は子会社や関連会社に移管されていることが多いです。
しかしながら、トレーディングは多様且つ世界中の産業の企業との接点を持つことができる、いわば事業の基礎造りと言えると思います。

トレーディングを基に、事業の機会を探したり、共に事業を行うパートナーを選定、関係を構築して事業投資に繋げていくわけです。

さて、その事業投資を行う上で、常に問われるのは「十分なシナジーがあるか否か」です。

シナジー(=相乗効果)とは、「ある要素が他の要素と合わさることによって単体で得られる以上の効果を上げること」です。

事業投資において、その事業からの連結利益が出資コストに見合って十分なリターンがあるか、は当然のことながら大事です。
ただ単純な事業単体からのリターンだけではなく、その他保有している事業(もしくはトレーディング)とシナジーはあるかが、リターンを極大化していく上でのみならず、他社に容易に参入できない事業を展開していく上でも十分になってくると思います。

経済学的に言えば、事業単体の正の外部性(外部経済)を認識し、他の事業に有効活用して内部化していくイメージでしょうか。

とはいえ、コーポレート機能・R&D・仕入・製造・販売の統合や合理化など簡単に絵を描けるものばかりではなく、大きなシナジーを狙って生み出すのは容易ではありません。

あまりに有名ですが、スティーブ・ジョブズは2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの一節でこう言っています。

you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできない。できるのは、後からつなぎ合わせることだけだ。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。

これを事業投資に置き換えると、あらかじめ事業計画段階でのシナジーを現実化するのは困難で、できるのは、トレーディングで築いた産業との接点・基礎や他の事業を十分に広く手の中に持って置いた上で、後からつなぎ合わせることだけかもしれない、という感じでしょうか。

日本企業にとっては、失敗がなかなか許されない文化があるので簡単ではないですが、まずはスモールスタートをし、トライアンドエラーを繰り返しながら点と点を繋いでいく姿勢が大事なのかもしれません。

ここまで事業についてのシナジーについて書きましたが、個人においても同じことが言えると思います。
目の前の幅広いことに一生懸命取り組み、いつかその点と点をつなぎ合わせて大きなシナジーを生み出せるようにしておくこと、それが大事と思います。

こうやって文章を書いていることも、自分の考えの整理、書く力の向上、読んでくださる皆さんとの関係構築など、私の新しい「点」になっているかもしれません。
あとでどこかで何かと繋がることを信じて、続けていきたいと思います。

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