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【小説】不思議な夏の恋#3

 「颯人は次のテスト自信あるの?」
 最愛の彼女、森結衣(もりゆい)は俺(小泉颯人(こいずみはやと))に言った。
 「まぁ、学年5位は取りに行きたいと思っているけど」
 そう彼女の問いに答えた。
 ここだけ聞けば様に聞こえるが、俺は昔はバカだった。しかも中々痛い奴。
 
 あれはまだ俺がガキの、中2のクリスマスの日だった。
 なんか俺と俺の事が好きな子をくっ付けるために、周りがデートを計画しだした。
 丸の内のイルミネーション。
 まさにクリスマスデートにはぴったりの場所だった。
 俺の事が好きだった女子には悪いが、俺は、同じ委員会で今俺の彼女である、森結衣のことが好きだった。
 周りはそんなことも知らず、俺とその子をくっ付けようとした。
 1人、また1人と、いちゃもんを付けて抜けていき、ついに2人きりになった。
 最後に抜けた協力者は...…
      俺の好きな「森結衣」だった
 そして、彼女が抜け、俺とその女子の2人になった時、
 「小泉、話があるんだけど」
 そう言われた。
 あの時に
 「ごめん、俺の事を好きでいてくれてありがとう。でも期待には答えられない。」
 そういえば良かったんだ。気づいていたのに。
 そして予想通り彼女は
 「小泉の事好き。付き合って欲しい」
 上目遣いを効かせてそう言った。あざとい奴だ。
 ちなみにこの子は、この前、他の男子にも同じようなことをしていた。悲しい奴だな。
 俺は
 「ごめん」
 とだけ言った。
 彼女は
 「そっか。じゃあまた学校で」
 と言った。
 相変わらず強い女子だな。次はどの男子にいくのだろうか。
 彼女はなぜ、「ごめん」としか言えないような、成績も悪く、クズで、面倒くさい人間なんかを好きになったのだろうか。
 まぁこの子に関しては所詮誰でも良さそうだが。
 そして1人、丸の内のカップルで埋め尽くされたイルミネーションの道を歩いていた時...…
      森結衣を見つけた
 彼女は1人で歩いていた。
 そんな彼女に思わず俺は声をかけてしまった。
 そして、木々と光と自分達の世界に入り込んでいるカップルに見守られながら
 「俺、森の事が好きだ。付き合ってくれ」
 つい、そう口走ってしまった。
 そんな俺の告白を彼女は...…
        断った

 今思えば「付き合ってくれ」ってなんだよと思う。
 「付き合ってください」だろ。
 あの時の自分は幼すぎた。
 女たらしで、頭も悪くて、変なプライドと意地を張っていた。
 きっと森はそんな俺の姿を知っていたから、俺の告白を断ったのだと思う。
 俺は森の事が愛おしくて堪らなかった。
 頭が良くて、美人じゃないけど可愛い系で、笑顔が輝いてて、可愛い。
 優しくて、周りに気を遣える、そんなところに引かれた。
 森にもう1度想いを伝えたかった。
 だから……
   俺は森に見合う男子になろうとしだした。

 中3になってから、俺は森に見合う努力をしだした。
 勉強も頑張った。
 気づいたら学年5位以内が当たり前になっていた
 あの偉そうな態度を直した。
 女たらしを辞めた。
 そしたら、周りが俺の変化に気付きだした。
 女子が媚びるようになった。
 「小泉君!勉強教えてくれない?」
 「颯人君……今度2人で遊ばない?」
 こんなのばかりになった
 俺は森に声を掛け続けた……。

 そして受験を控えた秋に、俺は帰り道森に
 「クリスマスに告白してくれて、あのときは断っちゃったけど、やっぱり小泉の事が好き。付き合って貰えませんか」
 そう言われた。
 俺はこの告白に裏があることを知っていた。
 それは……
    彼女の告白が罰ゲームであったこと
 だから俺は……
       「後、1ヶ月待って」
 それだけ言って、家に帰った。

              第4話に続く……


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