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[ブログ] ヤングキングに持ち込みをした原稿のその後

3/25発売のヤングキングに…

ドドン!いました!😇

他の25歳とか29歳とかの人に混じって46歳が鎮座しています。ワイルドですね~😇

1月に行った持ち込みの後、原稿はこの賞に提出していたんです。

実はこれ、受賞は出来ていないんですよね。最終選考に残ったという事です。要は「あと一歩で賞」的な事です。さらに私は若い頃に漫画が受賞した事は何度もあって、漫画とはちょっと違う企画では大賞を取った事もありました。数年前にもnoteのコンテストで賞をもらっていましたよね(でもどちらも名前を消されてしまったり、連載の話は無かった事になってしまたり、散々でしたが…)。そういう流れもあって、「あと一歩で賞」というのは今までの経験から言うとランク的には低いんです。

…が、今回の結果は今までで一番嬉しいです。なぜかというと、自分の力で出した結果だからです。

漫画家デビューまでの仕組みを説明すると、まず持ち込み等で見込みがあるとみなされて編集者とつながりができるのが第一歩です(担当編集者と言います)。そして担当編集者と打ち合わせをしながら読み切りの漫画を一作完成させます。ある一定のレベルに届くまで何度も修正が入ります。完成までにだいたい半年~1年くらいかかります。ページ数は30ページ前後が目安です。そしてその漫画を賞に出すのです。つまり、この時点で賞が取れる率が高い漫画になっているんですよね。そのレベルに届くまで担当編集者のOKは出ないのですから。そして私が受賞していた漫画も、全部このパターンでした。

人によっては家で一人で描いた漫画を賞に出して受賞というパターンもあるのですが、割合は少ないんじゃないかなと思います。昔の担当編集者が「賞に応募される漫画の大半は漫画として成立していない」と言っていました。なので、絵がとびぬけて上手いとか、描写にすごく勢いがあるとか、すごい個性が無い限りはそのパターンは無い気がします。

そこで今回の「杉村くん」です。完全に一人で家でコツコツ描いていた漫画です。そもそもは賞とかそういうのを狙ってすらいませんでした。それが「あと一歩で賞」とは言え、チョコンと載っているのです。以前何度か描いたように、私は小さい頃から世の中になじめない子供でした。保育園では周りが恐くて泣いてばかりいて、ほとんどの時間を一人で折り紙を折って過ごしていました。小学校も引き続きいるんだかいないんだかわからない子供でした。

https://note.com/yuki1192/m/m0b7b30a5d458

中学ではそういうはぐれちゃった人達の不良グループに入っていましたが、やっぱりどこかで違和感はありました。

https://note.com/yuki1192/n/n2f8d74a01796?magazine_key=m7312acef2dea

高校からは美大受験を始め、絵を描くという自分の中での居場所は見つかった一方、周りの美大受験生とは全然ノリが合いませんでした。そしてその美大も落ちたため、絵の世界も自分の居場所とはなりませんでした。

https://note.com/yuki1192/n/nff8565ed5834?magazine_key=mad6a2457605d

その後普通の大学の経済学部に入り、1年生の時に漫画研究会(…という名のオタクサークル)に入りましたが、自分はそんなにオタクでもなかったようで、あまり合いませんでした。経済学部の授業も一つも理解できませんでした。そして卒業後に漫画を描いて持ち込みを始めました。基本的に漫画家ってこういうはぐれちゃった人が多いので、ここならと思ったのです。

https://note.com/yuki1192/n/n8630c48f71d1?magazine_key=mad6a2457605d

…が、やっぱりデビューはできなかったんですよね。受賞はできてもその先、掲載されるまでのレベルには何年かけても届きませんでした。6,7年はやったと思います。はぐれちゃった君だった自分は、はぐれちゃった君の集まる場所にすら入れてもらえなかったのです。担当編集者というお助けもありながら、です。担当編集者の側も、何か月もかけて自分をデビューさせるために仕事をしてくれていたのに、何人もその期待を裏切る事になってしまっていました。

https://note.com/yuki1192/n/n8630c48f71d1?magazine_key=mad6a2457605d

自分はサラリーマンとして働いた事も無いので、今の所社会人としてこれという居場所があった事はありません。そういう何だかわかんない君である自分も好きではありますが、実はそれが、日々感じる絶望のようなネガティブな気持ちの原因の一つにもなっている気がします。人間は群れで暮らす生き物ですからね。群れに入れない事は死ぬ事と思う本能は残っていると思います。一応結婚&妻ちゃんの実家近くに暮らすという形でミニ群れを作ってはいます。…が、それすらも苦しい時があって、今回持ち込みを再開したという事です。

https://note.com/yuki1192/n/n95b6aca7b81d

そして今回の「あと一歩で賞」という事なのです。やっと片足、つま先だけかもしれませんが、自分が自分としてちょっぴり世の中に受け入れられたような気がします。担当編集者と作った漫画って、半年もあれこれやっているため「自分なり」が結構減ってしまうんです。なので受賞しても自分の力じゃない気がしちゃうんですよね。自分が受け入れられたわけじゃない気がするんです。今回の「あと一歩で賞」の次は、掲載されるかどうかというジャッジが待っています。今、持ち込みの時の編集者が編集長と交渉してくれているようです。彼は本当に持ち込みの際に、すごく私の漫画を気に入ってくれたんです。そして仮に掲載されたら、読者アンケートの集計です。この結果が良ければめでたく連載です。連載中も毎号アンケートがあり、悪い結果が続けば連載終了ですし、良い結果が続けばそれだけ連載も続き、その話数がたまればコミックスになります。その売れ行きが良ければまた連載は続きますし、連載が終わってもまた次の連載枠をもらえやすくなります。この先もいろいろ何段階もあるわけなのですが、それは全部私にとっては希望です。私は毎日ミニ絶望をしながら暮らしています。不眠症もうつも10年続き、長いトンネルから全く抜けられません。妻ちゃんの体調もずっととても悪いです。自分と妻ちゃんはこの先どうなってしまうのか、ただただ毎日ニコニコするようにしてやり過ごしています。そんな中、漫画で何か目標がある事は、自分にとっての唯一の希望です。小さい頃に周りになじめなくて折っていた折り紙と全く同じです。ちなみに、今回掲載されるにあたって初めてペンネームを「杉村未樹」と設定しました(以前はずっと本名でやっていました)。このペンネームは、私の本名に妻ちゃんの名前と地元の名前を混ぜて作りました。今の私と今までの私の人格は、愛するこの二つの要素で出来ています。「杉村くん」のベースもその二つにあります。それを読んでくれる人が沢山いて、さらにこの先の希望となっているのは、幸せな事です。いつもありがとうございます。続報も楽しみにしていてくださいね。


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