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私がジュエリー製作をはじめたきっかけ

今回は私がジュエリー製作・彫金を始めたきっかけについて書きたいと思います。

トスカーナとの出会い

私が初めてジュエリーの製作に出会ったのは、今から十数年前にイタリアに住んでいた時。(なぜイタリアにいたのか、それまでのいきさつも追々書いていけたらと思っています。)当時私はトスカーナ地方の田舎町にあるワインを扱う小さな会社で働いていました。毎日トスカーナの風光明媚な景色を眺めながらローカル列車で通勤したり、お昼からワインを楽しんだり、たまに行く出張先がローマだったり、楽しい毎日を過ごしていましたが、いつか自分の手で何かを作りたい!という思いはいつも漠然とありました。

アレッツォ

私が住んでいたアレッツォという街はかつて貴金属で栄えた場所で、ジュエリー製作は地元の人々にとってはとても身近な存在。私も知人友人づてにジュエリーの製作現場を見たり、展示会に行く機会が何度かありました。そんな中でぼんやりと、何か自分の手で作るならジュエリーがいいな、と思い始めました。自分だけの工房でひたすら素材と向き合って、黒く汚れた手で金属をやすって、ツヤツヤに研磨していく。そんな人物像に心底憧れました。

彫金学校探し

思い立ったが吉日、とばかりにジュエリー製作を学べる学校を探しましたが、残念ながらアレッツォにかつてあった学校は閉鎖済み。一方お隣の花の都フィレンツェにはたくさんのジュエリー学校があり、しかも未経験でも受講しやすい短期コースがあることが分かりました。しばらく考えた後に仕事を辞めて、ジュエリー製作を学ぶためにフィレンツェに通うことに。クラシックからモダンまで数あるジュエリー関連学校の中で私が選んだのは、彫金の基本のきの字から教えてくれて、伝統的な技法にも力を入れている学校でした。学校のあるフィレンツェは、私が住んでいたアレッツォから約70km。ただ住み慣れたアレッツォという街は離れるには惜しすぎる大変チャーミングな街だったので、私の中ではフィレンツェへの引っ越しは考えられず、電車通い一択でした。

イタリアで学生に舞い戻る

こうして私はフィレンツェにあるLe Arti Orafeという学校に入学しました。自分で設けたお試し期間ということで、とりあえず3ヶ月コースを受講することにしました。3ヶ月間フルタイムでジュエリー漬けの日々を送って、もし今後ももっと続けたいと思ったらまたその時に考えよう、と軽い気持ちでスタートしたのでした。
そしてむかえた初日、いかにも職人気質!なやや気難しそうな女性のベテラン講師の方がアシスタントを引き連れて教室に現れて、私を含めた新入生たちにその日のカリキュラムを説明してくれたと記憶しています。初めてのプロジェクトは指輪作り。シルバー製の指輪に、自分の好きな石を一つ、フクリン留めという技法で留めたシンプルなもの。早速作るぞ!と意気込んでいたのですが、なんと最初の課題は「石留め用の道具作り」。指輪を作る前に、そのために必要な道具であるタガネを作るというのです。私の横に座っていたインド出身の男の子は、「そんなの買えば早いのに!」と早速文句を言っていました。確かにそうだ笑 
ちなみにこの時に作ったタガネは、今も愛用しています。

今日はこの辺でおしまいにしたいと思います。また後ほど続きを書くので、ご興味のある方は是非また読んでいただけると幸いです。

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