服に興味がない中3息子が初めて選んだGUの洋服は「ジェンダーレス」のずっと先を行っていた
中3息子は服に全く興味がない。
興味がなさ過ぎて、試着さえも拒否するので服を買うこと自体が大変だ。小さい頃は試着拒否されサイズの検討がつかず大変だったが、最近は大きくなってきたのでメンズサイズが合うようになり、適当に選んで買い与えている。
そんな服に興味ゼロの息子がいきなり「洋服買いたい」と言い出した。
そのきっかけは、先日参加した「ハートグローバル」のワークショップ。
参加前の説明書に、最終日にみんなでショーをするため、ボトムはブルージーンズか黒のパンツで参加してくださいと書いてあった。
息子は服なんかなんでもよいだろうから、家にあるスウェット生地のデニムっぽい色のパンツでも履かせればいいや。と思っていた。
だが何を思ったのか急に「最終日に履くジーンズほしいから買いに行きたい」と言いだした。
息子が3歳くらいから、試着さえしてくれずに困り果て、いまでも制服のシャツが小さくなっても試着したくないからわたしが適当に買っているのに、自らそんなことをいうのはどういう心境の変化なのか驚いた。
けれど、何かがめばえたのかもしれないと思い、息子を連れて買い物に行くことにした。
1.安くておしゃれアイテムが揃うGUへ
息子はわたしがお手頃価格の服ばかり着せていたせいか、または逆張りの性分のせいか「安いやつがいい」という。
なので、ちょっとおしゃれ感があって、手ごろな値段が魅力のGUのホームページを見せたところ「ここでいい」というので、さっそく連れて行くことにした。
息子が何を選ぶかわかんないし、そもそもインドアな息子は着る機会があるかもわからないので、安く上げたいしね。
初めて洋服を自分で選びたいと言ったのだから、できるだけ本人が選ぶものに口を出さないようにしようと思いながら連れて行った。
2.とにかく個性的なものを選ぶ息子
というのも息子はなかなか個性的なセンスの持ち主で、わたしの想定外、いつも無難からかけ離れた個性的なものを選ぶ傾向がある。
以前も書いたけれど、ランドセルは暗い色が嫌だといってピンクを希望したが、さすがにそれは止めたらキャメルにした。視力が落ちて小学生で初めてのメガネを選んだ時はほとんどが黒か紺のフレームしかない中で、1つだけあった赤のフレームをチョイス。最近メガネを買い替えたときは、レディース味の強いピンクゴールドの丸メガネにした。
女性っぽいものが好きというよりは、きれいなものが好きなのか、宝石なんかも結構好き。宮古島に行ったときは琉球ガラスのイヤリングが欲しいと言って手ごろな値段だったし、息子がしなければ、わたしがすればいいやと思って買ってあげた。
3.GUでまさかのレディスコーナーに突進
そんな感じでなかなかクセつよの息子が何を選ぶのかドキドキしながら見守っていようと思いつつ、洋服屋さんが初めてなので「メンズはこっちだよ」とナビゲートした。すると息子は「うんわかった」と言いながらレディスコーナーにずんずん進んでいく。
とりあえず目的はブルージーンズ。メンズで良さそうなものを見せてみたが、「うんうん」と気のない返事をしながらレディスコーナーを物色している。そこで拾い上げたジーンズは、ハイライズのレディスジーンズ。
レディスのものはウエストを絞ってあるデザインだから、履きにくいんじゃないの?と言ってみたが、「とりあえず履いてみる」とのこと。まぁジーンズはレディスだろうがサイズが合えばいいか。
すると「ちょっと上に着るものも見たいんだよね」といって、さらにレディスのトップスコーナーを物色しはじめた。ヒラヒラフリルのなんかも手に取っている。
買ったところで着て行かないだろうよと思いアワアワし、レディスで選びたいなら、メンズライクなオーバーサイズジャケットなんか似合うんじゃない?と提案してみたが、実際に羽織ったらまだ華奢な息子はジャケットに着られてしまった。
そのあと息子が手に取ったのは、今年流行りの短め丈のスプリングアウター。「これ結構好き」というので、とりあえず試着してみようということに。
さらにどうしても着てみたいと手に取ったのは、袖口のギャザーがたっぷり、エレガンス感が強いトップス。
またまた謎のものを選びはじめた。けれど本人が着たいというのだから着るだけタダ、選ばせてみようと試着室へ。
4.生まれて初めて自ら試着室に入った息子
ちなみに息子を15年間育ててきたが、息子が自分から洋服を試着している姿を見るのは初めてだ。なんか感動。
いそいそと試着をして出てきた息子。エレガンスなトップスの上にスプリングコートを羽織り、レディスのハイライズジーンズは、手足が長い息子に似合っていた。ショート丈のコートとハイライズのジーンズで足がめちゃ長く見える。
わたしは色のセンスがなくて、実際に合わせてみないとボトムとトップスの色合わせやバランスがわからない人間だ。パッとみてパパっと選んだのに、結構似合うものを選んでくる息子は、やっぱりわたしより何かしらセンスがあるのかなと思った。
とはいえさすがにエレガンスなトップスは、正直、似合っているとは言い難かった。中学生というより「大きな小学生」な雰囲気の息子が着ると、昔こういう女の先生居たよね。というような化粧っ気のないメガネのおばさんがやけにエレガンスな服を着てしまった、という印象になってしまう。
もう少しシャツ感があるものとかどうかな?と提案してみたが、「でも俺けっこう好きなんだよ」の一点張りだ。
お値段はさすがGU、税抜き1900円とお手頃価格だ。うーん、と思ったが、もし着なかったらわたしが着ようかなと思い、初めての息子のお買い物を尊重して、そのトップスも買うことにした。
さらについでにキャンバスシューズも買わされて、まるっとトータルコーディネート。
帰ってもう一度着てごらんと着せてみると、やはり自分で選んだだけあってウキウキと進んで試着した。これも本当に珍しいことなのだ。
そして、個性的ではあるけれど、やっぱり結構似合っている。
手のかかる息子を大変な思いで育てているので、洋服の好みくらいわたしに任せて着せ替え人形を楽しみたいものだが、そこは思い通りにいかないものだ。息子の個性は、こういう好みも含めて個性だ。
生まれて初めて自分で選んだ服はとても気に入ったようで、ジーンズもコートも割と進んで着ている。
5.息子は世間のジェンダーレスを軽々と飛び越えていった
ちょうどGUでは「ジェンダーレス」をテーマに「beautiful people」というブランドとのコラボでユニセックスで着られる服を展開していた。けれど息子はそんなの一切無視でレディスに突進。
世の中が考えるジェンダーレスは「ユニセックス」とか「男女兼用」で止まっていて、メンズのものを女性が着るのは割と普通だけど、男性が女性ものを着るというのはまだまだ浸透していない。
どうしても男性が女性の服を着るとなると、セーラー服おじさんとか、そっちの想像をしてしまう昭和なわたしだって、やっぱり抵抗があるし。
そんな中で息子は「ジェンダーレス」という言葉の意識もなく、「着たいから」「こっちが好きだから」と、さらにビューン先を行っているではないか。
そんな息子を見ていると、ジェンダーレスって、概念的に頭で考えて「男」と「女」を無理に混ぜることじゃなくって、「どっちでも好きな方で」という、もっとざっくりした、感覚的なものなのかもしれないなと思った。
スカートが嫌いな女子がいるなら、フェミニンなものが好きな男子もいるよね。
割と無難なセンを選んでしまうわたしは、世の中の枠にとらわれない、そういう息子をちょっと尊敬する。
息子がわたしから見て妙なものを選ぶことが多いので、いつもヒヤヒヤさせられるのだが、
実は頭が固いのはわたしのほうで、別に洋服なんて何を着たって人に迷惑がかかるわけでもないし、もっと自由でいいはずだよね。
個性的な息子は、わたしが狭いとさえ気づいていなかった視野を、グイグイ広げてくれるなぁ、としみじみ。
まぁ、そのクセの強さで手を焼くことがものすごく多いのだけれど、わたしの固定観念や枠をメリメリとぶち壊しに来る息子は、本当に神からの使いなのかもしれないと思う今日この頃だ。
今日もお読みくださりありがとうございました!
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