ゼロから始める伊賀の米づくり55:例年より遅い梅雨入りと、中干し前の田んぼライダー
2020年1月、父から実家の米作りを継いで5年目の初夏。田植え後に行う中干しのシーズンがやってきました。
家族経営の兼業米農家という形式上、口伝や暗黙知で伝えられてきた業務フローやプロセス。それらをきちんと見える化し、共有知として遺していこうと始めた記録も、今回で55回目です。
前回は、5月連休中に行なった田植えの際の気づきについてまとめました。
今回は、田植え作業の際に気づいたことについてまとめたいと思います。
中干しとは?
「中干し」は、一度、田んぼの水を抜くことで土と稲の手入れを行うことです。水に浸された圃場は、酸素不足の還元状態となり、メタン等の温室効果ガスを発生させてしまいます。
また、そのような温室効果ガスを生み出すだけではなく、様々なガスが稲の根にダメージを与えることもあります。
その際、水を一度抜き、田んぼの土にひび割れができるまで乾燥させ、土中に空気を呼び込むことで環境が変わります。
また、苗についても水がなくなることでより深くまで根を伸ばし、しっかりとした稲に育っていきます。
溝切りとは?
この、「中干し」前に、我が家の田んぼで行っているのが、「溝切り」です。
「溝切り」は、田んぼの水の抜けがいまいちの田んぼで行うことがあります。
我が家では毎年、『中干し』の前に田んぼの中に入って溝切りを行い、いざ水を抜く際に流れを良くする水路をつくります。
地域や家によって溝切りのルートも違うようですが、我が家は碁盤の目状に縦横無尽に田んぼの中を走っていきます(人呼んでライダー)
溝切り機に乗って溝を切る、溝切り機を担いで次のルートへ移動する、溝切りが一段落すると交差点が繋がるように足で踏みながら溝の中を歩くなど、やってみると中々の重労働です。(5年前から筋トレを習慣にしていますが、こういう時に「やってて良かった」と実感します)
さて、一通り作業を終えると、田んぼには直角に交差するラインを見ることができます。
この溝は最後、排水口につながっており、ここに向けて水が流れ、スムーズな排水とその後の中干しにつながります。
未だ、梅雨入りせず
無事に作業を終えた後は、爽やかな青空を眺めることができました。
ただ、よくよく考えてみるとこの作業を終えた時点で既に6月中旬となっており、未だ梅雨入りはしていませんでした。
田んぼを渇かす上で晴天が続くのはありがたいことではあるのですが、また例年とも異なる気候が気になり、気象ニュースを眺めてみることにしました。
今年の近畿地方の梅雨入りは6月21日、例年より2週間ほど遅い梅雨入りとなったようでした。
また、後日別の気象ニュースによれば、今年の梅雨は例年よりも短く、場所によっては警戒が必要なほどの豪雨になる可能性もあるとの報道がありました。
百姓は毎年一年生とは言いますが、今年も昨年までとは異なる気象条件を味わいつつ、豊作に向けてぼちぼち見守っていければと思います。