あなただけを待ってはいられない
制作の仕事は基本的に嫌われ仕事だと思ってる。人にとって耳の痛いことを言わなくちゃいけない。私だってそんなこと言いたくない。
でも、その人の行為が興行のためにならないことをやっているのであれば、諌める人間がいないといけない。それを言える立場の人間が座組内にどれだけいるのか。
たとえ雇われ制作であっても、言える範疇で注意しなきゃいけない、怒らなきゃいけない、それが仕事です。しかし全員いい歳こいた大の大人のコミュニティにおいてスケジュールを守れないとか日本の教育制度と良識の敗北だわ…。
そもそも聞く耳を持たない人に言っても馬耳東風
脚本が遅れている脚本家に何も言ってないわけがない。言ってる人間が本気で怒ってないはずがない。なのに何で効果がないのか。言われてる側が本気で悪いと思ってないし、聞く耳も持ってないし、事実を突きつけたところでどこ吹く風の人だからである。こういう人を相手に言い続けるのもしんどい。マジでメンタルえぐられるから。他にやんなきゃいけないこと山ほどあるのに。
ちなみに私は過去に、「もっときくように言って」だの言われたり、期日を切ってその日の稽古に間に合うように書きますと自分で言ってきた人が提出しないから督促したら「まだ稽古前ですよね?」言われたり、本番用台本を製本するからこの日までに本番用の台本を仕上げてそれ以降の差し替えは認めない、書きあげろと言ったにもかかわらず稽古期間中毎日違う原稿持ち込んできたクソ脚本担当たちと遭遇したことある。
個人批判とかはしたくないし、他人の悪口は言いたくないが、どいつもこいつも甘えすぎだ。事実を注意されていてなおかつ非があるのは貴方ですよね?何で言い訳したり逆ギレしたり無視したりダダこねるの?確かに人を動かすのは難しいけど、ごめんそこまでしておだててあげる必要性を私は感じない。申し訳ないけれど。
時間内に収めるってのもスキルのうちなんですよ。
小林賢太郎は著書の中で「そのタイミングで完成させる」って書いてるけど、ラーメンズ好きっていう人はこういうスタンスこそ真似するべきだと思う。結果も出てるし。そもそも、「更生した元不良>真面目にコツコツ続けてた人」で評価されるこの風潮やめてほしい。遅筆でも面白い人がいるのはあくまでごく一部の特殊例であって、それはあなたじゃないから。見習うべきは連載通して皆勤賞の「こち亀」や40年原稿落ちたことのない「パタリロ!!」だからね?
自分も作品を作っていたことがあるから、作品にこだわりたいのは理解する。だがしかし、演劇は総合芸術である。複数のセクションで構成されている以上、1つのセクションにだけかまけていられない。そして学生でも、社会人でも「期限」というのは絶対である。理想はもちろんあるし、それに近づけたい手を加えたいというのはあるが、現在の作業スピードを鑑みた上で、理想と現実の着地点を持っていかなくてはいけない。これが「仕事」じゃないのか。
たしかに、何かをしている間は別の誰かが「待っている」状態ではあるが、時間をかけたいセクションは脚本だけじゃない。役者の稽古も衣装美術、宣伝広報渉外業務、これらだって「興行」を構成する大事な歯車だ。やたらと「稽古始まってから準備」を主張する人は多いが、それは間に合っているように帳尻を合わせているだけである。そもそも特に外部からのスタッフは往々にして複数現場並行して抱えている。そっちが稽古期間中だからってこっちが何でベタ付き・その作業だけやってると当然のように思っているのかな?これ、大いに勘違いしている人多すぎだと思う。
興行というのは、板の上に乗ってお客様に見せたものが全てなのだ。裏でどんな事情があろうが、そんなの全部こっちの都合で、お客様に見せたものが全てであり、評価の対象であり、今後対外的に資料として残るものなのだ。
自分の団体であることと、自分が責任を取るということと、自分の時間軸だけで仕事を行うことと、他人の時間を空費する事の罪をもっとそれぞれ考えるべきである。自分の戯曲を書くだけでというのであれば、適当にのんびり書き上げてそのタイミングで戯曲賞に応募するなり何なりすればいい。これならば、誰にも迷惑がかからない。「自分の団体だから自分の作品を発表しているだけだ」という作品の発表の場だと主張する人もいる。確かにその側面もあるであろう。でも、そこでお客様からお金を払ってもらってチケットを購入してもらっていたり、人の時間を拘束して、動かしていても「作品作りだ」といい続けるのだろうか。少なくとも、そこに関しては「ビジネス」であると思う。
「怒られるうちが花」とも言うが、よくしようと思っているからこそぶつかる。好きの反対は無関心、とも言うように、何も言われていないというのは容認されているのではなく、単純に見切りをつけられているだけだと思う。
そもそも締切1つ守れないような人間が「全部自分が責任取る」と言ったところで何の信用も担保もないと思うけどね。
私に課金していただいたぶんは私が別のエンターテイメントに課金してそれをまたネタにしますので華麗なるマネーロンダリングとなります。