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翻訳者のつぶやき なんで私が『消える人々』を...その25

これほどの証拠がありながら、なぜ主流メディアが臓器収奪問題を取り上げないのだろうか?

メディアの沈黙

【国際サミット】

2021年9月に、「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」というオンラインの国際サミットがあった。19カ国から6日間、6分野にわたり38人の専門家が参加。中国での臓器収奪は言語道断であると様々な側面から語っていた。

4日目の9月24日に「生体臓器収奪犯罪に関するメディアの沈黙と自己検閲」と銘打って、メディア関係者5人と証言者1人が発言した。「なぜこの問題が一般に知られていないのか?」という私の長年の疑問に、フランスのジャーナリストが明確に回答を示してくれた。

ワトソン君への説明のような解説をみつけた。
(ロンドンBaker Street駅前のシャーロック・ホームズ像)

英語圏と日本語圏の知識の格差を少しでも埋められれば、と臓器収奪問題の翻訳に取り組み始めたが、主流メディアがこの問題に取り組まないのは、グローバルな問題のようだ。

【ネットの台頭】

フランスのジャーナリスト、モリス・ドロイン氏は、フランスの経済学者、ジャーナリスト。フリーのジャーナリストになる前は、軍事省、企業勤務、商工会議所(ニューカレドニア代表)で国際関係、経済、産業開発担当。外務省・防衛省のもと、太平洋地域での交渉の主席コンサルタントだった。

中国での臓器収奪などの行為がなぜ報道されてこなかったのか、その主な理由を三つ挙げている。以下、概要を要約する。

1)メディアの買収
 かつて、メディアは購読者数、広告収入に頼っていた。現在はネットが映像や文字媒体のかなりの部分を占める。以下、現状の要点。
◎ ネット配信する大手のビッグテック企業は、国家の助成金に依存した。また、億万長者(ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団など)、大手国際産業グループ(製薬業界など)が自分たちの好印象を発信してもらうため多額の金銭を彼らに支払うようになる。
◎ 中国も同様に「中国モデル」の宣伝のために多額の金額を支払った。(アフリカの例が挙げられている)
◎ 欧米のメディアも現実を直視せずに「中国モデル」路線のメッセージを流布してきた。
◎ メディアが中国寄りの短い記事を掲載することで、数百万円相当を中国から受け取っていた。(フランスの雑誌の事例が挙げられている)
◎ 各国のメディアトップは、中国訪問でもてなされていた。
つまり、 中国は世界のどこででも「ウイグル迫害」「臓器収奪」のような政権を批判するような記事を一切抑えることができる状況が構築されてきた。

【工作】

2)イデオロギー
 フランスのジャーナリズム専門校の卒業生の8割以上が社会共産主義者。彼らのマルクス主義の思い込みに疑問を呈するだけで「右翼」のレッテルが貼られてしまう。(スピーチでは孔子学院にも言及)

3)「大外宣」ー 中共の対外宣伝工作
◎ 中国史を塗り替える。共産主義を美化。
◎ 世界にメディアの代弁者を拡張。
ーフランスの新聞2社(右寄りとリベラリズム)で「中国モデル」称賛記事を掲載。掲載直前に上院議員が同様の内容を報告。フランス社会への浸透工作の度合いを示す。
ーAFPは中共の公式プロパガンダの文書化。

【メディアの役割】

これゆえ、臓器収奪問題は取り上げられない。いわゆる「主流」メディアの外で、多々ある真実の情報を自ら見つける必要がある(フランスのエポックタイムズを勧めている)。我々一人一人が情報を比較・分析し、自分なりの結論を出し、報道の自由の重要性を判断できるようになることが肝要、と結ばれている。

国際サミットの他のスピーカーも、政府の行き過ぎをチェックし批判するという本来のジャーナリズムの役割が、現在欠如していることを指摘している。

まだ英語版しかないが、こちらからメディア関連のスピーカーにアクセスできる。

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