紫がたり 令和源氏物語 第三百八十三話 柏木(十三)
柏木(十三)
夕霧は柏木が遺して逝った人たちを柏木に代わって慰めて差し上げようと心を配っておりますが、なかでも一条邸が気になって仕方がありません。
閑静な佇まいでは鳥のさえずりが響き、ほのかな香が芳しく、静かに慎ましく暮らされているご様子がまた好もしい。
足繁く見舞うごとに心惹かれてゆくのです。
夕霧の三条邸では年子の元気な若君が走り回り、また子供が生まれたものでこうした生活とは真逆であると言っても過言ではありません。
恋妻であった雲居雁はすっかり母の顔になり、口うるさ