上に積み重ねて初めてわかる、地道な仕事の存在感。
竹を編む中で一番大切で難しいのは、実は編むことではなく材料の加工、竹ひごづくりだ。
編む技術ももちろん大切なのだけれど、材料である竹ひごがうまく作れていないと、編んでみるとその違いがすぐにわかってしまう。
竹をぱっかんと割ったら半分に半分にと細くしていく。
ある程度細くなったら、今度は厚みを減らしていく。
それが剥ぎ(へぎ)という工程。下の写真。
そして細くするのは割りという作業。
これを交互に繰り返すことで、ひごは薄く細くなっていく。
ちなみに厚みを減らす剥ぎは、手作業と、節越え線引きという道具を使う。
中央のネジの下に刃があって、竹を通すと一定の厚みになる優れもの。
そして細くするためには、ナタで狙い通りに割れればそれでも良いのだが、一定の幅にする必要のあるときは、幅引き小刀(はばびきこがたな)を使う。
丸太に小刀を金槌で打ち込んで刃と刃の間を好みの幅にして、そこに竹ひごを通すと一定の幅に仕上がる。
道具はあくまでも微調整なので、結局は自分の手に頼ることになるのだが、これが難しい。
そしてよく手を怪我するのだこれが。
ナタで切るというよりは、竹で切る。
ナタは使う前に、ヤスリで切れ味を落としているのでそこまで怖くない。とはいえ、重さがあるので叩っこんだら当然切れる。
そうならないために、竹を持つ左手は常に力を入れておくようにと口を酸っぱく言われた。
しっかりと竹を掴んでいれば、ナタに力を入れてもスコーンと手の方に飛んできたりはしないのである。
理論上は。
そう、理論上はね。
この刃の進む先に手を置かなければいけないと思って欲しい(写真撮ってるから写ってないけれど)、軍手をすると感覚が鈍る。素手なのだ。まあまあ怖い。
どうやって克服するかというと、結局慣れだ。
やっていればだんだん力の加減がきくようになり、竹の割れる瞬間もわかるようになる。
とはいえ、革の指サックでも作ろうかと思うくらいには指先がささくれる冬の日だけど。
そんなふうに割り出す竹ひご、この出来さえ良ければ編むのは格段にやりやすい。
よく、竹ひごさえ作れりゃ大丈夫、と言われたものだ。
技術は大切だけれど、素材の確かさが土台としてあった上に積み重ねる技術は、より確かなものになるな、と自分が竹ひごから作ってみて初めて思った。
何ごとも基本で、何ごとも素材。
横着はしないようにしなければ、と思う。
さて、そんなこんなでひごがとりあえず割り出せました。
明日から道具を使って微調整します!
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