マガジンのカバー画像

紫がたり 令和源氏物語

509
青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
運営しているクリエイター

#柏木

紫がたり 令和源氏物語 第三百九十八話 夕霧(一)

 夕霧(一) 夕霧の大将は品行方正で堅物ともてはやされておりますが、亡き柏木の妻であっ…

YUKARI
10か月前
24

紫がたり 令和源氏物語 第三百九十五話 鈴虫(四)

 鈴虫(四) 十五夜の月が華やかに差し昇り、辺りには源氏の爪弾く琴の音が微かな揺らめき…

YUKARI
10か月前
21

紫がたり 令和源氏物語 第三百九十一話 横笛(八)

 横笛(八) 西の対の御座所に移った源氏は幼子たちに見せる顔とは違った父親の顔をしてお…

YUKARI
10か月前
15

紫がたり 令和源氏物語 第三百九十話 横笛(七)

 横笛(七) 翌日六条院を訪れた夕霧は、父が明石の女御の御殿にいるということで、久々に…

YUKARI
10か月前
15

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十九話 横笛(六)

横笛(六) いつしかうとうととしていた夕霧は亡き柏木の夢を見ました。 夕霧が一条御息所か…

YUKARI
10か月前
13

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十七話 横笛(四)

 横笛(四) 「きっと秋の夜長の風流と故人も許されるに違いありません。そうそう、この破れ…

YUKARI
10か月前
19

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十三話 柏木(十三)

 柏木(十三) 夕霧は柏木が遺して逝った人たちを柏木に代わって慰めて差し上げようと心を配っておりますが、なかでも一条邸が気になって仕方がありません。 閑静な佇まいでは鳥のさえずりが響き、ほのかな香が芳しく、静かに慎ましく暮らされているご様子がまた好もしい。 足繁く見舞うごとに心惹かれてゆくのです。 夕霧の三条邸では年子の元気な若君が走り回り、また子供が生まれたものでこうした生活とは真逆であると言っても過言ではありません。 恋妻であった雲居雁はすっかり母の顔になり、口うるさ

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十二話 柏木(十二)

 柏木(十二) 柏木の弟の左大弁の君か宰相の君かと思っていたところに、夕霧の大将とは当代一…

YUKARI
11か月前
16

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十一話 柏木(十一)

 柏木(十一) 次代を担う眩しい御子の誕生に沸く六条院とは対照的に、源氏の永遠のライバ…

YUKARI
11か月前
21

紫がたり 令和源氏物語 第三百八十話 柏木(十)

 柏木(十) 源氏は宮を出家させてしまったことを心底悔やみ、若い尼姿を見ると悲しくなり…

YUKARI
11か月前
22

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十九話 柏木(九)

 柏木(九) 「まこと優れた御方は早く天に召されてしまうことよ」 柏木が身罷ったというこ…

YUKARI
11か月前
12

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十八話 柏木(八)

 柏木(八) 柏木にはもう起き上がって夕霧を迎える力も残っておりません。 それでも秘めら…

YUKARI
11か月前
19

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十七話 柏木(七)

 柏木(七) 紫の上は女三の宮のことを思っておりました。 物の怪につけいられたということ…

YUKARI
11か月前
14

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十六話 柏木(六)

 柏木(六) 二条院にある紫の上には、いち早く源氏の使者から女三の宮の出家が伝えられました。 源氏は六条御息所の害意がこの上にも及んでおらぬか心配で、何事か出来していないかを確認させるために腕に覚えのある信頼できる家臣を即座に上の元に向かわせたのです。 「このような夜更けに何事ですか?」 紫の上の乳母・少納言はただならぬ使者の様子に眉を顰めました。 「紫の上さまはお変わりがありませんでしょうか?」 「一体何があるというのでしょう?」 「今しがた六条院にて女三の宮さまが落飾