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障害者手帳の取得を医師と夫に止められた。「倫理観」がわからない

障害者手帳を取得しようとしたところ、医師からも夫からもやんわりと否定された。正直ピンとこなかったが、この感覚のズレは自分の倫理観の欠如によるかもしれないと気づき、倫理学を学び直そうと思った話。


ADHDの取得できる障害者手帳について

ADHDを含む発達障害者は、初診日から6ヶ月以上経つと「精神障害者保健福祉手帳」を取得することができる。いわゆる「障害者手帳」の種類のうちのひとつだ。

障害者手帳を取得する主なメリットは以下の4つ。

  • 就職や転職の際、障害者雇用枠に応募できる

  • 映画館や美術館などで障害者割引が利用できる

  • 医療費補助が受けやすくなる

  • 所得税や住民税などの減免が受けられる

障害者手帳を取得することで、医療費の補助が受けやすくなるほか、税金の減免や施設利用料の障害者割引など、さまざまな福祉サービスが受けられる。

一方、障害者手帳を取得するデメリットは、基本的にない。障害者手帳を取得していることを会社や周囲に伝える義務はないため、本人がオープンにしない限り、他人に知られることはない。


医師の意見「僕なら取得しないですね」

初診日から6ヶ月が経ったので、先日の通院の際に「精神障害者手帳を取得したいので、診断書を書いてほしい」と伝えた。自分は一般雇用として働いていて転職の予定も無いが、障害者割引が利用できるのであれば申請しておくか、くらいの気持ちだった。

すると医師から、障害者手帳の最大のメリットは障害者雇用枠で働けることであり、その予定がないのであれば手帳は必要ない、と言われた。障害者割引が利用できることについても、「障害によって社会生活を上手く送れない方が、自分は精神障害者です、と言ってその割引を受けるということですよ」と、やんわりとたしなめられた。

挙げ句、「手帳を取得しようというのは、何か、思いつきですか? 真面目に考えられましたか? それでも診断書を希望されるのであれば全然書きますけれど、今回はご説明だけにしておくので、考えてみてくださいね」「僕があなたの立場なら取得しないですね」と忠告された。

私は正直、「え?全然わからない」という感想を抱いた。手帳を取得するのに現在の就労形態は無関係だし、各所で割引が適用されるなら、その恩恵を受けることが悪いのかという疑問が残る。健常者であれば払わなくて良い薬代を払い、避けることのできない困難がある中で、手帳を取得することが果たして不適切なのか、よくわからなかった。


夫の反応「それ、親に言える?」

これを夫にも話してみた。夫の反応はなかなか残酷だった。

「普通に働いていながら障害者手帳を取得して割引サービスを受けるというのは、ディズニーランドで行列に並びたくない人が車椅子に乗って優遇を受けるのと同じだ」という。そういうズルをする中国人観光客がいて問題になっているらしい。いや、そのケースとは違うだろ、と思う。が、彼の中ではそれに近い感覚だという。

さらに、「障害者手帳を取得して、それを自分の親に言える? 俺の親に言える?」と聞かれた。後ろめたいことと捉えていない私としては全然言えるのだけど。彼としては、生活を改善するために薬を飲むことは受け入れられるが、手帳の取得は受け入れがたいことらしい。しかも、それで得られるメリットが「美術館が安くなる」くらいのことなら、やめたほうがい(やめてほしい)、ということだ。

ふーん、そういう考えなら全然やめるけど、なんだか腑に落ちない。


この感覚のズレは、倫理観の問題…?

夫との話のなかで、これは倫理観の問題だ、と言われた。

医師と夫の意見は腑に落ちなかったものの、第三者と大事な人がそう言うのであれば手帳を取得しない方向で納得しようと考えた。それで私がChatGPTにも意見を求めようとしたところ、「そういうの、聞かないとわからないのってヤバいと思う。普通の倫理観があったらわかることだよ」と言われた。

倫理観の問題なのか・・・

そうかもしれない・・・

昔から、自分の倫理観のことはあまり信じていなかった。何に対しても「別に良くない? 悪いことしてなくない?」と思ってしまう傾向が強く、それが周りと違うということも、やや危険な考え方であることもなんとなく理解していた。だからこそ、法律を守って生きようとしてきた。法律は、明文化されているから助かる。判断に迷うときはルールに従うようにしてきた。そうすれば大きく道を外れることは無かった。

しかし今回は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」で定められた福祉を受けようとして、周りから「それは違うんじゃない?」と止められた。私の行動は法律の抜け穴をつこうとした、ルールをハックしようとしたものであり、そこに倫理的な問題があったということ?

正直に申し上げて、恥ずかしながら、いまだにまったく理解が及ばない。だけど夫とこの話をしたあと、しばらく「倫理観 養い方」とかでググってしまうくらいには、自分のこの「わからなさ」に対して課題意識を持ってはいる。

倫理学の再履修が必要かもしれない。手始めに、倫理学の祖・アリストテレスから徳の積み方でも学ぼうかと思う。めざせ、中庸!


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ゆかい
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