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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2023年3月の記事一覧

『胡蝶』の帖について

みなさん、こんにちは。 本日は「胡蝶」の帖について書きたいと思います。 この帖も前半部分は…

YUKARI
1年前
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なんとも雅な『初音』の帖について

みなさん、こんにちは。 本日は「初音」の帖について書きたいと思います。 この帖は平安貴族の…

YUKARI
1年前
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次帖 「真木柱」について

みなさん、こんにちは。 玉鬘のお話は次帖「真木柱」でクライマックスを迎えます。 実はこの帖…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百七十一話 真木柱(二)

 真木柱(二) それは月が無く、やや強い風が吹く晩でした。 いつもよりも闇が濃く感じられ…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百七十話 真木柱(一)

 真木柱(一) 髭黒の右大将は弁のおもとの所に足繁く通い、せつない恋心を訴え続けており…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十九話 藤袴(四)

 藤袴(四) 玉鬘姫の入内を控えて六条院はまた俄かに慌ただしくなっておりました。 宮中に…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十八話 藤袴(三)

 藤袴(三) 玉鬘は八月の中旬に喪服を脱ぎましたが、来る九月というのは入内には忌む月なので、宮中に上がるのは十月と正式に決定されました。 それが世間に知らしめられると、求婚者たちは諦める者もいれば、なんとか九月中に姫と結婚したいものだと熱心に申し込まれる方もおりました。 髭黒の右大将も然りで玉鬘を妻にしたいと柏木に詰め寄ります。 右大将は柏木の直属の上司なので、無下にもできず、柏木は密かに父である内大臣と大将を引き合わせました。 「どうか私に玉鬘姫を下さい。必ずや幸せに

紫がたり 令和源氏物語 第二百六十七話 藤袴(二)

 藤袴(二) 夕霧はつい軽率にも告白してしまったよ、と玉鬘姫の不興を恥ずかしく感じまし…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十六話 藤袴(一)

 藤袴(一) 玉鬘の裳着の式が終わった後に、とうとう三条の大宮は身罷ってしまわれました…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十五話 行幸(九)

 行幸(九) どこから真実というものは漏れ出るのか、玉鬘姫が実は内大臣の姫であるという…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十四話 行幸(八)

 行幸(八) 裳着の儀は亥の刻(十時頃)とのこと。 内大臣もこの日ばかりは遅れてはなるま…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十三話 行幸(七)

 行幸(七) 玉鬘姫の裳着の式当日がやってきました。 若葉が芽吹き始め、空気も温むよい日…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十二話 行幸(六)

 行幸(六) 二人の大臣にとってその宵の酒はことのほか美味に感じたことでしょう。 まだ夕…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第二百六十一話 行幸(五)

 行幸(五) 内大臣は大宮から文を読んで首を傾げておりました。 源氏の大臣がお忍びで三条邸を訪れ、折り入って話があるというのでお越しください、という旨のものです。 さてはとうとうあちらが折れて夕霧に雲居雁をという話か、そう内大臣は内心ほくそ笑んでおります。大宮の容体などを聞いてさすがの源氏も意地を張るのをやめたのかと勝った気分でいるのです。 こちらこそしびれを切らして待ち望んでいたのだから、せいぜい三条邸で首を長くして待っているがよい、などと機嫌よく身支度を整え始めました