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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2023年8月の記事一覧

スタンスを『令和源氏物語』に変えたこと

みなさん、こんばんは。 すでにお気づきかと思われますが、表題「紫がたり」のサブですが、『…

YUKARI
1年前
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紫がたり 若菜・上下 を通じての主要点

みなさん、こんばんは。 長かった若菜・上下がとうとう終わりました。 上下合わせて64話。 私…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十六話 鈴虫(五)

 鈴虫(五) ちょうど盃が二巡りほどした頃に冷泉院から御消息がありました。 院は御所での…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十五話 鈴虫(四)

 鈴虫(四) 十五夜の月が華やかに差し昇り、辺りには源氏の爪弾く琴の音が微かな揺らめき…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十四話 鈴虫(三)

 鈴虫(三) 山の院(朱雀院)は源氏を慮り、女三の宮に移譲した三条邸へ宮を移されるよう…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十三話 鈴虫(二)

 鈴虫(二) 開眼供養が始まり、高僧の尊い読経や説法など次々に為されるなかで、源氏は感…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十二話 鈴虫(一)

 鈴虫(一) 少し前の初夏の頃、六条院の蓮池が凛とした花で彩られた時分に出家した女三の宮の御持仏の開眼供養が行われました。 源氏が宮の為に作らせた御仏です。 阿弥陀如来の左右には観世音菩薩と勢至菩薩が従い、すべて白檀で作られた像は慈悲深く上品な面をしておられます。 紫の上は宮の突然の出家に驚き、それを源氏が赦したのですから羨む心を抑えきれませんでした。 そこにはどんな事情があったというのでしょう? 世間の人々は産後に病弱になられた宮が御仏の功徳を求めて出家したのだと納得

紫がたり 令和源氏物語 第三百九十一話 横笛(八)

 横笛(八) 西の対の御座所に移った源氏は幼子たちに見せる顔とは違った父親の顔をしてお…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十話 横笛(七)

 横笛(七) 翌日六条院を訪れた夕霧は、父が明石の女御の御殿にいるということで、久々に…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十九話 横笛(六)

横笛(六) いつしかうとうととしていた夕霧は亡き柏木の夢を見ました。 夕霧が一条御息所か…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十八話 横笛 (五)

 横笛(五) 雲居雁が夕霧が近頃ぼんやりと心ここにあらずといった様子なのを気付かぬはず…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十七話 横笛(四)

 横笛(四) 「きっと秋の夜長の風流と故人も許されるに違いありません。そうそう、この破れ…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十六話 横笛(三)

 横笛(三) この秋の夕暮れはなんとも趣深いものであろうかという感慨もひとしおな折、夕…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十五話 横笛(二)

 横笛(二) 春の陽気が高まる頃、薫はもう部屋中を無尽に這い回るように活発になっておりました。 その日は山の院(朱雀院)から女三の宮の元に山で採れた筍が届けられており、まだ芽吹いたばかりの小さな筍ですが、ほのかに漂う土の香りが女三の宮の御座所に春の訪れを告げております。 薫がこちらにいると聞いて訪れた源氏は、笊の上にこんもりと盛られた筍のと山芋を珍しそうに眺めました。 「これは兄上からの贈り物かな?」 「春の便りですわ。先ほど届きましたのよ」 乳母はうれしそうに薫をあやして