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くいしんぼう雑記

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愛しかったり そうでなかったり いろんな食べものたちの話
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2020年4月の記事一覧

ベーグル衝動

ベーグル衝動

定期的にふとよみがえる、もっちりむちむち魅惑の食感。ああベーグルが食べたい! と思ったが最後、居ても立ってもいられなくなった。
コンビニやパン屋さんのもので済ますのもいいけれど、たっぷり時間があるのだし、この際自分で作ってみようか。手早く着替えてマスクを装着し、食料品の買い出しついでに材料をそろえることにした。
ドライイーストと強力粉。一軒目のスーパーでは粉類が軒並み売り切れ&品薄で、みな考えるこ

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わたしは生クリーマー

わたしは生クリーマー

生クリームに目がない。
とろっとなめらかな舌ざわりと、口いっぱいに広がるコク深いミルクの風味。幼少期、お菓子を作る母にまとわりついては、手渡されたボウルに残ったクリームを指ですくって舐めていた頃からずっと、その深い愛は変わらない。

ケーキのデコレーションやプリンのトッピングでも、大事に大事にクリームの部分を残しながら食べすすめるのが常で、もしかして単体で食べるのがもっともおいしいのではないかと気

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バターはかじるもの

バターはかじるもの

国民の多くがそうだと信じたいのだが、“バターではなくマーガリン”がスタンダードな家庭で育った。
料理はまるきり母任せだったので、用途といえば朝食の食パンに塗るか、たまに行うお菓子作りくらい。そのことで不自由を感じたことは特になく、バター=マーガリンではないのだとはっきり自覚したのも、多分大学生になってからのことだった。

先日、生クリームへの愛を熱く語ったことからもわかるように、元来わたしは濃厚な

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新玉狂い

新玉狂い

狂おしいほど好きな食べものの一つに新玉ねぎがある。
もともと、玉ねぎ特有の辛みや風味が好きだ。火を通して甘くとろけたやつも良いが、やっぱり一番は生のまま。
すすんで野菜を食べることの少ないわたしだが、オニオンスライスだけは子どもの頃からばくばく食らっていた。

ひとくちにオニオンスライスといっても、新玉ねぎでつくるそれはもう、通常のやつとは別格のおいしさである。
果物のようなみずみずしい甘みと、棘

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