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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2022年6月の記事一覧

紫がたり 令和源氏物語 第六十五話 葵(八)

 葵(八) 源氏の訪れは御息所の物思いをさらに深めただけでした。 近頃以前にもまして白日…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第六十四話 葵(七)

 葵(七) 葵の上が生きる気力を見せたことで、阿闍梨は良い兆しであると気を引き締めました…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第六十三話 葵(六)

 葵(六) 葵の上の生み月はまだ二月ばかり先であるのに、近頃左大臣邸にはたくさんの僧侶が…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第六十二話 葵(五)

 葵(五) 源氏の車に紫の君と乳母の少納言の君が同乗し、和やかに祭見物に出立しました。 …

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第六十一話 葵(四)

 葵(四) 六条御息所が悔し涙を流しておられる頃、かの朝顔の姫君も父である式部卿宮(しき…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第六十話 葵(三)

 葵(三) 四月になると賀茂祭(葵祭)が行われます。 この年は女三の宮の初斎院ということ…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十九話 葵(二)

 葵(二) 六条御息所の苦しくも悲しい心裡を察し、一人御胸を痛められている御方がおりました。 式部卿宮(しきぶきょうのみや)の姫君です。 式部卿宮は桐壺院の弟君なので、姫は源氏とは従兄妹という間柄になります。 源氏は昔から美しくて聡明であるという噂のこの姫に並々ならぬ関心を抱いておりました。 ふとした時に庭の朝顔の赤紫がなんとも鮮やかで美しかったもので、その花と共に文を贈ったことから、「朝顔の姫君」とお呼びしております。 朝顔の姫君からの返事は、初夏を思わせる爽やかな香が焚

紫がたり 令和源氏物語 第五十八話 葵(一)

 葵(一) 桐壺帝は花の宴を終えて大変満足されておられました。 優れた公達が集い披露した…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十七話 花宴(五)

 花宴(五)  宴が始まると、やはりここに源氏の君がおればどれほど箔がつくことか、と思わ…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十六話 花宴(四)

 花宴(四) 源氏は花の宴でしばらくぶりに左大臣と顔を合わせたのが気まずく、大臣(おとど…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十五話 花宴(三)

 花宴(三) 「誰か・・・」 女が人を呼ぼうとするのを白い指で塞ぎ、 「人を呼んでも無駄で…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十四話 花宴(二)

 花宴(二) 陽が暮れて詩文を披露する段になりました。 このような催しの一番の華となるの…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十三話 花宴(一)

 花宴(一) 藤壷の宮は中宮へとお上りになりました。 心密かに慕う人は名実ともにこの国で…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 第五十二話 紅葉賀(十一)

 紅葉賀(十一) 翌朝源氏の元に源典侍(げんのないしのすけ)から源氏が残した帯などが届けられました。 しかし帯は中将のものです。  恨みてもいふかいぞなきたちかさね       引きてかえりし波のなごりに (お二人がつぎつぎと現れて二人一緒に帰ってしまい、残された私はわびしいばかりです) なんとまぁ、ずうずうしい文であることかと源氏はなかば呆れましたが、相手は労わらなければならないお年寄りです。  あらだちし波に心に騒がねど    寄せけむ磯をいかがうらみぬ (波のよ