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もっと笑って逢いに行くからね。

aikoを愛して早7年。そして、ライブに初参戦してから早6年。いつのまにか、わたしの参戦回数は20回目を迎えようとしていた。

そしてaikoは今年、デビュー20周年を迎えた。さらに今回の会場は、初参戦ぶりとなる神戸国際会館である。
これを運命と言わずしてなんと言おうか。その素晴らしいタイミングに気づいた日から、わたしはaikoと自分の間にある絆を感じまくっていた。興奮していた。

ついに、その日がやってきた。諸々のやるべきことに追われ、正直あまり実感がわかぬまま、懐かしの会場に到着。した瞬間、一気に体温が上がるのを感じた。

あーこれこれ、この感じ!! と、毎回のことながらめっちゃ思う。
グッズ売り場に溢れるにぎわい。控えめに流れるBGMは、もちろんaikoのアルバムだ。歴代グッズで身を固めてきたわたしに負けず劣らず、aikoファッションに身を包んだファンの人、人、人。

否が応でも高まるテンション。ここからがライブの醍醐味なのだ。

いつものように、開演時刻から10分ほど焦らしたのち、会場がさあっと暗くなる。
ミラーボールみたいなきらきらワンピースをまとったaiko。5000人超の歓声を受け止め、大好きなaikoが、満を持して登場した。二階席であったがばっちり見えた。その存在の尊さに、いつもながら胸が苦しくなる。

新旧ファンの両方を虜にする絶妙な選曲が続く。ツアー前半のセットリストとは、またがらりと変わっていた。さすがである。

アップテンポの曲で踊り狂い、隠れた名曲バラードに涙し、aikoのつくりだす熱い世界にぐいぐいと飲み込まれてゆく。
わずかな異変が気にかからないわけではなかったが、それをも上回る圧倒的なパワーと熱量に、どこか安心してもいた。

決定打となったのは、弾き語りだった。
声量と響きは変わらず圧巻、しかし高音がどうにも掠れて苦しそうなのだった。さすがに知らんふりはできないほど。aiko自ら「あぁー、なんやこれーー」と突っ込みながら、それでも最後まで歌いきってくれた。

曲が終わるや否やスタッフさんがステージにやってきて、aikoの腕を引っ張った。「えぇー、いややーーー」と言いながら立ち去るaiko。淡く照明が付き、会場がざわめいた。

よみがえったのは、6年前の神戸公演だった。途中でaikoの声が出なくなり、異例の15分休憩が発生する事態になったのである。
あのときはその後無事に復活し、ダブルアンコールまで絶好調で駆け抜けてくれたのだったが、しかし今回は。

15分ほど経った頃だっただろうか。
aikoとバンドメンバーが再びステージに登場し、会場は拍手に包まれた。

「皆さん、本当にごめんなさい。忙しい中時間を割いて、お金を払ってここに来てもらってるのに、こんな声になってしまって……」
ステージの真ん中で、ひとり前を向いて話すaiko。
「こんなんじゃせっかく来てもらったみんなに失礼すぎる。本当に申し訳ないですが、振替公演をしたいと思います。」
えぇー!! と、どよめく会場。

「でも、今日も最後まで、どこまでやれるかわからないですが、歌わせてください。ほんまにごめんなさい。よろしくお願いします!!」

要旨だけをまとめたが、本当はもっと長く話していたように思う。

何度も何度も「ごめんな」と謝って、「もうほんま自分死ねやわ…最悪やわ…」と自虐を交えつつ、でも明るく振る舞い続けるaikoを見ていると、もう泣けて泣けて仕方がなかった。

誰よりもファン想いで、歌うことに対してものすごくストイックで自分に厳しいaikoのことやから、落ち込んでないわけがない。
きっと死ぬほど悔しいんやろう。情けなくてつらくて苦しいんやろうと思うと、ほんまにぜんっぜん気にせんくていいんやからなって、めちゃくちゃ言いたくてたまらなくなった。

aikoはアホでも最悪でもない。そんなことあるわけがない、あっていいはずがないんやって。aikoがどんだけ歌うことを大切にしていて、わたしたちと逢うことを楽しみにしてくれてるか、何十回とライブを重ねても何度だって新鮮な気持ちでどんだけ真剣に取り組んでくれてるか、わたしたちはめちゃくちゃよく知っている。重いくらいの愛をひしひしと感じてるんやって。

だからどうかお願いやから、落ち込まんといて。謝らないで、笑ってお願いって思ったあとに、わたしが泣いてたらもっとあかんやんと思ってだから、必死で歌い続けてくれるaikoに届けたくて、一生懸命笑顔をつくった。

結局そのあとも、本来のライブの八割方、もしくはそれより多いくらいの曲とパフォーマンスを披露してくれた。
ニコニコ笑って華麗なステップ、前列のファンへのサービスは羨ましくて歯ぎしりしそうなほど惜しみなく。会場の盛り上がりだって、普段のそれと遜色ないくらいすごかった。

歌うことを好きでいてくれてありがとう。楽しそうなaikoを見るとほっとした。そもそも存在が尊いねん(二回目)。姿を見られることだけでも会場に足を運ぶ価値があるんだよ、わたしにとって。
笑った顔が見たい。飛び跳ねる姿が好き。どんなaikoも好きやけど、やっぱりいつも笑っていてほしいと強く思った。

振替公演をお知らせするaikoのツイートへのリプライは、合計で2000件近くも付いていた。それを読んでいると、また泣けてきた。

だって、みんなおんなじ気持ちすぎて。心無いコメントがあったらどうしようと思ったけれど、見渡す限り、わたしが今書いたことのコピペかと思うほどみんな同じ内容のことを書いていて、それがすごく嬉しかった。
みんなaikoのこと大好きかよと思った。でも、そうさせてるのはaikoなんだよ。

どうかわたしたちの想いで、aikoの気持ちが少しでも軽くなりますように。
振替公演、もっと笑って逢いに行くよ!!!


#エッセイ #aiko #ライブ #ライブレポ #愛 #すさまじい愛 #コンテンツ会議

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