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俳句10  短歌10  詩

愛撫

膝撫する母と都電の春浅し
うぐひす餅挟むゆび鼻擦るゆび
背中撫すれば母眠くなり椿
春雨のテスト子の頭を撫する
手のひらを擦る入学試験かな
野良猫を撫する弥生の防波堤
麗日に壺擦りをる少女かな
手の甲を撫する花冷の薬局
花よりも眼擦るや花よりも
逝く春や母の写真を撫する朝


洗い直しやり直し 

中辛のカレーライスが物足りぬ私の前で辛いと夫

二日目でカレーうどんになるカレーいつの間にかに許し合う日々

快晴の理由わからぬイライラがぶり照焼の焦げに出ている

手作りのコールスローがいまいちでコールスローは買うようにする

午後四時の人も疎らなカツ丼屋がんばれわたし大盛の月1

縦長な日本列島おでんには辛子も味噌も合うよ送るよ

高校も大学も知らなかったし奥歯に残るチョコも苦手だ

子宮から蹴られるという感覚はディープキスの温度に似ている

タコさんがウィンナーだとか肌理だとか母が死んでも思い出すんだ

個性とは独りよがりのエゴイスト固形石鹸で洗いなおせ

  

いつから

夕焼けチャイムに急いで
自転車飛ばし続けた夕暮れ
どこから香るあたたかい匂い
一番星かがやいてた
遠足明日お弁当
から揚げリクエストしたっけ
玉子焼きは甘すぎで
だけどめちゃ嬉しかったあの日

いつからどこからぼくは
大人になっていたんだろう
いつでもどこにいても
忘れないよ ありがとう

手をつなぎ帰る親子も
泣いても子を叱ってる親も
星の数の出会いの中
巡り巡り会った奇跡
毎日の暮らし当たり前に
気づかずに過ぎゆくけれど
泣き笑い過ぎゆく日々に
確かにあった愛情

いつからどこからぼくは
大人になっていたんだろう
いつでもどこにいても
忘れないよ ありがとう

秋風に乗り
思い出に帰る
口笛吹いて
ペダルを漕いで

いつからどこからぼくは
大人になっていたんだろう
いつでもどこにいても
忘れないよ ありがとう

続く道この先ぼくに
何が待っているのだろう
どんなに遠く離れても
忘れないよ ありがとう

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