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『光る君へ』第24話を観て・・・※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。
『光る君へ』も、もう24話です。
今回も色々なことが起こりましたね。


 親友・さわの死

肥前の国司である父に従い、肥前に下ったさわ(野村麻純さん)が亡くなったと悲しい知らせが届きました。
それと共に歌も・・・。
この歌は「紫式部日記」に書かれています。
さわは架空の友達でしたが、実際に紫式部の友人が肥前に下向し、文を贈っていたのです。
紫式部が贈った歌はこちら・・・
 あひみむと思う心は松浦なる
     鏡の神や空に見るらむ

(あなたに会いたいと願っている私の心をあなたが住む肥前松浦にある鏡神社の神様が空からみていることでしょう)
そして、年をまたぎこの歌に返した友人の歌がこちら・・・
 行めぐり逢ふを松浦の鏡には
    誰をかけつつ祈るとか知る

(行めぐり、会えるのを待つという松浦の鏡の神様は私が誰を待っているのかご存知でしょう。それほどあなたにお会いしたいのです)
これがさわの辞世の句として披露されたわけです。
『源氏物語』で松浦の鏡の神を歌に詠みこんだ部分があります。
第二十二帖「玉鬘」にて。
 君にもし心たがはば松浦なる
     鏡の神をかけて誓はん

(姫に対する気持ちは変わりませんが、もし心変わりしたならば神罰をうけてもよいと松浦の鏡明神に誓約しましょう)
玉鬘に求婚していた大夫監(たいふのげん)がけして心を変えまいと詠んだ歌ですが、乳母が鼻白んで次の歌を返します。
 年をへて祈る心のたがひなば
    鏡の神をつらしとやみむ

(長年姫の幸せだけを願ってきた私の願いがこんな田舎者の妻になることで挫かれるのであれば、それこそ鏡明神をお恨みします)
玉鬘は大臣の娘ですので、なんとか都にて父君との再会をはたせるよう乳母たちはけして地方の身分低い者に縁付かせるわけにはいかないと考えておりました。大抵の求婚者は姫の体に不具合があるというと諦めましたが、大夫監はなかなか厄介な存在でした。
あの辺りでは力もあり、財力もあり、美女と聞くや手に入れたい、という自信家ですね。
そして乳母は逃げるように姫を連れて京へ上ったのでした。

 佐々木さんかっこいいですね

宣孝(佐々木蔵之介さん)のプロポーズのセリフは良かったですねぇ。
「忘れえぬ人がいてもよい。それもお前の一部だ。ありのままのお前を丸ごと引き受ける。それができるのは私だけだ」
大人の男性らしい包容力のある台詞でした。
まひろもいい年ですし、心の中に道長がいても、宣孝は受け入れてくれるというのですから、心が決まったのでしょう。
若かりし日の熱烈な恋の相手と結婚すれば幸せになれるのか、というと必ずしもそうではない場合もあるでしょう。
長く知れば知るほど遠慮も無くなってきますし、ある程度は節度というものが必要なのではないかと思います。
宣孝ほど長く近しい男性はいないと思いますが、そこは親子ほども年が離れているので、適していたのかもしれません。
まひろは現実的に心に折り合いをつけた、ということでしょう。
残念ながらこの結婚生活は三年で終わってしまいますが、母となることで紫式部の経験値がぐっと上がったに違いありません。
それにしても為時パパのビックリギックリ腰は痛そうでした。。。

 周明、退場

まひろを懐柔して左大臣・道長に手紙を書かせようとした周明(松下洸平さん)。
その真意を看破したまひろは従いません。
たしかに好きな女の頼みといえど、まひろの手紙ひとつで左大臣の政事に影響を及ぼすことなどないのが現実でしょう。
それを脅して何とかしようとするのは、ドラマの設定ですけど、何だか残念な感じです。
これで周明はもう退場ということですね。
違和感があちこちにありますが、失敗した周明に商談のボスである朱が慰めてましたね。
エッ、本当はまひろのこと好きだったの?
よくわからん、でも、周明もう出てこないんだよね。
というのが率直な感想です。
どうやらまひろに言葉を教えるというだけの役割だったようですが、まひろは来週には京に帰ってしまうのですから言葉を覚える必要はなかったのではないでしょうか。
ともあれ松下さん、ご苦労様でした。

 実資、ボヤく・・・

実資(ロバート秋山さん)がボヤいているのは毎回ですが、(『小右記』でもそうですからね・・・)出家した定子を職曹司に迎え入れたのは、やはり普通ではありえないことですね。
一条天皇(塩野瑛久さん)のたっての願いということでさすがの女院(吉田羊さん)も後押ししますが、道長にとっては厄介なお願い事でした。
職曹司とは、中務省のような働きをしていて、内裏のすぐ後ろ側(北東)に設けられた舎のことです。内裏で火事など起きると帝はこちらに避難されるように、帝にとってはごく身近なスペースと考えていただくとよいでしょう。
これ見よがしに他の女房たちが通りすがりに嫌味を言っていましたが、定子ばかりを寵愛する帝を面白く思わない輩は多かったことでしょう。
晴明(ユースケさん)の予言通り、この後定子は念願の男皇子を生み、もう一人皇女をもうけて力尽きてしまいます。
一条天皇は定子を愛していたようですが、定子はどうだったのでしょう?
いつもそれを考えてしまいます。
身分高い家に生まれ、后がねとして教育されてきた女性というのは、えてしてその意志を抑え込まれるようなところがあります。定子は生き延びるために一条天皇に縋るしかなかったのだとつくづく感じますね。
清少納言の存在というのは定子にはとても重要なものではなかったのではないでしょうか。孤立無援の針のむしろに座り続けるというのは心を削ったに違いありません。

さて、『光る君へ』では、劇中劇を制作されないということで非常に残念ですが、紫式部が『源氏物語』を執筆しはじめる時が近づいておりますね。
劇中劇はなくとも吉高さんによる構想の背景や朗読などがされるとまた別の楽しみ方ができそうです。

では、また来週☆

コングラボードをいただきました。
ありがとうございます♡

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