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金12:金の加工技術(金箔)

おはようございます。
今日は天気が良いわりに雲が多くて、ちょっと見た目で損をしている晴れ、といった感じ。

金を金属同士で合わせて使う地金ではなく、木工や漆に使われる金素材について学んでいきたい。

金箔や金粉はほぼ同じようなものと思われがちだが、それぞれの金には種類ごとの違いがある
金箔はそういわれて思い出す折り紙よりちょっと小さいサイズの箔だけでなく、それを切り出した切り廻しというものがある。金粉はそれをアレンジした金泥と呼ばれるものに加工して使われることがある。

金箔
切廻し
金粉
金泥

この4つのうち、今日は金箔を見ていこう。

金箔

金を金槌で叩いて極限まで薄く引き延ばしたもの。
熟練の職人によって作られる金箔は1万分の1ミリメートルほどの薄さになり、2グラムの金があれば畳1枚分という大きさの金箔を作ることができる程。
極限の薄さまで延ばすには、卓越された職人技と金箔づくりを左右すると言われている紙仕込み、金箔づくりに適した気候などあらゆる要素が必要とされる。
金を薄く打ち延ばしたシート状のもので金箔の厚さは10000分の1〜2mm、金箔は銀と銅が微量に含まれており、それらの配合により色が変わる。24K箔は99.999%純金でできている。

金箔は江戸時代に加賀藩前田家の藩政期の頃に金沢で多く製造されるようになった。かつて仏壇仏具の装飾のために使われていた金箔は、その後漆器や陶磁器などの工芸品の装飾、たんすやふすまなどの家具類の装飾にも使われるようになった。
金箔の製法には伝統的な製法である「縁付金箔」と昭和30年代後半〜50年ごろから登場した「断切金箔」と2つの製法がある。
今日は、この縁付金箔が出来上がる工程を見ていきたい。

縁付金箔

金あわせ

まずは、金に微量の銀、銅を溶かし合わせます。99.99%の金は柔らかすぎ、薄く延ばしにくいため、銀と銅を加える。
金、銀、銅を1300度に熱したるつぼに入れ、約10〜15分溶解させた後、型に流して成形していく。

延金

合金したものを圧延機で帯状に延ばしていく。20回ほど繰り返し、100分の2~3mmまで薄くたものを約6cm角に切断する。これを「小兵(こっぺ)」と呼ぶ。

澄打ち

小兵をさらに薄くなるように紙いっぱいに打ち延ばていく。12cm角まで打ち延ばしたものを「荒金」と言う。「荒金」を4分の1の大きさ(6cm角)に切り、これをまた約20cmの大きさまで引き延ばす。これが「小重(こじゅう)」。この小重を、さらに4分の1の大きさ(5cm角)に切り、さらに引き延ばしたのが「大重(おおじゅう)」。これを仕上げ用の紙に挟み仕上げたものが「上澄(うわずみ)」、この時点で1000分の3mmになる。

引き入れ

ここから、1000分の3mmの薄さの上澄を、1万分の1mm〜2mmの薄さに仕上げていきます。上澄を12枚ほどの大きさに切ります。これを「小間」といいます。この小間を、一枚一枚、箔打ち用の紙に挟む作業を引き入れという。

打ち前

箔打ち用の紙に重ねた澄を当皮などで固定し、箔打ち用の機械で打っていく。打ち上がったら紙の仕込みを終えた主紙に移し替えて、さらに10000分の1mmの薄さまで広げる。

金箔作りに欠かせないものが、箔をたたく際に箔の間に挟む箔打紙と呼ばれる手漉きの和紙だ。この和紙の仕上がりが金箔の質を決めるほど重要と言われる。和紙を卵や柿渋・灰を燃やした汁に浸し、たたいて紙をしめるという作業をくり返して、叩いても破れにくく金箔を打てる状態にしていく。
金箔が打てるようになるまでは約半年かかり、使い終えた箔打紙は高級あぶらとり紙になる。

引き入れ(2度目)

打ち上がった金箔を品質を確認しながら、それぞれ広物帳(ひろものちょう)に移す。使う道具は、静電気が起きにくい竹箸と天狗爪と呼ばれる指先につける和紙で作られた円錐系の爪(指先につけたとても長いとんがりコーンのイメージ、と言って伝わったらちょっと嬉しい)。1万分の1mmという非常に薄い金箔を扱うので、少しの風や静電気でも破れてしまうほどの繊細な作業となる。

箔移し

最後の工程で、広物帳に移した箔を切り揃える。金箔には10.9cm角、12.7cm角、15.8cm角、21.2cm角の4種類のサイズがあり、日本では10.9cmが主流。箔を切り揃えるのは竹製の枠で、皮板を左手に持ち、広物帳から竹箸で金箔を移します。移した金箔は枠で上下、左右を切ります。切り終えた箔は切紙にのせて完成となる。
金箔を挟む紙の寸法が金箔を縁どるようにひと回り大きいことから「縁付」と呼ばれる。

縁付金箔の製造は2014年に国の選定保存技術となり、2020年12月には「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録された。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

いくら柔らかい金属と言えども、それを10000分の1mmにまで薄く伸ばしていくの大事なのは、ひたすら叩き続ける根気だろう。それにより実現した金箔は僕らの身の回りにある紙よりもはるかに薄く、コピー用紙が大体0.1mmとされているのでコピー用紙の横に1000枚の金箔が詰める計算だ。それほどまでに薄くできることとともに同時に脅かされるのは、その薄さにおいても光輝く金の素材としての強さ。そんなに薄いものでも漆と共に塗ることで漆器として、また寺社仏閣の屋外の建築の一部にも使われて強度と共に色を発せられる金が、唯一無二の存在として世界中のどんなバックグラウンドの人々にも等しく愛される所以の一端がわかった気がする。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い週末を。

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