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改善されていないから結局皆が同じ道を通る【福祉の闇】

私が福祉の畑で仕事をしていた時、いつも感じていたことがある。例えば脳梗塞や交通事故などで脳に障害を負った時に、障害者手帳をどうするかとか、障害年金の手続きはどうするかとか、自分で調べないと分からない。誰も教えてくれない。教えてくれたとしても、脳の障害ゆえ、記憶できないてこともある。
仕事をなくした時にどうするかとか、意思疎通がうまくいかなくなってしまった時にどうするかとか、そういうことも自分で調べないと分からない。
結局、家族会などを紹介されて、そこで他の人の体験談を聞くことになる。もちろん家族会の存在はとっても重要で「自分のような障害は、世の中に自分一人だと思っていたのが、実は50万人も80万人もいる」と知ると心休まるし、同じ立場の人の体験談、特に同じ地域に住んでる人の体験談は、リアルにここに行けばいいとか、ここに行くと相談乗ってくれるとか、そういう情報が分かっていい。

ただこの状態が、実は40年前からあんまり変わっていないということに気づいて、びっくりした。「何も変わってない」とは言わない。今までの障害当事者、障害を負った方の家族の方の、それこそ血のにじむような努力の結果、国の制度が変わって、相談するところができたり、行政が変わったりはしている。けれど、基本的に、退院しただけでは知らされないこと、他の情報は結構な割合で自力で探さなければいけないこと、この状態は、40年間あまり変わっていない。

認知症もしかりだ。親がそういう年頃になってきたせいもあって、介護の話などを調べているが、これも自ら情報を取りに行かないといけない。もちろん業者のサービスは色々とある。増えてはいる。先日も市から20歳以上の人、抽選で50名にアプリプレゼントという謎の通知が届いたけど(笑)このアプリは歩けばポイントが貯まる、健康に留意しよう!というアプリだった。(しかし20歳以上で抽選で50名って……)

こういう場合は、認知症というのか
こういう場合は、第三者の助けを得られるのか
こういう場合は、他に工夫すべきことはないのか
こういう場合は、そもそもどこに相談するところがあるのか
こういう場合は、相談すると有料なのか
こういう場合は、こういう場合は、って、全部家族が調べないといけない。

誰かが一度は通った道なのに、すごろくのように、まったく同じ道を通るべきなのか?

なんか、こういうのって、もっと「積極的に」通達されるべきなんじゃないかなって思う。ちょっと障害負ったらこちらへ!親が認知症かと思ったらこちらへ!という案内を、見る人が限られる市報での案内なんかではなくて、ダイレクトに自治体からガンガン届いたらいいのにね。

もちろん自分で調べに行くことは大事だよ。でも、それは調べる方の頭がクリアだからできることだよね。老老介護の片方が、認知症の本を読んだりできないし、身内のいない人が中途障害になったら、詐欺で全財産ぼったくられることもあるんだよ。

中途障害を負う→判断力がなくなる→詐欺に遭う
という、想像可能な一連の被害に遭ってから、やっと相談。
相談できる力のある人はまだマシ。しかも、相談と言っても、自ら相談をするところを探さなくちゃいけない。その前に、相談をするところを探す相談をする友達を作らなくちゃいけない。
リスクが十分考えられるのに、こうなったら(こうなってからは)こちらへ。という案内では、結局被害に遭う人減らないわけ。

中途障害の人や、認知症の介護をしてる家族が、ブログなので発信してる情報はとてもありがたい。ありがたいんだけど、それを読むしかないのかな。それを探し当てて読んで、自分に当てはめて、最初からやっていく努力を、弱い立場の人がやるのは、本当に大変だよ。

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