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翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その13

なぜ法輪功を警戒してしまうのか?今回はこの点を考察してみました。
(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。)

(13)警戒心

『臓器収奪ー消える人々』では、第二章から、法輪功の始まり、中国共産党との対立、迫害、非暴力の抵抗が綴られていく。

日本では法輪功を課題にした客観的な論文というのは、私の知る限りでは、存在しない。英語圏に比べて客観的な情報が十分にない中で、生々しい拷問の写真が、チラシや街頭展示で使われるため、「法輪功をやったらこうなるのか」「近づかないほうが賢明」と思わす反応してしまう。

「法輪功」がネガティブに捉えられてきた理由を以下に挙げてみた。

【理由1:中共政権による非人間化】

法輪功の迫害を正当化するために、法輪功を悪魔化した中国共産党政権はプロパガンダを流し続けた。国民の間にいかに浸透したかを、カナダのクライブ・アンスレイ弁護士が指摘している。アンスレイ弁護士は、中国とカナダの国際関係に52年以上携わり、中国に法律事務所を構えた経験もある。中国語も堪能だ。

2018年から2019年にかけてロンドンを拠点に開廷された「中国・民衆法廷」での証言録画が適切かと思う。以下該当部分の要約である。

自分が中国に滞在していた最後の数年で、一定期間メディアが法輪功だけを集中攻撃していた。中国の法律事務所で、中共メディアに批判的な中国人の同僚が、法輪功のことになると抹消されるべきだと主張した。法輪功へのプロパガンダは、中国全土で非常に効果的だった。

「中国・民衆法廷」第一回公聴会 2018年12月8日

こちらの実録映像では該当部分(35:13ー42:50) の冒頭から始まるように設定した。時間と場所が許せば、7分間だけご覧いただきたい。

しかし、以上はあくまで中国国内での話だ。なぜ日本人の観念にまで及んでしまうのか?その理由として、世界の主流メディアと中国共産党との繋がりが挙げられる。

こちらの解説動画『中国マネーに操られる主流メディア』(全11分38秒)の最初の3分間が、この実情を解説していて興味深い。中共の触手は世界に広く深く浸透しており、主流メディアはまず法輪功の迫害については取り上げない。

【理由2:中国大陸出身の法輪功修煉者の言動】

「中国大陸出身の法輪功修煉者とはちょっと一緒に仕事ができなかった」という話をあちらこちらで耳にした。私自身も体験している。台湾やマレーシアの中国人とは日本人感覚で付き合えるのだが…。

中国政府のプロパガンダや迫害の状況を理解するにつれ、彼らの言動に「無理はない」と許容できるようにもなってきた。闘争が第一義とされる共産党政権下で教育され、さらに移民先の文化(イギリスとか日本とか)に不慣れなことを鑑みれば、危険を顧みずに他国で法輪功迫害を伝えようとする態度は「勇敢」の一言に尽きる。

ガットマンも本書の中で「党文化」を指摘している。

「恐怖」で国民を巧みに操る党文化は、彼らに深く浸透している。このため、拷問写真の展示や、善と悪の境界を説くなど、欧米人なら(日本人でも)身をひいてしまうような大陸のプロパガンダ的アプローチを、今も変わることなくとり続けている。

『臓器収奪ー消える人々』第三章 142ページより

【理由3:新興宗教への警戒】

これは日本特有の理由かと思う。一般に日本人には、狂信的に人を改宗させようとする新興宗教を警戒する。この警戒心は健全だと思う。かくなる私も、何の宗教かは知らないが、常識では考えられない「押しつけ」を体験した。近所の道端で会話を交わしただけの人が、大雨の日に突然、家に飛び込んできたのだ。「明日、イギリスに帰国するので」と言ったら諦めてくれた。

なぜこの理由が日本特有なのか? 法輪功は新興宗教なのか? その14で考察を続けていく。

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ワニブックスのニュースクランチで、本書 第一章を紹介しています。覗いてみてください。
第5回 不可解な身体検査…国家による「臓器の選別」の恐怖


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