マガジンのカバー画像

紫がたり 令和源氏物語

512
青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

紫がたり 令和源氏物語 第百十五話 明石(二)

 明石(二) 都に思いを馳せる源氏の君でしたが、須磨の浦の暴風雨は益々烈しさを増していく…

YUKARI
1年前
17

紫がたり 令和源氏物語 第百十四話 明石(一)

 明石(一) 都では今年に入ってから天に不吉な兆しがしばしば見られるようになりました。 …

YUKARI
1年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百十三話 須磨(二十)

 須磨(二十) 三月のはじめになると、巳の日に禊(みそぎ)をすれば神仏の加護で心配事が解…

YUKARI
1年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百十二話 須磨(十九)

 須磨(十九) その夜は中将の従者も交えての大宴会になりました。 久しぶりに聞く都の便り…

YUKARI
2年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百十一話 須磨(十八)

 須磨(十八) 須磨の裏山にも樺桜が咲き初めるようになった頃、源氏は宮中にて花の宴が行わ…

YUKARI
2年前
18

紫がたり 令和源氏物語 第百十話 須磨(十七)

 須磨(十七) 須磨の浦に厳しい冬がやって来ました。 覚悟はしていたものの、過酷な冷気が…

YUKARI
2年前
21

紫がたり 令和源氏物語 第百九話 須磨(十六)

 須磨(十六) さて、播磨は明石の浦に“明石の入道”と呼ばれる人がおりました。 現在の播磨守は源氏の側近・源良清の父ですが、先の播磨守を務め、出家して明石に隠棲しているのです。 入道には十八歳の妙齢な娘がおります。 大切にかしずかれ、都の貴族の姫にも負けないほどの教養を持ち、見目形も麗しいという噂でしたので、地元の富豪や名士からの求婚が殺到しましたが、入道はどうしても結婚を許しません。 良清も長年想いを懸けてきた姫で、色よい返事がもらえずやきもきしておりましたが、どうやら入

紫がたり 令和源氏物語 第百八話 須磨(十五)

 須磨(十五) 弘徽殿大后の放言で都からの便りがめっきり少なくなり、源氏は世の無常を噛み…

YUKARI
2年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百七話 須磨(十四)

 須磨(十四) 源氏と交流のあった親王や上達部は源氏を不憫に思い、最初のうちは慰問の手紙…

YUKARI
2年前
19

紫がたり 令和源氏物語 第百六話 須磨(十三)

 須磨(十三) 須磨での生活が落ち着いてくると、残してきた者達が無性に気になり、源氏はあ…

YUKARI
2年前
19

紫がたり 令和源氏物語 第百五話 須磨(十二)

 須磨(十二) 須磨の浦では梅雨が訪れる時期になってようやく邸の修繕が終わり、竹で編んだ…

YUKARI
2年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百四話 須磨(十一)

 須磨(十一) 人というものは、何かすべきことを見出すと張り合いをもって前に進んでゆける…

YUKARI
2年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第百三話 須磨(十)

 須磨(十) 朧月夜の姫は源氏が自分の為に流転する羽目になったことを心から嘆いておりまし…

YUKARI
2年前
19

紫がたり 令和源氏物語 第百二話 須磨(九)

 須磨(九) 舟を下りる頃には陽が傾き、一行はかねてから申し入れていた僧房に世話になることになりました。 都の貴人が住吉大社にお参りに詣でる、という体で僧房の一部屋を借りたのです。 出された食事は精進料理で肉もなく質素なものでしたが、自然の恵みがありがたく、いただく、という感謝の気持ちを改めて思い起こさせます。 そして温かい布団で眠ることのできるありがたさも身に沁みるのでした。 翌朝の難波津は穏やかに凪いでおりました。 「この天気ならば昼過ぎには須磨に着きますよ」 重い積