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世界で一つの「ゴジラルーム」でシャレにならない恐怖体験に震え上がった話

まさかこんな日に、こんな経験をするとは思わなかった。

2021年10月7日、22時41分。
震度5弱の地震が都心を襲ったとき、わたしと息子は新宿歌舞伎町のど真ん中にある、ホテル・グレイスリーの最上階(30F)にある「ゴジラルーム」にいた。

ゴジラの恐怖感を煽る落ち着かない部屋で遭遇した大規模地震。そのときの恐怖たるや、今思い出しても背筋が寒くなる。

これはきっと、ゴジラルームに宿泊した私たちに、さらなる臨場感を出すための「地球からのサプライズ」ということにして、その日のことを記録に残しておこうと思う。

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ゴジラは東京のど真ん中、歌舞伎町にいた

夏休みに発出された緊急事態宣言を受け、9月から学校はまたオンライン授業となった。もともとインドアな息子は喜んでいたが、結局約3か月の引きこもり期間を過ごした。

その息子がいよいよ新学期を迎える直前の秋休み、近場のレジャーでも楽しみたいと思っていたのだが、温泉やグルメ、景色などに全く興味がない息子とは、近場の温泉などは一緒に楽しめない。

どこなら楽しめるかなと考えてふと思い出したのが、ゴジラファンの息子が「一度でいいから泊まってみたい」と言っていた新宿・歌舞伎町のコマ劇場跡にオープンした、ホテル・グレイスリーにある「ゴジラルーム」というコンセプトルームだった。

そのホテルの最上階、30Fに1室だけあるその部屋「ゴジラルーム」は、足を踏み入れた瞬間からゴジラの世界一色だ。

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この「ゴジラルーム」、オープン当初は1泊5万円というとんでもない高額だったのだが、今回料金を観たら、コロナ禍のせいもあってか、1人15000円程度だった。普通のホテルに泊まる感覚で宿泊できることがわかったので、秋休みのレジャーはここに決めた。

神奈川在住なので、新宿なら移動も電車ですぐ。ふらりと在来線に乗れば着くので気楽だ。通勤圏内の距離なので、逆に都内に泊まることなどないので、新鮮な感じ。

歌舞伎町から見たホテル・グレイスリー新宿。めっちゃ細い。

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ポキっと折れそう。というのが第一印象。そこの最上階が今日わたしたちが泊まる「ゴジラルーム」。

一方、息子は、いつも北海道の帰省で使う民宿しか知らないので、都会のホテルというものにド緊張していた。

いざ、チェックイン

チェックインするときから、ガランと静まり返ったロビーに恐れおののき、縮こまっている。チェックインするときも「母ちゃん、いろいろ質問とかするなよ」とか、謎に緊張していて面倒くさい。相変わらず初めての場所が苦手なビビりの息子である。

ゴジラがデザインされたカードキーをもらい、エレベーターで30Fへ。
我が家はマンション12階なのだが、「30階なんてすげえ」とビビる息子。

そしてうちのエレベーターは家庭用なので12階でもかなりゆっくり上るのだが、高層階行きのエレベーターはかなり早いので、息子はここでも「都会のエレベーターは早い、やばい」と緊張する。

なんだかおのぼりさんを連れてきたような気持ちになりながら、30Fのゴジラルームへ。

カードキーで中に入ると、そこはゴジラの世界だ。

壁紙は黒基調で、ゴジラの皮膚をイメージしたという壁紙。
ゴジラルームのプレートがカッコイイ。

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部屋に入るとすぐに、ゴジラ1/6スケールのフィギュアがお出迎え。

(※1994年「ゴジラVSスペースゴジラ」、95年「ゴジラVSデストロイア」の両作で使用された型を修復して造形したものらしい)

実はこれ、半身しかなく、あとの半分は鏡だ。

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いやー、落ち着かない。部屋にこれがいるのに、ここで眠るのか。

事前に写真は見ていたけれど、ベッドルームはこんな感じ。

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実寸大のゴジラの手が襲ってくる。まったくもって落ち着かない。

恐る恐るベッドに腰かけるが、やはり落ち着かず、息子と2人でしばらく突っ立っていた。

ベッドのわきには、歴代ゴジラのポスターと、ガラスケースには映画で実際に使用されたゴジラの頭蓋骨が展示されている。

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「ゴジラvsデストロイア」という作品でゴジラがメルトダウンするときに使われたものだそうだ。ファンにはたまらないようで、息子は興奮してしげしげと眺め、「すげぇ」とつぶやく。

しかしわたしはこんなゴジラの頭蓋骨がある部屋で眠るのか、と若干不安になる。

ホテルと言うよりは、ゴジラ展の中で寝てくださいという印象。
部屋自体が狭いので、ゴジラの圧迫感がハンパない。

息子も落ち着かないようで、2人で椅子に座る。
赤い椅子はプラスチック製で、とても固くて座り心地が悪いのだが、ベッドに座るとゴジラの手が落ちてきそうだし、居場所がそこしかない。とにかく落ち着かない。

息子と2人で「落ち着かないね」「うん、落ち着かない」
という会話を何度となく繰り返す。

落ち着かなさすぎるし、昼ご飯を食べないままチェックインしてしまったので、ご飯を食べに外に出ようとフロントに降りた。

等身大のゴジラ・ヘッドを拝む

ホテルのフロントは8階なのだが、そこにはまたゴジラファン垂涎の「ゴジラヘッド」を拝める場所がある。

ちなみに一応言っておくが、私はゴジラにまったく興味がない。

正直、こんな部屋落ち着かないし、別にやることもないし。そんな場所に息子を連れて行ってあげようなんて、我ながらいい母だと思うが、息子は褒めてくれないので自分で言う。

ゴジラルームをご存じない方も多いと思うのだが、新宿歌舞伎町、かつての新宿コマ劇場という有名な劇場跡にできたのが「ホテル・グレイスリー新宿」である。その周辺の道路も整備され、昭和の香りが残る歌舞伎町の中でひときわ近代的な建物が出来上がった。

そのホテルの目玉として登場したのが「ゴジラヘッド」。ビルの8階にある設定上「等身大」のゴジラだ。

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息子は大興奮なのだが、あまりの感動のせいか、言葉を失っている。

おおーー大きい!すごーいとはしゃぐ私を制し、なぜか「静かに鑑賞せよ」と指令を下す息子。

正直わたしは息子がゴジラ好きだから連れてきたのであって、わたし自身はゴジラに1ミリも興味がない。なので、「大きい」くらいしか感想が出ないのだが、それもファンにとってはうるさく感じるのかもしれない。たっぷり堪能させてあげようと見ていたら、神聖なものを見るような気持ちで見つめた後「もういい、行こう」と息子はその場を立ち去った。

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夜のゴジラヘッドは、光る。定時になると咆哮を聞くことが出来る仕様。


息子と久々の映画デート

お寿司大好きな息子と昼ご飯を食べ、緊急事態宣言が明けて久々にランチビールを飲んだ。ゴジラはさておき、息子と新宿でお寿司デート、ビールつきが嬉しいわたし。

基本的にショッピングや観光に興味がない息子なので、歌舞伎町を練り歩くなんてことはせず、食べ終わったらすぐに部屋に戻るかと思いきや、息子はわたしたちが泊まる建物内に入っているシネコンで映画を観たいと言い出した。

息子は映画が好きで、よく東宝シネマズに行っていたのだが、ここのところコロナで見たいタイトル自体がなく、長いこと行っていなかった。

小さいころから東宝シネマズに映画を観に行くと、必ずキャラメルポップコーンを食べるのが楽しみだったのだが、ちょうどホテルの横を通るときにキャラメルポップコーンの良い香りが漂っていたので、映画が見たいというより、ポップコーン食べたいと思ったのだろう。

時間はまだ午後3時。何かめぼしいタイトルがあれば見ようか、と上映スケジュールをチェックしたら、息子が見たがっていた「竜とそばかすの姫」があったので見ることにした。

わたしはあまり好きではないのだが、息子は細田守監督作が好きらしい。今日は息子のための日だから、息子の好きなものを観ようと一緒に鑑賞した。

竜とそばかすの姫は酷評も多かった作品だが、息子の感性にフィットする作品だった。感性が豊かだけれどシャイな女の子が、バーチャルの世界で活躍するストーリー。学校ではおとなしい息子だが、本人の中で表現したい思いや感性がうずまいているのは私が一番よく知っている。きっとこの映画は息子のための映画だなと思いながら観ていた。

予想通り、上映終了後の息子の顔は輝きに満ちていた。

「最高だった」

と一言。

今日はきっと、息子にとって最高な日だ。なんでもない秋の平日だけど、息子には祝福の一日だろう。そう思うと嬉しくなった。やっぱり息子の笑顔は最高だ。

映画を堪能したら、あとはエレベーターで部屋に戻るだけ。電車で帰る必要がなくて楽だね、と言いながら、コンビニで夜ご飯と、わたしはお酒、息子はジュースを買いこんで部屋に戻る。

息子との旅では標準だが、グルメに興味がないのと、外に出たがらないので、夜ご飯はコンビニめしの確率がかなり高い。歌舞伎町なら美味しいものがあちこちにあるのだが、今回は息子のためのレジャーだし、ゴジラルームは部屋にいてナンボなので、息子としっぽりコンビニめしとゴジラを堪能するため、早々に部屋に戻った。

室内には細くてポキっと折れそうなホテルの模型

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ゴジラと瓦礫の模型に囲まれ、ただでさえ落ち着かない部屋なので、静かだと余計に落ち着かない。普段は見ない地上波テレビののバラエティ番組を見ながら、座り心地の悪い椅子と、狭いテーブルでカップラーメンをすすった。

ゴジラににらまれて落ち着かないが、なかなか平和な時間だ。

しかし、この後わたしたちは、ここまでのさまざまな行動が、これから起こる出来事の伏線であったことを思い知らされることになる。

まさかの都心高層ビルで直下型地震に遭う


新宿歌舞伎町の細長いビルの30階「ゴジラルーム」で、カップラーメンをすすって満腹になりながら、ダラダラしていたそのとき。

突如、ドドンと下から突き上げる何かを感じたと同時に、緊急地震速報が鳴り、急激な揺れが私たちを襲った。

地震だ!!
と、頭ではわかっていても、いざとなるとどうしてよいか分からない。

ましてや、今わたしたちがいるのは、ポキっと折れそうな歌舞伎町のホテルの30階だ。

この細長いホテルの最上階にいると思うだけで恐怖。

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ホテルなので、部屋の中に倒れてくるものはないが、そもそもこの細長いホテルがポキっと折れるのではないかという恐怖でパニック。動けない。


どうしてよいか分からず、とにかく息子と2人、即座にベッドへ移動し、揺れが収まるのをひたすら待った。頭の上にあるゴジラの手が落ちてこないか恐怖。

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どの壁面もゴジラ仕様でギミックが仕込まれているので、安心できない。

揺れが収まり、テレビで地震情報を見ると、わたしたちがいる新宿周辺は震度5弱。東日本大震災のとき、息子はまだ3歳だったので、彼の記憶では初めての大きい地震だ。もともと怖がりの息子は、ガチガチに震えていた。

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気象庁からの発表で、余震があるかもしれないと聞き、息子は怖がって8階のフロントまで降りようと言い出す。

わたしも恐怖でパニクっていて、いろんな思いが駆け巡る。たしかになんとなく8階まで降りたほうが安全な気がする。だが結局眠るのはこの30階の部屋だ。震災時にエレベーターは危険。ただいま30階なう。22階分を階段で降りるのは面倒くさい。そして、降りたら上がらなければならない。それも嫌。そして、このホテルは新しい。築10年未満だ。

とか、いろんな計算が脳内を駆け巡り、とにかくNHKをつけたまま「様子見」すること1時間半。

新宿区の一部で停電が起きたり、下水管が破裂していたり、山手線が止まったりと、都心の混乱がテレビに映し出されていて、これが目と鼻の先で起こっていると思うと、さらに恐ろしくて動けなくなった。

少し時間がたって部屋を見回せば、テレビの下にはゴジラが新宿を踏み荒らした瓦礫の模型があり、床には都会のビルが踏みつぶされたコンクリートの写真が貼られている。

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これはシュールすぎてシャレにならない。臨場感がありすぎるのだ。本気でゴジラが新宿を襲いに来ている感じ。

ゴジラの臨場感あふれるギミックもシャレにならない

ちなみにこのゴジラルーム、ギミックが仕込まれていて、あまり話すとネタバレになるので少しだけお話しするが、あるボタンを押すと、ゴジラが東京を襲ったモードになり、ベッドが揺れる仕様になっている。

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この部屋に到着したときには、このギミックに「すげぇ」と大はしゃぎしていたが、マジもんの地震が来た日には、恐ろしくてこんなギミックで遊べない。

ギミックの映像よりも、本気の地震速報の方が断然ヤバイ。

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しかもこれから、そんなギミックが仕込まれ、見上げれば実寸大のゴジラの手が待っている場所で眠るわけだ。当然眠れない。

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息子は怖がって一人でベッドで寝たがらない。ついでにわたしも一人で寝るのが正直怖かった。模型とはいえ、ゴジラの骸骨がある部屋で寝るのは怖い。結局、ツインの部屋なのに、二人でシングルベッドを分け合い縮こまって寝ることにした。

しかし、当然気分は落ち着かず眠れない。わたしはもともと不眠症なので薬を飲んで少し眠ったが、眠りに入ったと思うと、眠れない息子が私を起こす。そんなことを何度も繰り返しているうちに夜が明けた。ほぼ不眠状態。

息子がぜひ行ってみたいというので、息子サービスとして連れて行ったゴジラルームだが、なんともしょっぱい記憶となり、いまだに息子はゴジラルームのことを思い出すと、地震の恐怖がよみがえるので、あまりゴジラルームのことを話したがらない。ゴジラルームは本当にすごかったのだが、私たちには少し刺激が強すぎる経験となった。

ここのところ地震が多いので、少し揺れるとすぐにゴジラルームのことを思い出してしまい、なかなか笑い話にならないが、息子が大きくなったとき、この記憶がどのように残るのだろう。

いずれにせよ、強烈な経験をさせてもらったゴジラルームよ、ありがとう。

ギミック満載、お土産つきのゴジラルームを体験しよう

ちなみにここには書いていないトイレやお風呂もギミックがあり、ゴジラ好きにはたまらない体験ができると思う。

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ゴジラルーム宿泊者限定のプレゼントは、ファン垂涎。

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※グッズ写真はホテルサイトより

わたしたちのように恐怖が倍増する体験は相当レアだと思うので、普通にゴジラ体験をしたい方は、ぜひ一度宿泊してみてほしい。

今日もお読みくださりありがとうございました!

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