つらつらの日

本日は敬老の日。
わたしにとっては、祖父母がいなくなってしまった途端、ボーナスポイント的祝日、みたいな日になってしまった。

こどもをもたなかったので、自分の母のことを「ばーば」とか「おばあちゃん」とは呼ぶことはない。母は母。わたしにとって「おかあさん」、なんだよ。
こどもをもたなかったので、ある意味で時が止まっている感覚がある。
目にするものも学生以降変わらない。

大人になってから子供向けの何かが生活の中に組み込まれることは、ない。例えば、アンパンマンとか、教育テレビならぬEテレの番組とか、なんとか戦隊なんとかレンジャーとか、スティックか何かで魔法を使う女の子とか、こどもの流行なんか、興味もないから「知らない」。
だから、わたしにとってなんとか戦隊なんとかレンジャーは、ずっと、ゴレンジャーやバトルフィーバーJやサンバルカンだったり、魔法を使う女の子は、メグちゃんだったりルンルンだったりキューティーハニーだったり魔法は使わないけど、キャンディキャンディがアイドルだったり、のままなのだ。
時が止まったまま。

自分が目にしているもの、耳にしているものがわたしの好き嫌いの全てで、わたしはそこそこ、流行に疎くはなく、センスがない訳ではない、とずっと思ってきた。
オトナが、売れっこアイドルのことを
「みんなおんなじような顔していて何がいいのかわからない」
「○○も□□も似たようなものなのに、どこがどう違うのか?」
とけなすのを、全く理解できなかった。
いつからだろうか。いつの間にかわたしも気づけば「そっち側」に入ってしまっていた。
ジャニーズの毎年出てくるグループの子たち、少女時代、坂道シリーズ、BTS・・・「みんなおんなじような顔」に見える。
音楽自体もともと大好きで、欠かせないものなのに、いつの間にかタワレコにも通わなくなった。通勤時のイヤフォンを持たなくなった。ラジオも聞かなくなった。
・・・このコロナ禍の在宅勤務のお供に、youtubeMusicを味方につけたところ、「令和ソング」だの直球で「ヒットソング」だの集めてくれているプレイリストのおかげで、イマドキをかろうじてキャッチアップできるのが、ちょっと嬉しい感じ。

ひとり暮らしの母が、「ボケ防止のためにジャニーズの歴代グループのメンバーの名前を言えるように鍛えていている」と言って、広告の裏にびっしり名前の書かれたメモを見せてくれたことがある。
なるほどね!
Hey! Say! JUMPくらいからは「全員」は言えないな、さすがのわたしも。
そして以降、どんどんグループも増えていてますますちんぷんかんぷん。

ここ数年、ジャニーズの若い子たちが、舞台に出ることが増えている気が、とてもする。
戦略、なのかな。
もちろん、わたしが舞台鑑賞を趣味にするずっと前から、キムタクだったり、岡田くんや森田剛くんだったり、今演劇界でそれなりのポジションにいるジャニーズの面々も舞台に出ているから、それほど特筆すべきことでもないのだとは思う。
でも、割と若手の段階で、お芝居のベテランの俳優さんたちと絡む作品に出る頻度は、確実に上がっていると思う。
なぜなら、「あら!コレ面白そう!」と思ってチケットをとろうとすると、思いのほかチケットが取りづらかったり、観劇に行った際に配られる、これから上演される作品の宣伝チラシの束の中、誰これ?と思う演者が主役や重要ポジションにつくもので、名前のすぐあとに(XXXXX)と所属グループ名が書かれているのが増えた!から。
ふーん、この子もジャニーズなんだ。

舞台だけではなく、ドラマも増えたように思う。
そして、わたしの記憶の中では、ジャニーズ=アイドル=大根役者、みたいな公式が根強かったのだけど、みんな上手なんだよなー。
「へー、この子もジャニーズなんだ!」

若い子のスペックの高さに改めて驚く。

キンプリとかもうさっぱりわからないーなんて思ってたけど、番宣・告知で出てくるのを見て、その先、グループで出ているのを見て、あー、このグループってこの子達でできてたんだー、なんて知る。
そして、整った顔だなあと思う。
「国宝級イケメン」って言葉はあまり好きじゃないけど、確かに、
ああ、きれいな顔だなあ、ずっと見ていられるなあと思う。

ジャニーズの審美眼って、改めてすごいなあ。
時代時代にあったあえての「アイドル」を、見つけて育てて世に出す。
個人的な趣向の問題もあるかも、だけど、わたしにとって隣国のアイドルグループの面々は明らかにお直しした顔ばかりで、色気や隙を感じない。
そこへ来て、例えばキンプリの面々。
整っているけど、どこか隙がある。顔の造りも、所作とかも。
バラエティー番組なんかでしゃべっているのを見ていると、ちょっと心許ない場面もあるけど、それすら欠点というよりは加点ポイントになる。

「アイドル」に求められる不変の資質。素質。かたいもの。
一方で時代に沿った空気感、雰囲気も「アイドル」には求められる。やわらかいもの。変化するもの。

キンプリのファンの年齢層が高い、という記事を何かで目にした。
記事を見た瞬間は「えーーーー?あり得ないーーー」なんて思ったけど、
1周回ってジャニーズにはまる、って、実は理解できちゃうかも。
ましてや子育てを経験された方々にとっては、こどもを通して接するアイドルの変遷もあると思う。
時間の推移を、何をもって感じるかはひとそれぞれ。
でも、たいていは、目にするものの変化・・・鏡に映る自分、老いていく親、こどもの成長・・・によるんじゃないかな。
こどもをもたなかったので、わたしはその分、もっているひとよりも少ないかもしれないなあ。

敬老の日⇒おじいちゃん・おばあちゃん⇒流行⇒アイドル⇒ジャニーズ⇒変わらないもの・変わりゆくもの

そんなことをつらつらと思った2021年の9月20日、でした。

ちょっとおいしいおやつが食べたい。楽しい一杯が飲みたい。心が動く景色を見たい。誰かのお話を聞きたい。いつかあなたのお話も聞かせてください。