紫がたり 令和源氏物語 第三十七話 末摘花(二)
末摘花(二)
源氏が故常陸宮の邸を後にしようとすると、何者かが馬で後を追ってくるようなので、源氏は車を物陰に寄せさせました。
なんと正体は粗末な狩衣を纏って変装しているらしい頭中将ではありませんか。
中将はかねてから浮気性なところを源氏に窘められていたので、君の忍び歩きの現場を抑えてやろうと内裏から尾行して来たのでした。
しかし源氏は姫の部屋ではなく女房の局に入っていったので、趣ある琴の音を聞きながら待ち伏せをしていたというわけです。
「驚いたな君は、尾行けてきたのかい?