デザイナーの価値とクライアントが決める価値観から始まるデザイン料。
フリーランスで働くデザイナーはどう値段を決めてる?労働時間の対価?作業工数の対価?よくある相場から?そしてそれらに経費計上?駆け出しのデザイナーは特にこの値段設定に悩むんじゃないかな?今回はそんな話。
純粋な最低条件の考え方
デザイン料 = 人件費 + 経費
この人件費には大まかに分けるとディレクション費用・制作費用があるよね。間違えて欲しくないのはディレクション費用の部分を考えないで制作費用だけ考えること。じゃぁ、ディレクション費用って何?
ヒアリング
リサーチ
資料作り
コンセプトメイキング
進捗管理
打ち合わせ
これだけの労力なのにこれを無視したり時給換算にするのはどうだろう?次に制作費用について書いてみようか。
ラフ制作
デザイン制作(書体・配色・レイアウト確認と調整・校正・リライトetc...)
経費については実費、出張費用、案件ごとに変わるから初期ヒアリングの他、都度、クライアントと相談調整しながら決定していくもの。実費分の具体例を上げると
家賃
光熱費
通信費
アプリケーション使用費
フォント使用費
工具・事務用品類費
交通費
Web制作ならドメイン取得費
サーバー費
保守・メンテナンス費
ドメイン・サーバー維持費
スクリプト購入費(ケース・バイ・ケース)
広告費
グラフィック制作なら印刷費
配送費
折込費
etc..
書き出したらキリがない位の経費があるよね。これが値段を決める最低条件。次にデザインに対する付加価値等について書くね。
デザインに対する付加価値と知的財産
まず付加価値から話すとネームバリューの大きいデザイナーは高い。目が飛び出るほど高い人も。でも、この値段はその人の実績で付加価値。そんな人とは違うって諦めちゃう?簡単に諦めないで。この付加価値は自分で上げられるから安心して!それって結局、でかい仕事してヒット出して有名になること?もちろんそれに越したことないけど声を大にして言う。いや、違う!
自分のクライアントに対してだけ自分の付加価値をつけていけばいい!
どういうことかと言うと、知識・経験・実績に基づきどれだけ貢献できるか。実例をあげながら情報を与えて自分の価値を知ってもらおう。作品を知ってもらうよりその作品でどういった貢献ができたかの方が重要だよ。その積み重ねが付加価値になる。
↑情報共有で作品表現者としてのデザイナーから自分をも表現するデザイナーになろう。↑参照
次に知的財産について。商業デザイナーなら誰でも知ってる著作権法。知的財産権の1つ。ここは軽く流して何が言いたいかというと著作物の二次使用を認めるか・認めないかで値段が大きく変わるってこと。簡単に説明すると
ロゴデザインしました→クライアントはこの先長年使っていきます→クライアントがパッケージやグッズ販売等で成長して利益を上げ続けることに成功しました→さて作ったデザイナーの利益は??って思わない?
こういったこともきちんと考えて決めよう。一般的には著作権譲渡とロイヤリティ契約があるけど、どちらがいいかは難しいとこだよね。例えば自分がデザインしたキャラクターがあったとして100万円で著作権譲渡しました。1箱定価300円(税込)のお菓子のパッケージに使われるとしてクライアントは買い取り原価を10%に抑えたいとする。この時のクライアント側の計算はこう?
300(定価)×33,334(箱)=10,000,200(売上)
いやいや違う。難しいこと抜きにして定価の80%がクライアントの原価とすると利益が60円となるのでこう。
60(利益)×166,667(箱)=1,000,020(売上)
166,667箱売れて償却できることになる。膨大な数だけど年数に制限なく時間をかければ売れないこともないかも。仮に10倍の1,666,667箱売れれば買い取り原価率が1%になるから後はクライアントの利益になるよね。
次にロイヤリティ契約した場合。10万円でキャラクターを売って1箱定価300円(税込)に5%のロイヤリティを設定したとする。この時のクライアント側の計算は
(300(定価)×60,000(箱))×0.05(5%)=900,000(ロイヤリティ)
900,000(ロイヤリティ)+100,000(買取額)=1,000,000(支払額)
売れた数が60,000箱未満ならデザイナーに払う額は著作権譲渡より低くなるけどそこから先は売れれば売れるほどロイヤリティ契約の方が高くなるということに。
この見極めは難しいと思うけど自分がデザインした成果物が生み出す効果とクライアントの販売力から考えよう。そしてクライアントの想定販売数、展開、将来のビジョンをきちんと聞いた上で検討しよう。
正直いうと計算とか苦手で普段の仕事は経理にやってもらってるから間違ってたらごめんなさい...その際はご指摘お願いします。
で、結局デザイン料ってどう決めるの?
デザイン料 = 人件費 + 経費 + 付加価値(知識・経験・実績) + 知的財産 + α
ん?+αって何?それはトラブルに対応できる予算のこと。例えば広告デザインで印刷部数500,000部で折込までの案件でデザイナー側の落ち度で刷り直しかつ再折込となった時、持ち出し額を最小限に抑えることを考えてみるのもまた1つの考えじゃないかな。
コミュニケーション力・知識・経験・実績が十分にアピールできるなら自分で値段を決めずにクライアントに値段を決めてもらうのも1つの手。そこから逆算して自分の与えられる価値に見合わないと思ったら断るのもまたすごく大事なことだよ。
顧問契約といった考え方
さて、ここまで書いてきた文章はあくまでも単発仕事の考え方。yuki4maはどうすれば顧問契約に結びつくかを常に考えている。自分のコミュニケーション力・知識・経験・実績の中から特に強みがある部分を活かして考えてみよう。
↑情報共有で作品表現者としてのデザイナーから自分をも表現するデザイナーになろう。↑参照
この記事のポイント!
自分の価値(貢献度)によって大きく値段は変わるからあげる工夫をしよう。
デザインを売る ☓
付加価値を買ってもらう ◎
↑あれ?どっち?分かりやすいブランンディングとブランドの話。ちょっとマーケティングも。↑参照
自分の強みをよく知り単発仕事で終わらない工夫をしよう。
値段が高いか安いかは自分が決めることではなくクライアントが決めるということを踏まえて制作しながら対話力も身につけていこう。