鶴田ゆかり

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  • 翻訳者のつぶやき  何で私が『消える人々』を...

    「臓器収奪ー消える人々」はとてもヘビーな一冊なので、翻訳者のつぶやきを通して逸話や情報をお届けして、ゆとりのある空間をお作りできれば、とブログをはじめました。短い文章を頻繁に出しますのでお時間のあるときに軽く読み流してください。

最近の記事

翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その28

講演の後、聴衆がガットマンに拍手する。ガットマンも拍手する。これは自画自賛の拍手ではない… 拍手【来日記念講演】 ガットマン滞在中、一般公開はしなかったが、サイン会での来日記念講演とほぼ同じ内容で、他の場所でも2回講演する機会に恵まれた。終わると聴衆に拍手されるが、ガットマンも拍手する。拍手を受けてお辞儀することはせず、拍手で返す。頭を下げないので、謙虚さに欠けるのでは、と日本ではち少々奇妙にうつる。しかし、彼が聴衆に送る拍手には、深い意味がある。 今回は正味20分の短

    • 翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その27

      ガットマンが来た!追い風に乗って…地面を這っている私の視野を、また広げてくれた。 衛星写真【道案内】 ガットマン来日の1週間前に、英国の田舎から3年ぶりに日本入りした。サイン会の会場やら移動の方法の下見に、時差ボケの身体を押しながら、あちこち回った。スマホに頼らないと全く動けない東京の地下鉄の複雑さに疲れ切りながら…。 東京によく慣れないうちにガットマンが来た!飛行機が遅れて飲食店は閉まっていた。セブンイレブンでお弁当を選んだ後、「何か一杯キュッとやりたい」と店内のボト

      • 翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その26

        2002年3月、長春のテレビが一斉に法輪功の映像を流し始めた…。今回は、第七章の「電波ジャック」に関して。 箱の外【死者への敬意】 初めてガットマンに会って、The Slaughterの日本語版に取り組むことを申し出たとき、まず第七章を翻訳して出版社にもっていけば、とアドバイスされた。 第七章は独立した記事として、『臓器収奪ー消える人々』の原著 The Slaughterが2014年に刊行されるかなり前に調査記事として発表され、優れた記事として受賞している。ガットマンの

        • 翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その25

          これほどの証拠がありながら、なぜ主流メディアが臓器収奪問題を取り上げないのだろうか? メディアの沈黙【国際サミット】 2021年9月に、「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」というオンラインの国際サミットがあった。19カ国から6日間、6分野にわたり38人の専門家が参加。中国での臓器収奪は言語道断であると様々な側面から語っていた。 4日目の9月24日に「生体臓器収奪犯罪に関するメディアの沈黙と自己検閲」と銘打って、メディア関係者5人と証言者1人が発言した。「なぜ

        翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その28

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        • 翻訳者のつぶやき  何で私が『消える人々』を...
          28本

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          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その24

          社会のしがらみなく、迫害や臓器収奪が悪いと素直に言えるようになるには正しいことの基本が必要…そんな観点からフツーのことを綴ってみました。 【足湯】 数年前のこと。マタス弁護士のアテンドの数日間、実家からのホテル通いがちょっと不便だったので、山手線沿線の都心のホテルからさほど遠くないところに住んでいる知人の家に泊めてもらった。 「娘も息子も独立したから部屋空いてるよ」ということで、図々しくお邪魔させてもらった。臓器収奪問題を心から憂いているご夫婦で、私のしていることを支援

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その24

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その23

          年が明けてしまいました。2022年2月10日発行の翻訳出版より1年が過ぎ去ろうとしています。2023年3月に東京で著者サイン会を計画中です。これを目標にブログを綴っていきたいと思います(よろしくおつきあいのほどを...)。 バナー【天安門広場】 第四章を再訪する。1999年に法輪功が禁じられ、多くの修煉者が天安門広場に抗議に行った。臓器収奪ー>犠牲者ー>法輪功というつながりから、天安門広場でバナーを広げて抗議している修煉者の写真をよく目にした。数枚しかないので、いろいろな

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その23

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その22

          前回から間があいてしまいましたが、今回も加害者に目を向けます。(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) 歩く屍(しかばね)【龍山での出来事】 第四章「雪」が迫害に対する法輪功の非暴力抵抗に焦点をあてているのとは対照的に、第五章「龍山での出来事」は、中国共産党(中共)側の加害者がハイライトされている。先回のブログで引用した郝鳳軍(ハオフェンジュン)のシーンは、この第五章の最後にあた

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その22

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その21

          今回から2回にわたって加害者に目を向けようと思います。(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) 母【涙してしまうシーン】 幼い頃、祖母の家に連れて行かれると、決まって近所の雑貨屋に行き、少女漫画を買ってもらった。祖母と母が子供に邪魔されずにしゃべれるからだ。楳図かずおさんのホラー漫画が連載されているときは、まず表紙も含めて、その部分をすべてホッチキスで止めてもらい、恐ろしい絵が一

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その21

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その20

          前回のブログで触れた ジェニファー・ゼンのアテンドをする機会に恵まれた時の話です。(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) 北京大学【中国・民衆法廷】 『 臓器収奪ー消える人々』 で何回か登場するジェニファー・ゼンは、2018年から2019年にかけてロンドンを拠点に行われた「中国(臓器収奪)民衆法廷」の証言者の一人でもあった。こちらに同民衆法廷での彼女の証言録画(日本語字幕付き)

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その20

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その19

          (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) 過去と未来中国共産党が「国家の敵」と定めたグループへの迫害は、人間の領域を超える凄まじいものだ。 本書の第二章から第六章にかけて、エスカレートしていく法輪功への迫害が被害者側と加害者側の証言から綴られていく。今回は、二人の全く別の被害者が、伏線を張ったかのように交差する場面にスポットライトをあてたい。 【趙明(ジャオミン)】 趙明は、

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その19

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その18

          「日本は中国の臓器移植システムにとって、海外からの収入源として第1位だ」…本当だろうか?(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (18)数字【とにかくたくさん】 娘が小学生の頃、「327+258は?」と適当に3桁の数字を言って「暗算の練習」をしてもらおうと思った。……が、「いっぱ〜い!」という答えが返ってきた。間違えではない。同時に「わざわざ頭を使いたくないよ」というメッセージ

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その18

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その17

          ウイグル人と日本人には共通のDNAが…?? (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (17)蒙古斑【SMG 結成4周年集会】 2022年5月27日に衆議院議員会館でSMG(Stop Medical Genocide)結成4周年集会があった。昨年は3周年に寄せてマタス弁護士が「祝福すべきことではないが、地道に取り組む不屈の精神を称賛する」「SMGが我々と共に歩み、あらゆる困難にも

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その17

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その16

          今回は第三章「府右街で起こったこと」の体験者の証言で綴られた名作ドキュメンタリーをご紹介します。 (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (16)赤い壁翻訳出版にあたって、校閲さんが2度にわたって綿密に事実確認をしてくださった。法輪功の迫害を記録し世界に発信している「明慧ネット」などが主に参照された。 【第二章から第三章へ】 『臓器収奪・消える人々』の第二章は法輪功の興隆で始

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その16

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その15

          法輪功は一元的な宗教なのか?(その14)からの続きです。 (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (15)冷たいシャワー【有史以前の伝統】 先回のブログ(その14)で、中国語にはもともとReligionに相当する言葉はないと指摘したウォルドロン教授を引用した。『消える人々』の中でも法輪功に関して引用されていた。 法輪功の研究者は、奥深い先住民の文化の存在を法輪功に見出している

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その15

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その14

          日本人の宗教観を理解するために、ちょっと近代史を探ってみました。 (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (14) 奈良ホテル【廃仏毀釈】 日本では明治維新のために仏教が排斥された。天皇陛下を中心に欧米列強と張り合う上で、仏教は邪魔者扱いされたようだ。 この仏教の破壊を、中国共産党による文化大革命と重ねてしまうのは行き過ぎかもしれないが、日本で従来受け継がれてきた仏教が否定さ

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その14

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その13

          なぜ法輪功を警戒してしまうのか?今回はこの点を考察してみました。 (...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。) (13)警戒心『臓器収奪ー消える人々』では、第二章から、法輪功の始まり、中国共産党との対立、迫害、非暴力の抵抗が綴られていく。 日本では法輪功を課題にした客観的な論文というのは、私の知る限りでは、存在しない。英語圏に比べて客観的な情報が十分にない中で、生々しい拷問の写真が、

          翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その13