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国語の授業が「表現する楽しさ」を教えてくれた

私が「書くこと」を好きになったのは、中学校3年生の国語の授業がきっかけです。

それまでの私は、国語の授業がそれほど好きではありませんでした。教科書の文章を読んで、先生の解釈を聞いて、ノートに写す、そんな時間がつまらないとさえ思っていました。

しかし、ある国語の先生と出会いが私を変えてくれたのです。

その先生は、生徒が主体的に取り組める学習を大切にしていました。授業の秘訣は、予習の仕方にあります。

それは、教科書の文章を3色に色分けして、線を引きながら読み進めるというもの。明治大学文学部教授の齋藤孝氏が提唱する「三色ボールペン情報活用術」を参考にしています。

客観的に見て最も重要な部分を赤
客観的に見てそれなりに重要な部分を青
主観的に見て面白いと感じた部分を緑

といったように、教科書に線を引きながら読んでいくのです。さらに、「なぜそこに線を引いたのか」「引いた部分についての自分の考え」などを、B4のプリントにまとめるまでが国語の授業の予習でした。

はじめは正直「めんどくさい」と思いました。

線を引きながら教科書を読むのは、意外と時間がかかります。少なくとも2つの視点で読まなくてはならないからです。1つ目は筆者の視点で大事かどうか、2つ目は自分が面白いと思ったかどうか。主観と客観を区別することができていなかった当時の私はとても苦労しました。

自分の考えをまとめるB4のプリントもとても厄介でした。「なぜ大事なのか」と聞かれても、「大事だと思ったから」としか書けませんでした。自分がいかに「読めているつもり」だったかを思い知らされました。

予習の中で唯一楽しかったのは、「自分が面白いと感じた部分」をまとめるときです。物語文であれば登場人物の行動の矛盾点を指摘し、論説文であれば筆者の主張に対する反論を書きました。思春期真っ只中の私は、何かを批判する自分をかっこいいと思っていて、自分勝手な論をとにかくプリントに書きなぐるのが楽しかったのです。かなり乱暴な持論でしたが、「先生に怒られてもいいや」と思っていました。

しかし、予習プリントが返却されたとき、私は驚きました。

そこには、大きな花丸とAと書かれた文字。そして、「やや強引だが、面白い視点で書けている」というコメント。私の文章を先生は評価してくれたのです。

さらに、「自分の考えがよくまとまっている」と、私のことをクラスで紹介してくれました。周りの友達からも「すごいね」と声をかけてもらえました。素直にうれしかったのを覚えています。

それから私は、表現することを楽しめるようになりました。

予習プリントは裏までびっしり考えを書きました。作文も好きになりました。他教科・領域で感想を求められたときにも、スラスラ書けるようになりました。文章を読むときや人の話を聞くときに、「自分はどう思うか」を考えるクセがついたのです。

今では、表現する楽しさを教えてくれた国語の先生に感謝しています。先生が認めてくれて、みんなに認めてもらえて、私は安心して表現することができるようになりました。

表現することで自分を認めてもらえた経験が、私の「書く」ことの原動力です。誰かに読んでもらえて、「この考えいいな」「なるほど、そういう見方もあるのか」と思ってもらえたら。そんな思いで、今日もnoteをしたためています。


▼ 三色ボールペンの読み方についてくわしく知りたい方はこちら



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